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でびるハンター  作者: 片山翔
第一章 始まり
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洞窟

事務所に帰ると何か異様な雰囲気を感じたが多分、気のせいだろう。


早速、俺達三人は東の洞窟へ向かうことにした。


さほど遠くはないが近いというわけでもない。

この洞窟の絶妙な立地条件が冒険感を引き立てる。

辺りは絶壁で、山の側面に洞窟の入口がある形だ。


「到着!」


勢い良くケイは到着を喜んだ。

実際のところ、俺は朝の気怠さが残っているのであまり気乗りしない。


「やはり、外に出たら魔物を倒さなくてはな。」


アルベールの言った言葉に俺はとっさに反応した。


「魔物って・・・。ただの水汲みだろ?」

「阿呆が!ただの水汲み程度ならば誰でも出来るわ!

 依頼をしてくるという事は・・・大体そういうことになる。」

「あ・・・。」


俺は自分で言ったことをよくよく考えたら、意味のない事だと悟った。


「流石だな。アルベール。」


ケイは澄ました顔でそう言った。


「・・・当然だ。」


しばし立ち止まっていた俺達だが、収拾がついたところで

俺達は洞窟に足を踏み入れた。

冷えた空気が指先から伝わってきた。

そして、落ち着いた雰囲気でケイは呟いた。

「魔物はいない感じだな・・・。」


「ここはな。だが、奥にいるかもしれん。」


「とりあえず、奥へ行ってみようぜ。」

俺は奥を指さしながらそう言った。


「そうだな。」


ケイは落ち着いた雰囲気のままそう言い、歩き出した。俺もそれに続く。

少し奥へ進むと結構入り組んでいる様だった。


それにしても、魔物か・・・。一応護身用に槍を持ってきたが、

少しかじった程度だし、他の二人に比べて俺の魔力はそんなに強くもない。

そもそも、魔力を操るなんてそんな高度な事は俺にはできそうもなかった。


「・・・・・・・・・。」


朝の眠気と怠さが加勢して、いよいよ倦怠感が高まった。

俺のやる気の無さは多分、人類でトップクラスに入るほどヤバいだろう。

と、一人で馬鹿な事を考えていた。

結構、奥に来た様だったが、まだまだ奥があるように見える。

狭い通路を進んだ先には少し拓けた空間に出た。


「!!」


次の瞬間、俺は地面に尻もちをついていた。


「阿呆が。油断し過ぎだ。」


アルベールがこの洞窟を住処にしていたのであろう野生の狼を

殴り飛ばしていた。


「あ、ああ・・・・。」


あまりにも一瞬の出来事にうまく言葉が出なかった。


「あ、ありがとな。」


「礼などいらん。」


あまりにもストレートな言葉に俺の心臓が潰れかけたが、

何とか耐え忍ぶことができた。


「お前を助けたわけではない。ただ、殺気を感じただけだ。」


ちょいちょい引っかかる言い方だが、彼女らしいっちゃ彼女らしい。

とりあえず、助けてくれたことにはかわりはない。


「おお!?ツンデレですかー!?」


突然、その場の凍りついた雰囲気を烈風のごとく吹き飛ばす勢いで、

おちゃらけた声がこだました。

なんだよそのキャラ!俺は心の中で思った。


「貴様!殺すぞ!」

「まあまあ~。それよりさ!先に進もうよ!」


場を和ませたとは言い難いが、ケイはケイなりにやってるんだろうな。

と、俺は勝手に思う。

―――何か足を引っ張ってるみたいで俺の気分は少し落ち込んだ。


「ここから先はさっきみたいに魔物が出るかもしれん。気を付けていくぞ。」


アルベールはそう言い放って、足早に先に進んでしまった。


「ちょっと待ってよー!」


ケイはアルベールの後を追いかけた。慌てて俺も追いかける。

さっきの一瞬の出来事で体が強張っているのに気がついた。

ここで、気を遣わせるのも悪いな。

若干思うように動かない体を使って、俺は必死に追いかけた。


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