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警護組織イージス~人を護れなかった僕は、誰かを護る盾になる~  作者: ゆる弥


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34.とらわれている過去

 メデューサとの戦いの後は、三日ほど休みを与えられた。

 よしさん曰く、会社の体勢を整えるまでの休みなんだとか。

 どういうことだろう?

 護さんか社長じゃなくなるとかかな?


 翔さんに護さんのいる病院を聞き出して、お見舞いへ行くことにした。病状は気になるし、本当に大丈夫なのかもわからないし。情報が何もないから。


 僕はお世話になってばっかりだしね。


 で、今隣には恵美さんがいるんだけどね。どうしてもついて行くって聞かなくて。しょうがないから連れてきてしまった。


 病院の近くのお花屋さんで花を買って行く。

 どの花が良いのかわからないからお見舞いに行くと言って花屋さんに選んでもらった。その方が良いよね。花言葉とかわかんないし。


 恵美さんもわかんないとかいうから。


 病院の入り口を入ってから気付いたんだけど。病室の部屋番号を聞いていなかったことに。ちょっとため息をつきながら、病棟にとりあえず行く。


「えぇーっとぉ。外科……ですよね?」


「そうじゃないかしら? 足を怪我したのよね?」


「怪我っていうか、無くなったらしいんだけどね……」


 あの凄まじい爆発の中、足一本で済んだと思えば運が良かったのかもしれない。あの場には、五人くらいの魔法者がいて、一斉に魔力爆発で吹き飛んだらしい。


 よく助かったなと思う。

 さすがは、護さん。

 僕はそう思っていたけど。


 流さんなんかは、鈍ったなとか言っていて、ぶん殴ってやろうかなと思ったもんなぁ。


 エレベーターが開き、病棟のある階へとやってきた。

 ナースステーションがザワついている。

 どうしたんだろう?


 面が割れない様に眼鏡かけて来たんだけど、似合わなかったかな?


「あのー。すみません。白石護さんの病室はどの部屋でしょうか?」


「あっ! は、はい! あのー、そこを曲がった先の7012です!」


「7012ですね。ありがとうございます」


 笑顔で頭を下げると、またキャピキャピ言っている。

 なんだろう?

 恵美さんが愛想を振りまいているのか?


 そう思い、横を見るとだいぶ不機嫌そうな顔だった。

 なんか……声掛けるのやめよう。


 言われたままに曲がって部屋を探すと奥の方にあった。

 名前を確認すると、ちゃんと書いてあった。

 個室じゃん。


「ここだ。失礼しまーす」

 

 扉を開けると、立って片足でスクワットしている護さんと目が合った。

 何してるんですか?

 そんなことしてないで、休んでないとダメじゃないですか!


「ちょっ! 護さん! 寝ててくださいよ!」


「しぃ! 大きい声出すな! 怒られるから!」


「そんなことしてるからでしょう!」


 僕だってこういう時は怒りますよ!

 まったく。安静にしてないとダメだと聞いたのに。

 なんで筋トレなんてしてんだか。


「わかったから。亮さぁ、わざわざ見せつけに来たの?」


「違います。恵美さんがついてきたいっていうから……」


「おいおい。本名を名前で呼んでるのか……どんだけ仲良くなってんだよ」


 頭を抑えて顔を歪める護さん。

 そんなこと言われても仕方ないじゃないか。

 しかも、最近帰らないし。


 キャバも休むとか言ってるしね。


「将来の嫁になる女なので、どうぞ、よろしくお願いしまーす」


 これには、僕も頭を抱えてしまう。

 もう最近こう言って聞かないんだよね。

 しかも、こうやって皆に言って回るし。


 外堀から埋めて行こうとしているんだろうけど。

 やめてほしいものだ。


「その覚悟なら、いいんですけどねぇ。亮で遊ばないでくださいよ?」


 結構真剣な顔で護さんが恵美さんに釘を刺している。

 これには、「遊びじゃないわ」と真面目に答えていた。

 好かれるのは嬉しいけどね。


 美人だし、スタイルいいし。

 ちょっと束縛が酷いけど、まぁ、それだけだし。

 でも、僕には灯の復讐というのがあるわけで。


 あまりどっぷり浸かりたくないんだよね。


「で、護さん、片足なくなっちゃたんですね……」


「だな。今、義足を注文中だ。ロボットのやつな。思い通りに動かせるやつ」


 混沌とした世の中になったからか、AIとかロボットとかが急激に成長していて、魔法に対抗しようとしているみたいなんだ。


「すごいですね。復帰する気ですか?」


「昨日な、よしにも聞かれたんだよ。"どうすんだ?"ってな。俺以外にやる人いればいいけど、亮は嫌だろう? 社長とか」


「はい」


「即答かい!」


 またため息を吐きながら頭をワシワシと掻きむしっている。

 っていうか、なんで僕に聞くの?

 一番の新人だよ?


「この会社の社長は実力のある奴がやった方が良いと思ったんだ」


「でも、みなさん魔法者じゃないですか。僕だけ無能者ですよ?」


「だがよ。遠距離は数で援護すりゃどうにかなるじゃん。近距離を制するほうが難しいだろう? 肉弾戦になるんだからさぁ」


 そう言われれば、そうなのかもしれないと思い始めていた。

 でも、だからって……。


「みんなにも推されてたし、亮が社長がいいかなって」


「僕には無理です。やらないといけないことがあります」


「……それ、最初から腹に持ってるだろ? 美麗さんでも聞き出せなかったらしいけど」


 バレてたんだ。まぁ、そりゃそうか。

 話が通っていると考えた方が普通だよね。

 

「……はい」


「なぜ隠してる?」


 その問いには答えられない。バレたら絶対クビにされると思うから。だって、人を殺すなんてゆるされることじゃないから。


「ふぅぅ。大方、昔の女の仇をとりたいとかだろう? 亮はたまに目に闇を宿している。大切な人を殺されたって言ってたよな?」


 バレた。もう隠しても仕方ないか。

 最悪の場合、僕一人で探して始末する。


「そうです。クビにされても、絶対に探し出します」


 護さんの目を見て、そう宣言した。


「亮は根性あると思っていた。復讐の為だったんだな」


「だとしたら、ダメですか?」


「いんや。……前に言ったのを覚えているか?」


 何の話かがわからなかった。

 首を傾げて問いかける。


「何の話でしょう?」


「一人で抱え込むなって」


 でも、これは僕一人の問題だ。


「でも──」


「エレナさんは無関係なのか? どうするつもりだ? 守らないつもりか?」


「それは……」


 護さんは捲し立てるように厳しい顔つきで口を開く。


「敵を攻めている間、誰がエレナさんを守るんだ? お前が守らなくて誰が守る?」


 その問いには答えられない。それが、最近の悩みで答えの出ていない問だったからだ。


「過去にとらわれて、今を見失うなよ?」


 優しく呟いたその言葉は。

 僕の心に深く深くつき刺さったのであった。

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