戦いの後に残るモノ
あれだけ騒ぎに騒いでいたコボルト達もあっという間に死体の山だ。
戦いの後に残るものは、沈黙、血痕、血だらけの自分と相棒である武器。
それ以外の景色は目の前にある「死」という現実。
「どうだ?気分は晴れたか?ケイ。」
アルベールは腕組みをしながらこちらに近づいてそう言った。
「いや、いつになっても戦いの後は気分なんて晴れないよ。
余計に曇った様に思えるくらいだ。」
これでこの山のコボルトは居なくなるだろうけど、
俺の中のモヤモヤは晴れていない。
「ケイ~。」
血だらけでへろへろの状態のヒロが遠くから歩いてきた。
ヒロの右肩から血が出ているのが見えた。
「ヒロ。大丈夫か?」
「ああ、何とか・・・。肩に一撃喰らっちまったけどな。」
生憎だが、俺は回復魔法は得意じゃない。ていうか使えない。
アルベールは使ってくれる訳無いしな。
「とりあえず、手当しておくか。」
「・・・頼むわ。」
道具袋から包帯と傷薬を取り出し、ヒロを手当てした。
幸い、そこまで深い傷ではなかったので、2、3日で治るだろう。
「応急処置にしては上出来だろ。」
「ありがとな。ケイ。」
「いや、こんな戦いに巻き込んじまった
俺の方がお礼を言いたいところだ。」
「ありがとうな。ヒロ。そして、すまん。」
「よせよ。ケイらしくないぜ。」
俺達の馴れ合いを見ていたアルベールが
しびれを切らして近づいてきた。
「さっさとしろ。」
「はいはい。了解でーす。」
俺達はコボルト達の洞窟を抜けると久しぶりに外の空気を楽しんだ。
「やっぱり外の空気は格別だな!」と叫びたいところだが、
獣共の血の臭いと混じり、とても気分が良いとは言えなかった。
「早いところ次の街に行って休みたいな。」
「ああ。早いところそうしたいぜ。」
俺の着ている黒いローブは血の色が目立たないが、
ヒロやアルベールはもろ戦いの後と言った感じだ。
もう、自分の血なのか返り血なのか見分けがつかないな。
まあそんな事はどうでもいい。
結局、今回の戦いでも残るは「血」だけか。
その血が俺達の罪の重さを見せ付けるように着ているものに残される。
それが嫌だったから、俺はどす黒いローブを着ているわけだが・・・。
「しっかし、今回も無事で何よりだったな。」
俺は率直な安堵の言葉が口からこぼれた。
その後、少しばかりため息を吐いてから仕切り直した。
「よし!次は海の街・ベルトへ行くぞ!」
「オーケー!」
「・・・さっさと行くぞ。」
再び世界を周る・・・。俺はこの旅で何を得るのか・・・。
最終的に得るものが無かったとして、
俺は旅をやめることができないのだろう。
世界のどこかに俺が求めている答えが有りそうな気がしてならないんだ。
そんな事を考えながら、俺達は山を下りた。
「やっと下りられたかー!」
ヒロは伸びをしながら言った。
「とりあえず、替えの服に着替えよう。
ここらに魔物が居ないようだし。」
「ああ!そうしようそうしよう!」
早く着替えたい様子のヒロはもう上着を脱いでいた。
俺達は替えの服に着替えて、次の街へ向かった。
果たして、レイアは誰の命令で動いているのだろうか?
それに、森で会ったボイドとか言う男も・・・。
俺はこの旅が本当に長い旅になる。そんな気がした・・・。




