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でびるハンター  作者: 片山翔
第三章 旅立ち
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争い

俺は洞窟の中を淡々と歩いた。灯りは持っていた松明で確保した。

やけに血なまぐさい洞窟だ。魔物でもいるのか?

人骨がそこら中に転がっていた。


「ひえぇ~。」

「うろたえるな。メイア。大丈夫だ。

 俺達はこんなには成らんさ。」

「は、はい~。」


メイアを落ち着かせると、奥へと進んだ。

多分、魔物に出会うだろうがそんな事を心配している場合ではない。

俺は先を急いでいるんだ。こんなところで足止めを食らう分けにはいかない。


洞窟の出口近くに行くと、どうやら門番をしているのだろう獣人に会った。

俗には「コボルト」と呼ばれている獣人族だ。


「何の用だ?この先は俺達の住処だ。

 ここを通りたかったら、分かってるよなあ?」


どうやら、このコボルトは人語を理解できるようだ。

しかし、それでも魔物には変わりはない。


「何だ?通行料でも取る気か?」

「通行料なんてチャチなもんじゃねえ。

 お前の持ち物全部、そして有り金を全て置いて行きな。

 そうしたら、通してやろう。」


俺はため息を吐いてから一言、言い放った。


「下衆が。消えろ。」


剣を抜くと同時に敵を切り裂いた。

その一撃でコボルトは力なく倒れ込んだ。


「バカがッ!俺等を・・・敵に回したことになるぞ!」


倒れてる割にはよく吠えるもんだ。


「それがどうした?」

「後悔する事に・・・なるぜ。」


そう言うとコボルトは息絶えた。

全く、返り血で鎧が汚れてしまった。


「シ、ショウ様~。」


・・・はッ!メイアがいることを忘れていた!

振り向くと、ひどく怯えるメイアの姿があった。

基本的に一人でしか行動しない俺にとっては

他人への気遣いというものを忘れていた。

忘れるというよりも俺はそれが理解できない

と言った方が確かだろう。


「どうした?血を見るのが初めてなのか?」

「そ、そうじゃありません・・・ただ・・・。」

「ただ・・・?」


怯えてはいるが落ち着いていた。

メイアはコボルトの死体に近づいた。


「コボルト達と人間は分かり合えないのかなあ・・・?」


俺は少しの間、考えたが答えは明確だった。


「無理だ。奴等は自分の腹と欲求を満たすことしか脳がない。」

「・・・・・・・・・・・・。」


酷い言い様かも知れないが、これが真実だろう。

その後、メイアと俺は無言のまま洞窟を抜けた。

無論、コボルトを切り刻みながら。


「ショウ様はコボルトが嫌い・・・なんですか?」


突然、メイアが訊いてきた。

魔物なのだから嫌いかどうかの問題ではない。

ただ倒すべきもの、それだけの事だ。


「奴等が襲ってくるんだ。俺達も戦うしか無いだろう。」

「・・・・・・・・・・・・・・。」


痛い沈黙だ。子どもの無垢な問いが、

大人の汚さをさらけ出す。

世の中にはしょうがない事ばかりで、

しょうがないで済まさなければならない事ばかりだ。


しょうがないで済ませたものが後々、俺を苦しめていく。


こんなしょうがない世の中で俺は日々、争いを繰り返す。


汚れた大人の世界に子どもを巻き込みたくはない。

そんな想いが子どもには分からない。

大人になれば嫌でも知ることになることを

子どもの頃から知る必要なんて無い。


そんな事を考えながら、雪を踏みしめる音だけが淡々と聴こえる。


「ショウ様。」


突然、メイアが立ち止まった。


「どうした?」

「感じるんです。近くに強い魔力を・・・。」

「何?ちっ!面倒だな・・・。」

「とても強い敵意と、魔力も感じます・・・。」

「戦いは避けられないだろうな・・・。」


メイアは少しムッとした表情で頷いた。

多分、もう戦いたくないんだろう。それは俺も同じ気持ちだ。


俺達は更に森の奥へと進んだ。

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