山道
とある雪が降る山道で一人の青年と少女は旅をしていた。
鋭い寒さが顔に突き刺さる様な感覚。
幸いなことに雪はさほど強く吹いていはいなかった。
青年は足早に先を急ぐ。
「ショウさま~!待ってくださいよ~!
足が速すぎます~!」
メイアはそう言うとトコトコと走りながら追い付いてきた。
今にも転びそうなその様に俺は少し不安にもなる。
「ちっ、メイア。もうちょっと早く歩いてくれ。」
メイアの足の速度に合わせるとなると遅くてたまらん。
まあ、仕方がないか大人と子どもの歩幅は結構違うものだ。
「これじゃあ、夜になっちまう。」
「何言ってるですか~。ショウ様が速すぎるだけですよ~。」
「そうかもしれんが・・・。」
子どもの足にとっては早く感じるものだと思うが、
俺はややゆっくり目に歩いてるつもりなんだがな・・・。
「ショウ様がおんぶしてくだされば、早く着きますよ~?」
「おいおい。それはお前が楽したいだけだろ。」
「え~?おぶってくださいよ~!」
そう言うと、今にも抱きついてきそうな構えをとった。
俺は足早にその場から離れた。本当に背中に乗っかかれては困る。
「断る。早く行くぞ。」
「ショウさま~!!待ってくださーい!!!」
全く、やっぱり子どもは苦手だな・・・。
雪がひどくなる前にこの山道を越えなければならないのに、
まだ全然進んでいない。
まあ、メイアはまだ十になったばかりか、それ以下だろう。
大体の事は我慢するか。
そんなことを考えていると魔物の気配を感じた。
どうやら、腹を空かした魔物が徘徊しているようだ。
この雪が降る山道に現れる魔物といえば・・・。
「ちっ、雪犬か・・・。」
所詮は俺の敵ではないが、数が集まれば面倒になる。
無駄な魔力消費は避けたいし、何よりも野宿がしたくなかった。
「できるだけ・・・発見されないように・・・行きましょう!」
遅れてやってきたメイアが息を切らせながらそう言った。
「そうだな。」
気配はしているが、この近くにはいなかったようだ。
山道は意外にも短く、下山する階段が現れた。
どうやら、下は森へ続くようだ。これでは狼どもの思うツボだ。
誰がこんな道作ったのか・・・。
最短距離ではあるが、どうぞ襲ってくださいと
言わんばかりの道の作り方だ。
「道があるだけマシか・・・。」
と、自分で自分を納得させて進むしかなさそうだった。
森を進むと明らかに放置しているであろう洞窟が見えた。
自然の洞窟を掘り進んでトンネルにしたんだろうが、
それも今や魔物の住処になっている。
少し歩くと商人らしき人物が暖を取っていた。
「あんた、この森を通るのかい?」
「ああ。そうだが。」
「なら、回復薬を大量に買い込むべきだな。
実はな。俺は薬屋でな。良かったら買っていかないか?」
俺には回復薬は不要だな。ダメージを受ける予定もないし、
何しろ有能な治癒師が付いている。
「それなら、心配無用だ。回復薬は持ち合わせている。」
「そうなのか?まあ、どちらにせよ。魔物には気を付けてな。」
「ああ。それじゃあな。」
俺は会話を終えるとさっさと先を急いだ。
俺には話をしている暇は無いんだ。
少し歩くと、洞窟が姿を露わにした。
「自然洞窟をトンネル代わりに使っているのか。
これは、もう魔物の住処になってるな・・・。」
人里を離れた自然な道など、とっくの昔に
管理を投げ捨てられているに決まっていた。
「よし、入るぞ。」
「ここを通るんですか~?気味が悪いですよ・・・。」
「仕方ないだろう。ここしか道はないんだ。
森の中をテキトーに歩いたら遭難するかも知れんからな。」
「うぅ・・・。分かりました~。」
メイアはしぶしぶ、俺の主張を受け入れると
俺にひっついたまま歩いた。
怖いのか?まあ、無理もないか。
俺達は洞窟の中へと足を運んだ・・・。




