旅立ち
変わらず朝日は昇る。これは決定事項だ。
俺の怠い体に関しては俺の思考中枢部である脳が
「もっと休ませろ!」と言わんばかりに怠けているからだろう。
そして、今日も事務所のドアを開ける。いつも通りだ。
昨日色々あり過ぎて何か現実味が無い。
しかし、日々は当たり前のように此処にあるんだ。
「ちーっす。」
「ういーっす。」
いつも通りの怠けた声で、交わされる挨拶である。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
アルベールは俺の顔を見るとすぐにケイの方を向いた。
「さて、ヒロも来たんだ。そろそろ話をしてもらおうか?」
「昨日、奴と何を話していたのかを・・・。」
「俺も気になっていたところだったんだ。
あいつは一体何なんだ?」
あの時は途中で本人が来てしまったから、
ちゃんと話せなかったが、今なら落ち着いて話せるだろう。
「せっかちだなあ。全く。」
ケイは怠そうに組まれた足を解き、椅子から立ち上がった。
そして、今にも語り始めますよ感が伝わるポーズを取った。
「まず、奴は[飛剣のレイア]ってハンターだ。」
「その名の通り、飛剣術と呼ばれる独特な技の持ち主で、
結構、名が知れているハンターの一人だ。」
「これは俺の推測なんだが、
奴は魔力を集中している場所を探している。」
「一体何のために・・・?」
「さっきも言ったが、これは俺の推測さ。
今回の神殿がそうだったからな。」
「まあ、俺の深読みにすぎないし、俺達には関係ないだろう。」
「いや、待て。」
「現に洗礼の神殿では魔力の高まりを感じた。
奴が居たのが、偶然ではないとしたら?」
俺も話し合いに参加した。
「でも、本当に偶然なんじゃないか?魔力は魔物のせいだろうし。
奴が居たのはハンターの仕事だからだろう?
次は東に魔物を狩りに行くらしいし・・・。」
「ふむ。」
元々、ケイの仮説、堂々巡りしそうな話題だ。
いっその事・・・。
「ここで話し合っててもラチが明かないぜ?
真偽を確かめに俺達も東に向かおうか?」
よく考えもしないで、俺はそんな事を口走った。
実際、空気読んでないんだろうが、
俺が考えられるのはこれくらいなもんだ。
「う~ん。」
「私はその意見に賛成だ。」
まさかのアルベールが俺の適当な返答に
賛同するとは思ってもみなかった。
「ケイ。どうなんだ?」
アルベールがケイに訊いた。
ケイは首を傾げ、少し悩んでから答えた。
「まあ、行ってみますか。」
「ならば、すぐにでも出発しよう。」
珍しくアルベールが乗り気すぎて、
何か怪しいが、たまには大冒険してみても
俺は悪い気がしなかった。
こうして、俺の適当な発案によって、俺達は東へと旅立った・・・。




