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でびるハンター  作者: 片山翔
第四章 周る世界と繰り返す歴史
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更なる旅路

外はもう暗くなっていた。

教会の中は明かりが灯り、独特な雰囲気を醸し出していた。


夜の教会は静かでいいな。

俺は外と中の空気が混ざり合う境界線の上で、

少し息を吸ってから、奥へと歩き出した。


ステンドグラスがある大広間の一番奥には神父が使う教壇があった。

そこで、本を読んでいる神父が一人。こちらに気付いていないようだ。

俺は教壇に近付くと神父が気付くより先に声を掛けた。


「よっ!シェイ!」


神父は驚く様子もなく、本を閉じこちらを見るとにこやかな笑顔を返した。

驚かなったことに少し面白みが薄れたが、しょうが無い。

何があっても表情を崩さないのが彼の特徴だ。


「ケイさん。お久しぶりですね。」

「・・・ああ、本当に久しぶりだな。シェイ。」


「あれから、どのくらい時間を経たのでしょうか。」

「長いようで短いもんだな。俺とお前が会った事がつい最近に感じる。」

「私はそうは思いませんけどね。」


その時、勢い良くドアが開く音が聞こえた。

直後、ヒロが早歩きでこちらに向かってきた。

その後ろに次郎がゆっくりと続けて歩いてきた。


「・・・・・・・・・・・・・・・。」


ヒロと次郎は黙ったままこちらを見ている。

構わず話を続けろということだろうか?

とりあえず、俺はシェイに仲間の事を紹介した。

「紹介するぜ。仲間のヒロと次郎だ。」

シェイはゆっくり立ち上がると、お辞儀をした。

「ヒロさんにジロウさんですね。」

「次郎な。」


「私はシェイと申します。以後、お見知り置きを。」


シェイは軽く会釈し、にこやかな笑顔を向けた。


「よし、紹介は済んだし。

 単刀直入で悪いんだが、また例の物を貸して欲しい。」

「それは構いませんが、今回は一体何のためでしょうか?」


「結論から言うと、魔界の遺産・・・。

 俗に言う魔の遺産を探し出す。それが今回の旅の目的だ。」


「あれは空想上の話ではないのですか?」

「それを確かめに行くんだ。」

「多分、今も世界中のハンター達が探しているだろう。」


「そうですか。今回は長旅になりそうですね。」

「ああ、ところでレイアを見なかったか?」


「彼女がどうかしたのですか?」

「実は、今回の件に奴が関与しているかもしれないんだ。」


俺は最も恐れる事態になりそうな気がしてならなかった。

このまま放っておけば、また昔と同じ事を繰り返す羽目になる。

「そうですか・・・。私はこの街で彼女の姿を見ていませんね。」

シェイは顎に手を当て少し俯いた。何か考えているようだ。

「魔の遺産・・・ですか・・・。」

「・・・・・・・・・・・・。」


魔の遺産。十二年前、あの魔術戦争で使われたと言われている魔法の品。

その存在が噂されるのは実際に戦争に使われたからなのか・・・。

伝説だけの話なら、あの戦争が起こらなかった可能性もあっただろう。

だが、戦争は起こった。本当に、魔の遺産が使われたのか?

それともあの戦争には関係が無いのか・・・。


どちらにせよ。あの戦争の原因を突き止める目的は変わらない。

俺はそのために「でびハン」を開いて色々調べてきたんだ。

絶対に突き止めてみせる。そのための猶予も与えられている。

「ケイさん?」

シェイの声で我に返った。

一度考えだすと止まらないのが俺の悪い癖だ。

「ああ、すまんすまん。」

「とりあえず、理由は分かりました。

 魔の遺産・・・放っては措けませんね。」

シェイはポケットを探りながらこちらを見て話した。

「例え、空想上の物だとしても、

 危険なことには変わりありません。必ず、見つけ出して下さいね。」


空想上、そうかもしれない。

魔の遺産など無かったのかもしれない。

だが、俺はあの戦争に関わるもの全てを知る必要がある。


何故、戦争が起こる必要があったのか・・・。

何故、起こってしまったのか・・・。


起こってしまったことは空想でもない現実だ。

その傷跡が今も残り続ける限り、俺は真実を辿り続けなければならない。

「では、これを。」

シェイはポケットから鍵を取り出すと机に置いた。

俺はそれを取って、自前のキーホルダーに加えた。

「サンキューな。それとすまん。」

「いえ、元は貴方の物ですし、私が持っていても使うことは

 無かったでしょう。持ち主に返っただけの事です。」


シェイの言葉に俺は小さく頷いた。

「それで、これからどうするんだ?」

ヒロが待っていたかのごとく訊いてきた。これからか・・・。

「とりあえず、他の大陸に行く。そうだなあ・・・。」

「じゃあ、砂漠の地・ガルダだな!」


よく分からんがヒロは勢い良く提案してきた。

確かにここから最も近い大陸だがいきなり砂漠の地へ行くのか。

俺は暑い場所があんまり好きではなかったが、

まだ近くの大陸にレイアがいるとすれば、そこが可能性としては大だ。

「じゃあ、それで行こう。」

「で、どうやって移動するんだ?俺達に船など無いぞ?」

次郎が腕組みをしながら俺に質問してきた。

「まあ、そのためにこれを借りたのよ。」

俺はキーホルダーを指にぶら下げた。それを見て次郎は首を傾げた。

「後で説明するからさ。今日はもう休もうぜ。」

「もう、こんな時間だしね。」

俺は時計を指さしながら言った。時間は午後8時を過ぎようとしていた。

時計を見たヒロは突然、焦りを見せた。

「俺!先に宿取ってくるわ。」

そう言うと早歩きでさっさと行ってしまった。

ヒロは寝床に関しては敏感だな。この時刻で宿が取れるかどうか怪しいが。

さて、次の目的地も決まったし少しゆっくりするか・・・。

「シェイ。今日は押し掛けてすまなかったな。」

「いえいえ、久しぶりにお会いできてとても楽しかったですよ。

 また、機会があればゆっくりお話をしましょう。」

「ああ、そいつは良いな。いつになるか分からないけどな。」


「じゃあ、またな。」

「はい。いつでも歓迎してますよ。」


俺と次郎は教会の外へと向かった。

長い旅、本当にそう成りそうな気がしてきたな・・・。

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