嫌われ者
俺はアルベールの強さを目の当たりにして、
正直、何が起こったか全く分からないままでいた。
ここに彼女が立っている事、戦いに勝利した者の証だ。
だけど、何かが引っかかる。
大の大人が少女に負ける?そんなことあるのか?
魔法ってそんなに凄いものなのか?
常識を覆すことができるものなのか?
俺の中で色んな考えが巡る。
「驚いたか?」
突然の声にハッとした。アルベールの声だ。
「まあ・・・な。」
実際、驚いたどころじゃない。
大人を軽く弾き飛ばしたのだから、この世のものとは思えない。
「お前は私が恐ろしいか?」
「え?いや・・・。」
上手く話すことができない・・・。
突然の問に俺は返す言葉が見当たらなかった。
「お前が私の事をどう思おうと勝手だ。
人間は私を恐れ、憎み、そして嫌う。」
「どういう・・・ことだ?」
「そのままの意味だ。」
俺は頭の中でその言葉を理解できなかった。
アルベールが並みの人間じゃないとでも言うのか?
実際、人外的な力だけど・・・。
俺はアルベールの事をよく知らない。簡単な答えだ。
「なあ。アルベール。」
「何だ?」
鋭い目は変わらず俺へと向けられる。
本当にただの少女ではなさそうに感じる。
「あのさ。アルベールってさ・・・。」
俺はそれを言うのを躊躇した。
人外的な力を持つ者、天性的な力を持つ者。
そういう類の人達を俺はどう扱っていいか分からなかった。
「いや、めちゃくちゃ強いなと思ってさ!」
その場をごまかす事にした。
アルベールだって言われたくない事くらいあるだろう。
例え、俺より強くても・・・。
「ふッ・・・。」
一瞬だったが笑みがこぼれた。
俺はとりあえずホッとした。
「呆れたな・・・。人間には・・・。」
「え?」
「いや、こっちの話だ。」
「さて、そろそろケイの元へ行くぞ。」
アルベールはケイがいるところへ歩き始めた。
それに続けて、俺もアルベールの後ろを歩いた。
「貴様も人を見た目で判断しない方がいい。」
「あ、ああ。」
アルベールと二人で話すのは今日が初めてかもしれない。
俺は彼女の事をまだ良く分かっていなかった・・・。




