厄介者
ゲヘルザード山脈から吹く風はとても気持ちがいい。
青々とした山々がどこを見渡しても眺めることが出来る。
俺達は舗装された道、というよりも人が繰り返し
歩いた後の草が無くなった道を歩いていた。
「山でも眺めながらゆっくりしたいところだな~。」
「まあな。でも先を急ぐんだろ?」
「そうだな~。」
先を急ぐか。まあ確かにそうだが、レイアを追って一体何になるんだ?
元を辿れば何で俺達はレイアを追っているんだ?
真実を確かめるためか?
俺の中にまだ納得がいっていないモノが多々あるのは確かだ。
世界を巡ることでそれを確かめる事が本当にできるのか・・・?
旅に意味を見出すのは旅をもうちょっと進めないと分からないか・・・。
俺は深呼吸をして山の空気を大量に吸い込んだ。
「山道を歩くのか・・・。」
ヒロは弱々しくそう呟いた。
「歩くだけじゃないぜ。
魔物もおまけに付いてくる。」
「あ、そうだったな・・・。」
ヒロは思わず顔を引きつらせていた。
どんな場所でも魔物は付き物だな。
歩きながら喋っていると山の入口に着いた。
さて、ここからが山場だな。山だけに。
などと頭の中で下らないことを考えていた。
「ケイ。人がいるぞ。」
アルベールの目線の先には冒険者らしき人物が
横たわる大木に腰を掛けていた。
「どうかしたのか?」
俺はその男に話しかけてみた。
「ああ、この山脈のトンネルにコボルトが住み着いたみたいでな。」
「・・・何だって?」
「コボルトか。そいつは厄介だな。」
「そうなんだよ。これじゃあ、安全に山の向こうに行けない。
はあ・・・。困った・・・。」
「困ったな・・・。」
ケイは少し困ったような顔をしたが、
瞬時に表情は一変しいつもの余裕ぶった顔に戻った。
「だが、進むしかないだろう?」
この言葉が俺の中にある冒険心を駆り立てた。
進むしかない。当たり前だ。
じゃないとここまで来た意味が無い。
「そうだな。進むしかない。」
「無論だ。行くぞ。」
俺達は冒険者のいる場所を後にし、
山の側面に掘られたトンネルへ足を運んだ。
そこには吸い込まれそうな闇が大きく口を開けていた。
「行くぞ・・・。」
ケイは落ち着いた感じでそう言うと俺達を見た。
俺は意図を汲み取って軽く頷いた。
そして、トンネルの奥へと歩いた・・・。




