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警護組織イージス~人を護れなかった僕は、誰かを護る盾になる~  作者: ゆる弥


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33.VSメデューサ

 さぁ、超インファイトの時間だ。


 黒ずくめが一人、また一人と入ってくる。

 これは、次々仕留めないとダメだなと直感した。


 ナイフを最短距離で突き刺してくる。

 無駄のない動き。

 プロだな。


 セオリーとは逆に避けながら、その腕を絡めとり。

 後ろへひねる。

 容赦はしない。


 鈍い音が聞こえ、うめき声も聞こえた。

 かまっている暇はない。


 次の黒いのは振り払ってきた。

 躊躇いなく急所を狙って来ている。

 

 半身を開いて避けてナイフを壁へと蹴り飛ばす。

 続いて反対の手が迫る。

 咄嗟に避けるが、頬を切ってしまった。


「このっ」

 

 丸腰になったと思った相手は、もう一本ナイフを持っていたようだ。


 手を払って喉を潰す。

 喉を抑えながら倒れ伏す。


「ふぅぅ。さぁ、次。次」


 屍を踏みながら迫ってくる黒ずくめ。

 締め落としている時間がもったいないので、最低限に無力化していく。

 足を折り、腕を折り、のどを潰し。


 そうやって殲滅するのが、僕が玄龍先生から教わった極意。

 いつの間には、部屋は黒ずくめでいっぱいだった。


「来ないな。終わったかな?」


『……ププッ……伏せろ! 魔法者たちが合成魔法を撃つ気だ! 止めるのも間に合わねぇ!』


 窓の外が心なしか明るくなっている。

 風になびかれて外が見えた。

 大きな火の玉が浮かんでいた。


「えっ? あんなのよこすの?」


 これは死んだな。

 僕は死を覚悟する。


「亮。ここからは俺たちに任せな?」


「えっ?」


 翔さんが立ち上がって窓の外へ手をかざす。

 咲月さんも何やらブツブツ呟いている。


「この部屋をお守りください。どうか、神のご加護を。守護結界!」


「あらゆるものを飲み込め、ダークホール」


 咲月さんが結界を張ったのもすごいなと思ったけど。

 翔さん、なんですかその中二病みたいな魔法!

 あまりの驚きに目を見開く。


 迫りくる巨大な火の玉。

 だけど、その行く手を阻むように小さな黒球が浮かんでいる。

 周りの景色が歪んでいる気がするけど。


「やられるのか?」


 あんな小さな玉じゃ無理でしょ?

 そう思った僕をみて翔さんは微笑んでいる。

 えっ。いけるの?


 迫ってきていた巨大な炎の球は、黒い球に衝突する。

 黒い球は、急に黒い渦を巻きながら回転を始めた。

 なんか、火の玉小さくなってる?


 結界のおかげか熱も感じない。

 だが、黒い渦の力が上がっていくにつれて結界も軋んでいる。

 みるみるうちに火の玉は小さくなっていく。


 しまいには、跡形もなくなった。


「よし。飲み込めた……」


「翔さん、強すぎです。咲月さん、ありがとうございました。守ってくれて」


 僕の言葉に翔さんはサムズアップで返す。

 咲月さんは優しく微笑む。


「あまり使うことないんだけどね。役に立ってよかったぁ」


 翔さんは、対魔法者のスペシャリストだったんだ。

 あんな魔法だったら、どんな魔法だって吸い込めるじゃないか。

 うわぁ。これは、僕と相性いいよ。


 いいペアじゃん。

 なんか嬉しいなぁ。

 思わず口元が緩んでしまう。


「亮、何ニヤニヤしてんの?」


「いや、僕とのペアって、めっちゃ相性よくないですか? それが嬉しくて……」


「まぁねぇ」


 襲撃は終わったのだろうか?

 今のであきらめてくれていればいいんだけど。

 窓から顔を出すと、魔法者たちは逃げようとしていた。


 ただ、それを仁さん、よしさん、護さんが捉えている。

 結構な数捕まえたんじゃないかなぁ。

 アイツの情報を持っている奴もいるといいけど。


 あまりおおやけに聞けないからね。


「襲撃、終わりですか?」


 インカムで聞いてみる。


『そうみたいだな。こっちは、伴さんが負傷。ララさんを守って怪我した。後は──』


 外から凄まじい爆発音が響き渡った。

 窓から注視する。

 先ほどまで護さんたちが対応していた魔法者の方だ。


『護さん! 大丈夫ですか⁉』


 流さんが声を荒げる。

 僕は、その会話の行く末を見守るしかなかった。


『……ププッ……ふぅぅ。やられたねぇ。魔力暴走で自爆されたよ』


 よしさんの声だ。

 護さんは?

 仁さんは?

 無事なのか?


『後藤さん、護さんと仁さんは?』


 インカムの流さんの声で緊張が走る。

 最悪の事態を想定して、心して耳に集中する。


『仁は軽い裂傷がところどころ。護さんは……』


 自分の唾を飲み込む音が大きい。

 一体どうなったんだ?

 無事だよね?


『左足欠損状態。救急車手配』


『雅人! すぐに呼べ!』


『呼んだ。急行中』


 インカムだけで緊張感が伝わってくる。

 これは、まだ部屋を出ない方がいいんだろうか。

 護さんの元へ駆け付けたい気持ちで一杯だ。


『ボクが止血したから、とりあえず大丈夫だと思う』


『くっ。すまないねぇ。みんな。下手ぁうっちゃったぁ』


 よしさんの後に、護さんがみんなへ声をかけた。

 とりあえず、今は生きている。


『護さん! 無事ですか⁉』


『流か……。無事とは言えないねぇ。このままだと失血死だ』


『今行きます!』


『ダメだ。そこにいろ。みんなよく聞くんだ。まだ警戒を怠るな。これで終わりか分からない。警察のSITとMCTの到着を待つんだ。そのまま待機』


 くそっ。

 こんな時に何もできないなんて……。

 何もできない自分が悔しい。


 とりあえず、部屋にいる黒ずくめを一人一人拘束していく。

 恨みがあるため、抵抗するものは容赦なく警棒で殴って気絶させた。


 拘束が終わったころ、救急車と警察車両が現れた。

 警察はメンツ丸つぶれ。

 一体何を準備していたのかと上層部からおしかりをうけたらしい。


 護さんの知り合いの社長からは、逆に感謝された。

 頼んでよかったと。

 

 一応、雅人さんに確認して貰ったら、裏サイトからは依頼が消えていたらしい。

 もう襲撃はないだろうとのこと。


 社長令嬢も無事に家へと帰ることができたみたい。

 護さんは、しばらくの間入院。

 伴さんは、銃で撃たれたが、筋肉のおかげて内臓には到達しておらず、なんとか無事だった。


 さすがは、筋肉ゴリマッチョだった。

 メデューサ対警察組織はさらに激しい対立になりそうだと翔さんが言っていた。


 僕は、今正座で座らされている。


「また女と二人きりだったでしょ?」


「はい。でも、逃がすためだったから、仕方なくて……」


「問答無用! 今日一日、私のいいなりよ!」


「はい……」


 一日ご褒美だか、罰だかなんだかわからない刑を受けていたのであった。

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