予感
俺とレイアは今、エレンの街の酒場「海の風」で飲んでいる。
酒場自体は大した広さはないが、
この酒場の窓から見える大海原が酒場の狭さを忘れさせてくれる。
俺はウィスキーを一口だけ飲んでから、おもむろに口を開いた。
「久しぶりだな。レイア。」
「フッ・・・。本当にな。」
レイアは俺の顔を見ずに答えた。
それにしても、本当に久しぶりだ。
最後に顔を会わせたのは・・・。あれ以来か・・・。
俺は嫌な事を思い出しそうになった。
「そんな事より、何故お前が悪魔と手を組んでいる?」
何でもお見通しって感じか。
「気付いていたのか・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
俺はしばし、黙ってしまった。
レイアがその事について知っているのは
理解の範囲内だったが、口が思うように動かなかった。
「色々、あってな・・・。」
「色々?」
「ああ、色々と・・・。」
歯切れの悪い言葉をぎこちなく繋ぎながら、
俺は何とか場を持たそうとした。
「あまり、人には話したくないことだったか?」
「ここじゃあな・・・。機会があればその内、話してやるさ。」
「さてと・・・。」
俺は仕切り直した。
「レイアは何で、あの神殿にいたんだ?」
「私はハンターだ。魔物を狩るのは当然だろう?」
俺には到底、魔物狩りだけが目的とは思えなかった。
まあ、真の目的をペラペラと喋るようじゃ、
ハンター何てやっていけないだろうしな。そう答えるのが定石だろう。
「まあ、それより、俺をここに連れてきた理由は?」
「いや、少し話がしたかっただけだ。
昔の戦友に会う何て機会は早々無い。」
「話に付き合ってもらってすまんな。
私はこれから東の方に魔物を狩る依頼があるんだ。またな。」
そう言うと、レイアは席を立ち、直ぐに酒場を後にした。
今の会話に意味が有ったか?
本当に話がしたかっただけなのか?
「目的は何なんだ・・・?」
俺はもう一口飲んでから、一息吐いた。
頭の中では得体の知れない悪い予感がざわついていた・・・。




