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でびるハンター  作者: 片山翔
第三章 旅立ち
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雷神

魔力は更に近く、そして強く感じた。

どうやら、魔力が集中している場所が

俺達が通る道にあるようだ。


これ以上、体力は消耗したくないし、

何よりこれ以上争い事はこりごりだった。


「ショウ様。やっぱり戦うことになってしまうのでしょうか?」

「そうなるだろうな。こっちがその気がなくても、

 あっちは戦う気満々だろう。」


魔物は魔力が高まるところに集まる。

つまり、人間が帯びる魔力も同じ事。

高い魔力を持つ者は魔物に感付かれやすい。


魔力を欲する魔物にはどんなに

微弱な魔力でも糧にする。


雪の道を進んでいると、突然拓けた場所に出た。


「魔力が集中しているのはここか・・・。」


最も拓けた場所にはコボルト達が集まっていた。

数は数十匹はいるな。集会か何かか?


とりあえず、黙って通してもらえなさそうな

気配がプンプンしていたが、進むしか方法がない。

集会の入り口には番人のコボルトが一匹立っていた。


「何だ?人間。ここに何か用かぁ?」

「先を急いでいるんだ。通してくれ。」

「ああ?ここを無傷で通れると思ってるのかぁ?」


はあ・・・。全く毎度このパターンだな。


「また、それか。コボルトはアホばかりなのか?」

「ああ!?何だと!?調子に乗るなよ人間ごときがぁ!」


コボルトは持っていた石槍で攻撃してきた。

それを軽く避けて腹に拳を食らわせた。


「ぐへぁ!」


コボルトは悶えて逃げていった。

全くどうして魔物は・・・。


とりあえず、先に進むにしても

コボルト共の集会場を通るハメになる。

もう戦いは避けられない様だ。


コボルト達が集まっている場所に進むと

一人のフードを被った男が中央に立っていた。

それを囲むようにコボルト達が雑談をしている。


何だあの男は・・・。どう見ても怪しいが、人間か?

何にせよ。コボルトを裏で操っていたに違いない。


俺はコボルト達の集会場の中央に進んだ。

しかし、コボルト達は襲ってくる様子はなく、

ただ俺達を睨みつけていた。


「おや?貴方でしたか。

 コボルト達を殺していたのは。」


フードの男は気味が悪いくらいの無表情だった。


「コボルトを従えていたのはお前か。

 それに、その魔力量。人間ではないな?」

「おやおや、失礼な・・・。

 元は人間でしたよ。元はね。」

「それで、私に何か御用ですか?」


「貴様には用はない。

 ここを通らせてもらう。それだけだ。」


俺は集会場の出口へ向かおうとすると、

二匹のコボルトが道を塞いだ。


「何のつもりだ?」


「いえ、貴方のその魔力。

 実に興味深い・・・。」

「人間でその魔力の量・・・。

 貴方は只者ではありませんね?」


全く、今日はよく道を阻まれる。

俺は少し苛立ちを感じながら答えた。


「だとしたら何だ?

 コボルト如きを従えてる程度の雑魚に

 俺を止めれるとでも思っているのか?」


「おやおや、私も見くびられたものですね。

 天才魔術師と呼ばれたこの私を!」


男は両腕を挙げ、何か合図の様なものをした。

するとコボルト達が次々と集まってきた。


「数で何とかしようってか?」

「まずは貴方の実力を測らせてもらいます。


「そういう事か。メイア下がってろ。」

「ショウ様・・・。」

「心配ない。ストレス解消にはちょうどいい。」


今日は話が通じない奴等ばかりに道を阻まれた分。

話が出来るこいつに阻まれる事が余計に腹が立っていた。


「俺の真の力を見せてやるよ。」

「真の力?何ですかそれは?

 賞金稼ぎが面白いことを言いますね!」


「これだから馬鹿は困る。」


俺は右手に魔力を集中させた。

あまり、使いたくは無かったがもう面倒だ。

この力で全て滅ぼす。


「この雷神と呼ばれる俺の実力を見せてやる!」


どこからともなく稲妻が走り、数匹のコボルトが焼け焦げた。


「雷の魔法ですか?」


「魔法で操るようなそんなチャチなもんじゃない。

 俺は雷そのものだ。」


「何だと・・・?」


ショウの体は雷を纏っていた。

触れるものは当然、死が決まる。


雷、触れることも近づくこともできない孤高の属性。

それが何人たりとも止めることのできない者の証。


「さあ、終わりにしようか。」


「ふふふ、面白い!ならば行け!コボルト共!

 奴を引き裂け!」


男が叫ぶと、コボルト達は一斉に襲い掛かって来た!

だが、触れるもの近づくものは無残にも消し炭となった。

ショウが発する雷によって、コボルト達は一瞬に倒されてしまった。


「どうした?これで終わりか?」


バチバチと閃光が弾け、眩い光を発しながら雷神は男に近づく。

男は驚きを隠せず、慌てふためいた。


「ま、待て!話をしよう!」

「今まで、コボルトを使ってここを通る者達を殺してきたんだろ?

 今更、命乞いか?」


ショウは男に更に近づいて剣を突き立てる。


「さっきまでの勢いはどうした?

 コボルト共がいなくなった途端に、ずいぶん弱気だな。」

「さあて、どうしてくれようか。」


「まあ、待て!私と共にこの森で金を稼ごうじゃないか!

 それでどうだ?賞金稼ぎ何だろ!?悪い話じゃないはずだ!!」

「生憎、俺はそのためにここにきたわけじゃない。

 ましてや、賞金稼ぎのためにお前を殺しに来たわけでもない。」


「それでは見逃してくれるのか!?」

「お前の目的は私じゃないんだろ!?」


そう言うと男は立ち上がり、走って逃げ去ろうとした。


「ギヤああああああああ!!」


しかし、ショウが放った雷撃によって跡形もなく消滅してしまった。

聞き苦しい断末魔と共に・・・。


「力に溺れた汚い人間をただで逃す道理はない。」


それ相応の代償を払わなくてはな。力の代償をな。

ショウの体から雷は消え、元の体に戻った。


「終わったの・・・?」


木の陰に隠れていたメイアがひょっこりと顔を出した。


「ああ、先を急ぐぞ。」


ショウはそう言うとさっさと歩き出してしまった。


「あ、ちょっと待って下さい~!」


無益な戦いだった。

何故こんな争いがまだ絶えず起こる?


「どんな種族でも・・・。」

「・・・・・・?」

「いや、何でもない。」


どんな種族でも、どんな人間でも、魔力に溺れ、力に溺れ、

権力に溺れ、金に溺れ、慢心と傲慢さを生み出す。


「俺も例外ではないな・・・。醜いもんだな・・・。」

「ショウ様?」


ケイ。お前は今、どこで何をしてるんだ?

答えは見つかったんだろうか?

この世界に生きる意味。この世界で歩く意味。

証明すべきことを。

俺はまだ見つけられそうにない・・・。




本当の答えを・・・。

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