↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラン 魔を狩りし者へようこそ ~深淵を目指す英雄見習いコンビ~  作者: 鎖月 弥生
第2章 巻き込まれる英雄見習い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/77

第70層目

 ほぼ初対面みたいなものということもあり、打ち上げ中は基本的に今回の一件が会話の中心だった。


 俺たちがどんな感じで防衛戦をしていたかを話せばドン引きされ、逆に掃討部隊の指示系統麻痺の酷さに呆れたりしていた。


 そして気づけば、それなりに用意していた食材を全て使い切っていた。


「ふむ、キリもいいしそろそろお開きにするか」


「そうっすね。まだ食べ足りない人がいたら追加で食材も出せなくはないっすけど、いる人ー!」


 一瞬クチナシさんが手を挙げかけたのが見えたが、気のせいだったみたいだ。

 お姉さん、〆の焼きそばを一人で二玉食べてましたよね……?


「よし、では一旦お開きとするか」

「私とホオヅキで洗い物はするから、カルマは水だけ頼む」


「はーい!」

「りょーかいっす」


 調理台の近くに空間魔法で桶を創造し、その中へ水魔法で温水を溜めておく。

 姉御たちが洗い物に取り掛かったのを確認して、その場を離れる。


「相棒、コンロ周りは俺らで片そうぜ」

「1号たちはテントの設営を頼む」


「そうだね、役割分担はそれでいいと思う」


「よっし、じゃあ食後の腹ごなしがてらやりますか」


「あっ、私も手伝いますね!」


「助かるっす。じゃあ鉄板とかは俺らが運ぶんで、金網とかを姉御たちの所へ運んでもらっていいっすか?」


「分かりました!」



 ーーーーー



 そんなこんなで全員がテキパキと片付けをこなし、就寝となった訳だが、普段は睡眠のいらない分身たちに見張りを任せているところ、1号に「いい加減休ませろ」とボイコットされたため、仕方なく代わりに俺が見張りをすることになった。


 まぁぶっちゃけ相棒の背中で5日も寝てたから眠気は皆無だし、訛った体の感覚を取り戻すのに少し動きたかったからちょうどいい。


 コンロに残った炭を焚き火台へ移し、薪を適宜追加しながら愛剣を振るう。


 最近は範囲攻撃したいからと変なものばかり振り回していたが、やはり剣を振っているのが一番しっくりくる。


 剣術スキルの記憶に眠る英霊たちの太刀筋を思い出しながら、防衛戦以降雑になっていた武器の振り方を矯正していく。


 剣を振り抜く音に、時折爆ぜる薪の音が混じる中、幾ばくかの時を過ごしていると、背後から足音が聞こえる。


 まっ、常時展開している天の眼(スカイアイ)と熱感知で誰が来てるかは、背後の人物がテントを出てきた時から知ってんだけどな。


 ということで、まさかこちらが急に振り返ると思っていなかったのか、驚いた顔で固まる目の前の人へ声を掛けるとするか。


「どうしたんすか、クチナシさん」


「眠れなくて、少し夜風に当たりに来ました……なんて言ったら誤魔化されてくれますか?」


「そうっすねぇ、誤魔化されて欲しいのであれば?」


「ふふっ、なら誤魔化されてくださいな」


 ダンジョンの中で寝付けないことが許されるのは新米までで、Eランクになってもそんな泣き言を言ってる者は冒険者に向いてないとされている。


 それにこのダンジョンは茜色の空で夕方固定だ。夜風もクソもない。


 よって何を企んでいるのか知らんが、遠回しに俺へ用があると伝えられた現状、一旦鍛錬を中断するとするか。


 幸いにも一通り俺が参考にしている型は振り終えている。

 訛っていた体もだいぶ解れたことだし、思惑に乗るのも一興だろう。


「それで、俺にどのような要件っすか?」


「では単刀直入に、カルマさんたちは今後もクランに入る予定は無いのですか?」


「そうっすね。例え最大手のクランから勧誘が来たとしても、俺たちが入ることはないっすね」


「やはりそうですか……それは自分たちでクランを創るからですか?」


 へぇ……そこに気づくか。


「よく分かったっすね」


「Dランク以上の冒険者かつ拠点となる施設を所持していることが、クランを創る条件ですからね。今回の騒動でクランに加入していないところを見ると、誰でも想像できるかと」

「まぁうち(天下布武)のスカウトマンはそんなことも想像できず、カルマさんたちが誘いを断ったことに憤慨していましたが……」


 えぇ……知らんがな……。

 確かに誘いを断った記憶はあるが、もしかしてそれで今回の足を引っ張った件に繋がってくるのか?


 益々そんなクランに入りたくなんてないが……。


「そんなみみっちぃ人のことはどうでも良くて、クランを創る際に推奨されてる所属予定冒険者の人数についてはどうするつもりなのですか?」


「それを聞かれると耳が痛いっすね。確か最低10人でしたっすよね?」


「そうですね。Dランク以上の冒険者であるクランリーダーと副リーダーにプラスして、ランクを問わずフルパーティを組める8人が推奨されていますね」


「一応、学園時代の後輩パーティと秘書兼メンバーとして姉御に加入してもらって、人数はクリアする予定っすね」


「なるほど。でしたらそこに私たちを加えていただくことはできますか?」


 ほぇ?


「ふふっ、ようやく一泡吹かせることができました」


 手で口元を隠しながら上品に笑うクチナシさんを尻目に、俺は休んでいる2号の思考を引っ張り出し、並列思考を回す。


 2号から、俺が寝ている間の記憶が流れ込んでくる。


 今回の功績を踏まえると、いくつかEランクダンジョンをクリアしたら半年くらいでDランクへ上がれるだろうという姉御の談。


 俺らがいくつか定めた目標の一つに近づくなとポロッと零した姉御と、それを聞き逃さなかったホオヅキさん。


 問い詰められてタジタジになる相棒……シンプルに可哀想だな。


 打ち上げの話を出して何とかホオヅキさんからの追及を振り切り、俺を起こすことを提案した相棒。

 そして、後ろめたかったのかそれを了承する姉御。


 色々と準備をする分身たちへ天下布武の愚痴を言いながら、探りを入れていたクチナシさん。


 とりあえず何となくは理解した、サンキュ2号。


 姉御には今回の打ち上げ代を盛大に吹っかけるとして、今はクチナシさんたちをどうするかだな……。


 いや、マジでどうすっべ???

 主に激重感情持ちの過保護シスコンお兄ちゃんの対処をさぁ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。