幽霊の噂
エレンの街にいつもと同じ朝がやってきた。
淡々と送られる毎日に嫌気が差す。
それが当たり前だと割り切ってしまえばどうにでもなる。
朝日がいつもの様に、俺を暖める。
相変わらず怠い体を引きずりながら、俺は事務所のドアを開けた。
「ちーっす。」
「お、来たか。」
ケイは俺を待っていたぞ。と言わんばかりにそう言った。
ということは、良い依頼があったのだろうか?
「何か良い依頼あった?」
俺がそう聞くと、ケイは笑顔で答えた。
「お、グットな事を聞いてくるね!もちろん!決まってないよ!」
何だよそれ・・・。決まってないのに嬉しそうにしてんのかよ。
まあ、いつもの事だから気にしないでおこう。
「はあ・・・そうスか。」
気が抜けた声で答えながら、自分の机に足を運んだ。
そして、椅子に腰を掛けた。
そうだ。昨日、酒場で変な噂話。ケイ達も知ってるのか?
「なあ、ケイ。」
「ん?どうした?」
「最近、近くの神殿で幽霊が出るって噂。聞いたことないか?」
「聞いたことないな~。それにしても幽霊ねえ。」
「しかも、そこに財宝が隠されてるっておまけ付きで、
死人も大勢出ているって話だ。」
「へえ~。そいつはヤバいな。じゃあ、ちょっと調べてみるわ。」
実際、宝の噂の方がメインだろうけどな。
だが、死人が出るということは何らかの問題が発生しているということだ。
ということは、本当に幽霊の仕業なのか・・・?
「洗礼の神殿で怪死事件が多発している。至急調査を頼みたい。」
「こいつだな。」
「魔物が関わっている可能性があるな。」
「いや、ただの野盗共が住処にしてるのかも。」
考えているだけじゃ仕方ない。それに、
この件に関しては俺は乗り気がしない。
死人が出てるらしいし、危険だ。
「まあ、何にせよ。この事件、俺達が関わる必要性あるか?」
「まあな、だが・・・。」
「だが・・・?」
「報酬が☓☓万Gなんだ。」
「☓☓万!?」
今までの報酬とは桁が違った。
「三等分しても○万Gか・・・。うまい話だぜ。」
俺は急激にやる気が出てしまった。危険と隣り合わせなのは分かってる。
分かってるが俺の中にある何かが俺を動かして止まない。
「早速準備して行くぞ!」
「了解!」
どうやら、ケイもやる気があるようだ。
俺とケイはほぼ同時に勢いよく手を挙げる。
こうして、俺達はその洗礼の神殿に出かけることになった。




