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でびるハンター  作者: 片山翔
第二章 それぞれの思惑
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洗礼の神殿

俺はケイのすぐ後ろを歩いていた。


湿った雑草と土のにおい。それだけがこの辺りに広がっていた。

俺はこの近くに住んでいるが、

一度もこの廃神殿に近付いたことはなかった。

正直言って、周囲を取り巻く雰囲気が不気味すぎて

近付きたくなかったからだ。

ていうか、廃墟に入る人の気が知れない。

面白半分で入っていいものではないだろう。

幽霊を信じているとかそういうのじゃなくて、何か・・・。

何か他のものでやばい気がするからだ。


「ここが・・・。」


俺の目の前に突如として現れた。

やっぱり不気味な廃神殿は今も尚、その形を保とうとしていた。


「ああ、洗礼の神殿・・・。表向きはな。」

「どういう事だ?」


表向き?ケイの言っている意味が理解できなかったので、俺は訊いた。


「実際はさ。異教徒の拷問場なんだ。

 この神殿の{洗礼}の意味は多分、そっちの意味もあるんじゃないかな?」


ケイは至ってまじめにそう答えた。


「それは昔の話だよな?」

「ああ、何年か前までは使っていたが・・・。

 拷問行為が発覚してな。歴史の闇に消えたんだ。」


歴史の闇?ケイは何でそんなことまで知ってるんだ。

前から結構物知りだと思っていたけど、そんなことまで知ってるのか。


「ま、今この神殿の歴史を知る者は数えるくらしかいないだろうし、

 知ってても口にはできんだろうし。」


「・・・教会の連中が騒ぐからか?」

「いや、消されるの方が正しいな。」

「え!?」


俺はその言葉を聞いた途端、驚きの声が漏れた。


「な~に、教会の連中だけじゃないさ。

 どこの世界でも都合が悪いものは消える。それだけの事さ。」


爽やかに言いのけるケイだが、言ってることは凄まじいことだ。

歴史の影の部分か・・・。


「悪いことをしたら隠したくなるでしょ?それと同じ同じ~。」

「そうか・・・。」


「さて、そろそろ行くか。アルベールが行きたがってる。」


「ふっ、全く・・・。お前等の下らん話に付き合わされる身になってみろ。

 こっちはそんなものよりも・・・。」


そこで、アルベールは口ごもり黙って歩き出した。


「??」

「何でもない。それより早く中に入るぞ。」


何かを隠してるようだったが、俺は敢えて探りを入れることはしなかった。


「はいはい。じゃあ、中には入りましょう!」


ケイが手を叩きながら入り口に歩き出した。俺もそれに続く。

建物は石造りで、入り口はだいぶ朽ちていた。

枯れた草木と砂利で床は汚れているし、人気がない。

この廃墟ですよ感が俺は一番キライだった。


そんな事を思いながら、覚悟を決めて神殿の内部へ侵入した・・・。


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