救済
結構な時間、この神殿にいる気がした。
地下だと時間の感覚が分からなくなる。
俺達は奥地へと走っていた。
三人の足音だけが長い廊下に響いた。
突然、ケイが立ち止まり振り返った。
「この先、何かいるぞ・・・。」
「ケイ。貴様も感じていたか。恐らく、ここの主だろう。」
「何?」
「そうだろうな。油断しないでいこう。」
俺には何も感じないがこの二人には
感じることができる何かがあるんだろう。
引き続き、廊下を歩くとやや広めの部屋についた。
そこには、さっき逃げた女がいた。
「まだいたのか。」
女はこちらの存在に気付いたらしくそう言った。
「なあ、教えてくれよ。
あんた何のためにここに来たんだ?」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
ケイがそう訊くが、話す気は無さそうだ。
「お前等、話している暇はなさそうだぞ。」
「ああ、そうだな。どんどん近づいてくる。」
アルベールの言葉にケイはそう答えた。
俺には、まるで分からないが何となく危険な感じがする。
「来るぞ!」
アルベールが叫ぶと同時に辺りが一瞬、暗闇に包まれた。
そして、目の前に悪魔を模した石像が現れた。
その石像は憎悪に満ちた顔で俺達に襲いかかってきた!
素早く動く石像はとても不自然だが、今はそんな事を考えている暇はない!
「仕方ない。お前等も戦ってくれ。」
「言われなくても!やるしかないだろ!」
俺は彼女の言った言葉にそう返して、槍を構えた。
どうする?相手は石像だ。槍で攻撃しても効かなそうだ。
「ヒロ!危ない!」
「え!?」
ケイの声が聞こえた。
目の前で石像の周囲に石が浮かび上がっているのを見たと同時に
その石が勢い良く飛んできた!
「うわ!あぶねえ!!」
間一髪で避ける事ができたが、
あれに当たったら息絶える事になっただろう。
「はああああああ!」
声の方を見ると、女は帯びていた剣を投げ、石像に命中させた!
それを隙かさず剣の柄についている鎖を引くと
勢い良く石像は壁に当たり、砕け散った。
「やったか!?」
石像が砕けたところから、何かが溢れ出た。
「ケイ。奴の本体だ。」
「そうみたいだな。」
ケイは飛び上がり、霊気の塊の中心部を狙っていた。
「うおおおおおおおおおお!」
剣が刺さると同時に辺りが光りに包まれた。
その後、石像から溢れる霊気が光を帯びて昇っていくのが見えた。
「浄化したのか?」
あまりに一瞬の出来事に俺は唖然とした。
また戦いで役に立つことができなかった。
「ふう・・・。」
ケイは安堵のため息を吐いた。
「助かった。礼を言う。」
「なに、大したことじゃないさ。」
女は礼を言うと直ぐにその場から立ち去ろうとした。
「ちょっと待てよ。」
「名前ぐらい聞かせてくれてもいいんじゃないか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
少し間が空いた後、彼女は口を開いた。
「レイア・・・。」
それだけ言うと直ぐに立ち去ってしまった。
「ふ~ん・・・。」
ケイはニヤけた顔で、納得したような素振りを見せた。
「一体何者なんだ?」
「まあ、良いじゃないか。ミステリアスガールって事で。」
「え?ん??」
ケイの答えに俺は一瞬、どぎまぎした。
「とりあえず、原因はこれで排除された感じだろう。
任務完了だな。」
奴の正体も気になるけど、今は早く家に帰りたいと思った。
ハア・・・。今回も色々と疲れたわ・・・。
俺達は神殿を脱出すると、エレンの街へと帰った。
外の空気が素晴らしく心地よいことがあの空間にいて分かった。
暗く、狭い地下牢で信者達は何を思ったんだろうか?
考えても分かるわけない事を考えながら俺は事務所のドアを開けた・・・。




