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星喰らいの王  作者: のあずぅあーくぅ
37/54

第七章 黒星の残響 25

ドクンッ!!!


《蓄積値:400》


その瞬間。


ノアの視界が、完全に変わった。


世界の色が消える。


地下通路。


仲間。


瓦礫。


全部が黒と銀だけの輪郭へ変わっていく。


黒星が、異常なほど歓喜していた。


まるで。


“待っていた”みたいに。


『喰え』


声。


頭の奥。


黒星の深部。


『同類を』


ノアは歯を食いしばる。


「……うるせぇ」


だが、声は止まらない。


黒い穴――ミニゲートから、無数の手が這い出してくる。


ギチギチ、と。


空間を軋ませながら。


地下通路の壁へ触れた瞬間、その部分が“消えた”。


爆発じゃない。


崩壊でもない。


存在そのものが削除されている。


アークが青ざめる。


「冗談だろ……!」


セシリアが剣を握り直す。


だが、その手に僅かに震えがあった。


怖い。


本能が理解している。


あれに触れたら終わる。


喰星は静かに言った。


「黒星は門だ」


銀色の瞳。


その奥で、何かが蠢いている。


「向こう側を呼び込み、喰らい、成長する」


ドクン。


《蓄積値:402》


ノアの頭へ情報が流れ込む。


門。


黒星。


喰星。


災害。


“王”。


その断片の中で、ひとつだけ鮮明な光景があった。


黒い空。


崩壊した世界。


巨大な銀星。


そして。


山みたいに積み上がった死体。


ノアの呼吸が乱れる。


「っ……!」


喰星が、微かに笑った。


「見えているだろう?」


その瞬間。


ミニゲートから伸びた黒い手が、一斉にノアへ襲い掛かった。


轟音。


地下通路が崩れる。


ノアは反射で跳んだ。


速い。


だが。


見える。


黒星が、手の軌道を全部教えてくる。


ドクン。


《蓄積値:405》


ノアの黒腕が膨れ上がる。


黒い影が、無数の手へ噛みついた。


ギチギチギチッ!!


喰う。


侵食を。


空間を。


向こう側を。


ノアの頭へ膨大な情報が流れ込む。


痛い。


頭が焼ける。


だが。


止まれない。


喰星の銀の瞳が細まる。


「適応したか」


ノアは地面を蹴った。


真正面。


一直線。


アークが叫ぶ。


「銀目ぇぇ!!」


喰星の周囲へ黒い輪が展開される。


無数の空間刃。


だが。


ノアの視界には全部見えていた。


侵食線。


発動位置。


空間の歪み。


全部。


ノアは最小動作だけで潜り抜ける。


頬が裂ける。


肩が抉れる。


血が飛ぶ。


それでも止まらない。


喰星の目の前。


ノアの黒い瞳が、真っ直ぐ喰星を見据える。


その瞬間。


喰星が、初めて笑みを消した。


ノアの右腕。


そこへ、黒い“星”が浮かび上がっていた。


レインが目を見開く。


「……星紋」


ノア自身も知らない。


だが、分かる。


これは“次の段階”だ。


ドクンッ!!!


《蓄積値:410》


黒い星紋が、右腕全体へ広がる。


空間が軋む。


黒星が、さらに深く開く。


ノアは短剣を握り直した。


その刃へ、黒い影が絡みつく。


喰星の銀の瞳が細まる。


「……なるほど」


次の瞬間。


ノアが消えた。


轟音。


地下通路の床が弾け飛ぶ。


アークですら、もう目で追えない。


黒い残像だけが走る。


喰星の目前。


ノアの短剣が振り下ろされる。


ギィィィィンッ!!!


衝突。


空間が悲鳴を上げた。


喰星の障壁へ、ヒビが入る。


レインの顔色が変わる。


「空間障壁を……割った?」


喰星の銀の瞳が、僅かに揺れる。


ノアは笑った。


黒い瞳のまま。


「……届いた」


その瞬間。


喰星の表情が、初めて変わった。


歓喜。


まるで長く探していた獲物を見つけたみたいに。


「素晴らしい」


地下通路のミニゲートが、一気に広がった。


黒い空間が裂ける。


その奥。


巨大な“目”が、ゆっくり開いた。

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