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クラン 魔を狩りし者へようこそ ~深淵を目指す英雄見習いコンビ~  作者: 鎖月 弥生
第2章 巻き込まれる英雄見習い

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第68層目

気付けば13日も空いてました……!


体調不良と仕事のバタバタが重なってしまいましたが、ようやく続きを書けました。

お待たせしてしまい申し訳ありません。


また更新を再開していきます!


ただ、以前は2日おきの更新を目標にしていましたが、仕事が忙しくなってきたため、今後は**3日おき**を目安に更新していこうと思います。


無理なく続けていくことを優先したいので、温かく見守っていただけると嬉しいです。

今後ともよろしくお願いします!


 英霊喚起(ヒロイックコール)を解除したことで、スキルの記憶から現実へ意識が戻る。


 視界がぼんやりする中で周囲を確認したところ、どうやら今は階層間の階段を降りているところらしい。


「ただいま、相棒」

「今はどの辺だ?」


「おかえり、カルマ」

「今は20層に向かう階段を降りてるところだよ」


「おっけ、ならギリ間に合った感じか」


「そうだね。それでどうだったの?」


「あー、その前に即時再生借りていいか?」

「ソウルの反動に効くのか試しがてら、極限集中(オーバーロード)を解除したい」


「それもそうだね。移心伝身(いしんでんしん)、即時再生」


 脳裏にスキルの知識が流れてくる。


 ……あぁ、相棒がこのスキルを持ったら無敵だろうな。

 そう思うくらい、無茶苦茶な性能をしてやがる。


 できることなら俺も借りっぱなしにしておきたいところだが、それよりも普段は俺が覚えていない系統の魔法スキルを借りた方が、戦略の幅が広がって良いだろうか。


 なんて現実逃避をしている間に、ポーションで誤魔化していた体の痛みや倦怠感が無くなった。


 これが即時再生の効果かね……。


 この調子で極限集中(オーバーロード)の反動もどうにかしてほしいもんだ。


 極限集中、解除。


 ……。


 あー、はいはい、分かってましたよ!


 どんだけ凄いスキルでもソウルの反動を無くすことは()()()()ってことをな!!!


 ソウルの反動による頭痛と、即時再生による鎮痛が交互に襲いかかり、それによって更なる強度で頭痛が襲いかかる……を延々と繰り返すせいで、そろそろマジで頭が割れる。


「相棒! 返す! むりこれ!!!」


「えっ? わっ! 分かった!」


 頭痛と鎮痛のシャトルランから解放され、いつも通りの頭痛に襲われる。


 先程のことがあっていつもより痛い気がするが、シャトルラン中に比べたらまだマシか……。


 あまりの頭痛で涙が出ていたので手の甲で拭うと、ベットリとした感触と共に手の甲が赤く染まっていた。


 おいおい、血涙してたのかよ……。

 そりゃこっちを見た相棒も慌てるわ。


 とりあえずポーションを一瓶あおり、他に体に違和感がないか確認する。


 ……血涙していた以外、特に問題は無さそうだな。


「カルマ、大丈夫?」


「あぁ、なんとかな……」

「反動による頭痛と即時再生による鎮痛が交互にやって来て、危うく気が狂うとこだったぜ……」


「そうだったんだ。やっぱりソウルの反動は甘んじて受けないとダメなんだね」


「みたいだな」

「ただまぁ、英霊模倣ヒロイックイミテーション後の体の痛みには十分効くみたいだから、そのタイミングで借りるのはありだろうな」


「ポーション代もバカにならないし、いいんじゃないかな?」

「まぁその時に僕が移心伝身を使える状態だったら、だけどね」


「たしかに、それはそうだな」


 だいたい俺が英霊模倣を使ってる時は、相棒も鬼人化を使ってることが多い。


 その状態で移心伝身できるかと聞かれると、ぶっちゃけ戦闘終了時には鬼に意識を飲まれかけてるか、反動で闘争心MAXかの二択だから正直怪しいところだ。


「もうそろそろ20層に着くし、秋音先輩たちと合流するまで寝てていいよ」


「ほんとか? 悪ぃな、相棒」


「大丈夫だよ。じゃあ着いたら起こすね」


「あぁ、頼んだ」


 相棒の言葉に甘えて、少しでもこの頭痛から逃れるため眠りにつく。


 相棒の走るフォームが綺麗なのもあるが、天の道(スカイロード)が平面なお陰で全然揺れないんだよな。


 お陰さまで夜行バスよりもよく寝れるぜ。


 ーーーーー


『君が僕と会うにはまだまだ青いよ』


『もっともっと愉しい子になってからおいで』


『だからつまらない子にならないでね? 英雄見習い(僕らのヒーロー)くん』


 ーーーーー


「……ルマ! カルマ起きて!」


「私らを待たせといてグッスリと寝てる不届き者を下ろしな、サズキ」

「もっと深い眠りに誘ってやる」


「大変だよカルマ! 命の危機だよ!!!」


 珍しく騒がしい相棒の声とガクガク揺れる身体に、夢の中を揺蕩っていた意識が呼び戻される。


「誰が青二才のヒーローだ、コノヤロウ……」


「よーし、遺言はそれでいいんだな?」


「ふぇ?」


 目を開けると目の前に相棒の背中はなく、何故か俺の胸ぐらを掴みながら、とてもいい笑顔を浮かべる姉御が視界いっぱいに映る。


「姉御!? 怖いっすよ!?」


「寝起きにこんな美少女の笑みが見えるなんて、()()5()()眠りこけていたバカルマにはもったいないと言うのに、よりにもよって第一声が怖いとは」


 あまりにも唐突な事態に脳が混乱しているが、間違いじゃなければ姉御は今、俺が5日も寝ていたと言ったか?


「今姉御が言ったのは本当か、相棒」


「うん。秋音先輩達と合流した時に起こそうとしたんだけど何しても起きなくてね」

「とりあえず呼吸が落ち着いてたのと、僕の(即時再生)を貸してたから、一旦起きるまで階層を降りながら様子を見ようってことになったんだ」


「その結果、俺は今の今まで眠ってて、まる5日経過していたわけか……」


「そうだ。ついでに言うなら見ての通りここは39層目。カルマの定期確認を済ませ次第、40層目に行く予定だったところだ」


 そう言った姉御は俺の目を覗き込み、何か納得したのか一つ頷いて俺を解放する。


「とりあえず現状は把握できたっす。心配かけて申し訳ないっす」


「もう大丈夫なんだね、カルマ」


「あぁ。頭痛もなんもないから大丈夫なはずだ」


「サズキから聞いたことを踏まえた上で恐らくだが、長時間の戦闘状態をこなした上で、反動の強いソウルを複数回使ったから脳がシャットダウンされたんだろうな」


「あー、たしかにひっどい頭痛だった記憶があるっす」


「これに懲りたら、せめて反動中にソウルを再使用することは止めるんだな」


「うっす」


 まぁ恐らくだが、即時再生で反動を帳消しにしようとしたのも含まれてるだろうな……。


 この感じだとクチナシさん達には隠してるっぽいから、口裏は合わせておくか。


 つっても5日ねぇ……。

 俺の感覚的には30分くらいなんだがな。


 軽い浦島太郎状態になっちまったぜ。


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