38.襲撃、激化
警視総監と共に警視庁を裏口から出る。
取り囲むように囲んで壁を作って車へと乗せる。
僕が後ろの警視総監の隣に。運転席には翔さんが座り運転してくれる。
ゆっくりと発進すると、警視庁から黒塗りの車が五台連なって走っていく。世田谷区の住居へ向けて車は隊列を組んだまま走行している。
首都高に乗って警視総監の乗っている車を囲むように二車線を使って隊列を組んでいる。首都高に乗って少ししてからだろうか。すごいスピードの車が後ろから迫ってくる。
『……プッ……後ろから車が接近中。どうしますか?』
僕達の左後ろにいた流さんが声を掛ける。
後ろを振り返ると、たしかにものすごいスピードで迫ってくる車がある。
怪しいなぁ。そう思ってはいたけど。
『通さないわけにもいかないよねぇ。通そうか』
そう話したのは、よしさんだった。
ここは、指示に従って下がって後ろに着いた流さん。
その前を走っていたよしさんも隊列の一番前へと移動する。
なんだか、上空からローター音がするけど、どこかでヘリが飛んでいるんだろうか。
そんな中、僕達の車の横をすごい勢いで追い越していくスポーツカー。一瞬緊張感が走ったけど、素通りしていった。メデューサは何をしてくるかわからない。だけど、一般市民のいる所で大規模に攻撃してくるだろうか。
そう思っていた。
また隊列を戻したのだが、六本木を過ぎた頃に後ろからまた凄いスピードで来たワンボックスカー。怪しいなと思いながらもまた通すことに。
すると、谷町JCTで入って来た車が前に着いた。
それも、ワンボックスカーでフルスモークだった。
後ろから追い上げてきて、横を通るワンボックスカーがスピードを落として並走したのだ。
やられたと思った瞬間声が出ていた。
「翔さん! ブレーキ!」
スキール音をたてて後ろへ後退した車の鼻先で爆発が起こる。
コンクリート片が窓へ降ってくる。
よく見ると、先ほど横に並んだ車のサイドドアが開けられて、ロケットランチャーを構えている。
『クソが! 降り注げ! ライトニングボルト!』
僕達の後ろにいた蓮さんが何やら詠唱を唱えると、車へ雷が落ち、煙を上げて爆発した。なんとか逃げ切ったと思った矢先。
正面を走っていた伴さんと、よしさんの車が蛇行運転をしている。
その先に、バックドアを開けてロケットランチャーを構えている黒ずくめがいる。
狙いを定められない様に蛇行運転しているようだ。
なんか、大きな音が聞こえてきている気がする。
バタバタと……。
窓から空を覗くと、正面に向かって飛んでいるヘリがいた。
いやいや。
まさか、そこまでする?
方向転換をすると、こちらを向いた。
その下部には、ガトリングガンが搭載されていた。
『エクスプロージョン!』
伴さんが窓から顔を出して魔法を放つ。
手から放たれた小さな火球は前の車に着弾し、吹き飛んで一回転半した。逆さの状態で道路に投げ出されている。
「ヘリです!」
僕が声を上げたと同時位だっただろうか。
『ボクのは目立たないんだよなぁ。……アースニードル』
高速道路上から突如、棘が生え、低空飛行していたヘリを串刺しにした。
えっ?
何この護衛会社。強すぎない?
ヘリは貫かれたことでエンジンが爆発し炎上。
中の人も無事ではないだろう。
まぁ、もはや知ったことではないけど。
なんとか首都高をそのまま進むことができた。
もう少ししたら目的の下り口だ。
『みんな無事かな?』
『『『はい!』』』
『世田谷区に入ったら下りて警視総監の家へと向かう。そこでも待ち伏せがあるかもしれない。警戒するように』
『『『はい!』』』
まだまだみんなピンピンしてる。
ただ、家に向けてあんなことされたらたまったものじゃないけどね。
再び隊列を組んで走る。
目的の降り口でおり、目的の住宅街へと入って行く。
路地が多くて怖すぎる。
一応衝撃に備えてはいるけど。
こんだけ路地があると、囲まれる可能性があるな。
警視総監の家の前に着いたが、そこには誰も待ち構えていなかった。
もしかして、家族に危害は加えないとか。
そういう良識があるのだろうか?
家の前に横付けして皆の車がとり囲んで壁を作る。
作った後に下りて、車のドアを開ける。
警視総監の壁になるように注意しながら体を動かして玄関へと案内する。
鍵を開けた警視総監。
扉を開けて黒いナニカが見えた瞬間に、警視総監の体を押す。
迫りくるナイフを防刃ベストで受け止めた。
「敵襲! 中!」
すぐさま流さんが来てくれた。
僕は目の前の敵の腕を取り、組み伏せる。
暴れた物だから、地面に顔を打ち付けて気絶させる。
中まで入られていたか。
ご家族が無事だといいけど……。
伴さんとララさんを玄関前に残してみんなで突入する。
ご家族は、リビングで縛られていた。
その近くにも、黒ずくめがいる。
「守って! 守護結界!」
人質に結界を張る咲月さん。
それを合図に突入する。
流さんが人質近くの黒いのを掴んで投げている。
僕はもう一人の黒いのに当て身を放ち、壁に叩きつける。
衝撃で止まっているところに、顎へと掌底を放って気絶させる。
そのまま結束バンドで縛る。
仁さんと蓮さんが中を索敵してくれている。
戻ってきて頷いた。
「中は制圧した! 外はどうだ?」
流さんが外の伴さんへと確認する。
『あぁぁ。ヤバいくらいきてるわぁ。こりゃ気張らないとまずいぞ』
窓から外を確認すると、目の前の道を埋め尽くすくらいの車両が止まり、そこからはゾロゾロと鉄パイプやナイフ、金属バットとレパートリー豊富な武器を持った男たちが迫っていた。
襲撃は、ここからが本番だったらしい。




