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でびるハンター  作者: 片山翔
第四章 周る世界と繰り返す歴史
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冷たい雨

旅に出る一週間前くらいの出来事。


俺はいつもの様にエレンの街の酒場「海の風」で酒を飲んでいた。

その時の俺は随分と気が沈んでいた。多分、いや確実に過去を思い出していた。


「ケイ。どうした?やけに浮かない顔してんなあ。」


話しかけてきたのは、元ハンターのグレイ。エレンの街ではよく一緒に酒を飲んだりする。歳は離れているものの奴とは戦友みたいなものだ。右腕と左脚に深い傷を負わなければ、今でもバリバリのハンター生活を送っていたに違いない。


「ふう・・・。何でもないさ。」

「そうか?何か悪い事でもあったんじゃないのか?」

「本当に何でもないんだ。」


ため息と嘘が同時に吐き出された。

気分が悪い、酒のせいではない事は俺自身も分かっている。


「ケイさん。貴方が暗い顔するなんて、らしくないっすよ・・・。」


心配したエルクがこちらに話しかけてきた。

新米ハンターにまで変な気を遣わせちまったな・・・。


「変な心配させてすまんな。本当に大丈夫だって。」

「だがよ。どうみても・・・。」


俺は即座に立ち上がり、お代を置いてその場を去った。

そして、小声で「すまん。」と謝った。


俺は酒場のドアを開けた。外は雨が降っていた。

「雨か・・・。」

あの時もこんな雨が降っていたな・・・。

冷たい・・・。心も体も冷えきる様な雨が・・・。


「認めたくないな・・・。」

「最愛なる者を亡くす悲しみ。帰る場所を失くす苦しみ。」

「まるで全てを失ってしまった様な・・・。」


俺は一つため息を吐いて、顔にかかった雨を払う。


「認めたくない。この感情を。」


俺が求めていたモノじゃない・・・。

俺が描いていた未来はこんなんじゃない・・・。


俺が・・・。


俺が本当に望んでいたものは・・・!!


光が俺を包んだ。何が起こったか分からない。

目の前に映るのはカーテンを開けたアルベールの姿だった。


「いつまで寝ている?」

「あ、ああ。すまんな。」


少しだるめの体を起こし、朝日を体に取り込んだ。

嫌な夢を見た・・・。俺は気を引き締め直した。

彼女の前では笑顔を絶やさない。俺が決めたことだ。

それを守っていかないとな・・・。俺は振り返って笑った。


「おはよー!アルベール!」

唐突な俺の行動にアルベールは驚いた。

「気味が悪い奴だな。いいからさっさと準備をしろ。」

「リョーカイ!!」


これで良いんだ。ありきたりな朝が来て、今を平和に過ごせる。

それが幸せなんだろうと・・・思いたい。

だが、俺は今回の旅で自分の一番触れたくない部分をまた・・・。


また、掘り返すことになるだろう。


悲しき過去を・・・。

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