↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星喰らいの王  作者: のあずぅあーくぅ
38/54

第七章 黒星の残響 26

巨大な“目”が、ゆっくり開いた。


地下通路の空気が消える。


誰も声を出せない。


呼吸すら忘れる。


そんな圧力だった。


目。


ただの目だ。


なのに。


見た瞬間、本能が理解する。


見てはいけない。


知ってはいけない。


関わってはいけない。


存在そのものが異質だった。


ルナがその場へ膝をつく。


「っ……」


セシリアの額から汗が流れる。


アークですら顔色を失っていた。


レインだけが険しい顔でその目を睨む。


「喰星……お前……!」


喰星は振り返らない。


銀色の瞳はノアだけを見ている。


「証明してみせろ」


低い声。


静かな声。


だが、その言葉だけで地下通路が震える。


「お前が本当に継承者なのか」


ドクン。


《蓄積値:412》


ノアの黒星が脈打つ。


巨大な目を見た瞬間から、黒星の反応が異常だった。


歓喜。


興奮。


飢え。


今までで一番強い。


頭の中で声が響く。


『喰え』


『喰え』


『喰え』


ノアは奥歯を噛み締めた。


「うるさい……!」


だが止まらない。


巨大な目がノアを見ている。


正確には。


ノアの中の黒星を。


ドクン。


《蓄積値:415》


その瞬間。


ノアの頭へ、今までとは比較にならない量の情報が流れ込んだ。


黒い世界。


銀の星。


崩壊した都市。


そして。


戦争。


人間と。


黒星使いたちの。


ノアの呼吸が止まりそうになる。


知らない。


なのに。


懐かしい。


矛盾した感覚だった。


「がっ……!」


膝が折れそうになる。


だが。


喰星が笑った。


「耐えろ」


その瞬間。


巨大な目の瞳孔が開いた。


ゾワッ――!!


悪寒。


次の瞬間。


地下通路へ、黒い波が流れ込んだ。


轟音。


壁が砕ける。


侵食線が暴走する。


アークが叫ぶ。


「来るぞ!!」


セシリアが剣を構える。


レインが空間障壁を展開する。


だが。


黒い波は止まらない。


まるで津波だった。


向こう側そのものが流れ込んできている。


ドクンッ!!!


《蓄積値:420》


ノアの黒腕が勝手に動いた。


黒い影が広がる。


地下通路を覆う。


黒い波へ噛みつく。


ギチギチギチッ!!


喰う。


向こう側を。


侵食を。


空間を。


全部。


レインの目が見開かれる。


「おい、やめろ……!」


だがノアは止まらない。


止められない。


黒星が飢えている。


目の前へ大量の餌をぶら下げられたみたいに。


ドクン。


《蓄積値:425》


ノアの右腕へ浮かんだ星紋が広がる。


肩。


首。


頬。


黒い紋様が侵食していく。


アークが顔を歪めた。


「銀目!!」


ルナの目には涙が浮かんでいた。


「戻ってきてください……!」


聞こえている。


ちゃんと。


聞こえている。


なのに。


身体が言うことを聞かない。


喰いたい。


もっと。


強くなれる。


もっと。


その時だった。


喰星が、初めてノアへ近づいた。


ゆっくり。


静かに。


巨大な目の圧力すら無視して。


銀色の瞳が、真っ直ぐノアを見る。


「選べ」


ノアの呼吸が止まる。


喰星の声だけが、やけに鮮明に聞こえた。


「人間として終わるか」


地下通路が震える。


巨大な目が開く。


向こう側が溢れる。


喰星の銀の瞳が輝く。


「黒星として生まれ変わるか」


ドクンッ!!!


《蓄積値:430》


その瞬間。


ノアの黒星が、今までで一番大きく脈打った。


そして。


巨大な目が。


ゆっくりと。


ノアへ向かって動き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。