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クラン 魔を狩りし者へようこそ ~深淵を目指す英雄見習いコンビ~  作者: 鎖月 弥生
第2章 巻き込まれる英雄見習い

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第65層目

 俺も相棒もまだ万全とは言えないが、モタモタしていたせいで半魚人どもがリポップしだしたら目も当てられないので、分身達の肩を借りながら移動を開始する。


「そういや姉御、30層の中ボスと40層のボスはどうなってるんすか?」


「基本的に溢れ終息後、約1週間はリポップしないと言われているから問題ないはずだ」


「そうなんすね。なら急いだ方がいいっすよね」


「そうだな」


 姉御がこちらに何かを求めるような視線を向けてくる。


 いやまぁ、それが1番楽ではあるだろうが、意外とめんどいんだぞ???


「仕方ないっすねぇ」

「1号たち、俺らのことはいいから姉御たちに1人ずつ着いてくれ」


 相棒と支え合うように立ちながら、分身たちがそれぞれ姉御たちと並び立ったのを確認する。


「そいじゃま、階段の方に向かってそれぞれジャンプで向かってくれ」

「相棒は俺が連れてく」


 こちらに敬礼を返した2号を筆頭に、連続ジャンプでみるみるうちに遠のいていく。


「んー、やっぱ短距離とはいえ転移できるのは便利だな」


「そうだね」


「そいで、お互いに色々聞きたいことはあるだろうが、先に一旦これを砕いてくれ」


 相棒用に残しておいた2つのオーブを渡し、砕いたのを見届ける。


 1つ目を砕いた時は変わらなかった表情が、2つ目を砕いた瞬間に驚愕に染まった。

 これは、大当たりを引いたか?


「そんな顔して何を引いたんだ?」


「1つ目は使役スキルだったんだけどね」


 使役スキルか。

 テイマー系の冒険者御用達のスキルだな。


 鞭術を手に入れてたことといい、意外とテイマー適性高いんだな相棒。

 ……その割には魔法スキルの才能がないのは不思議だけどな。


 まぁ、それはさておいて。


「2つ目が問題だったんだな?」


 神妙な顔をして頷く相棒に、こちらも何が来てもいいよう覚悟をする。


「うん、高速再生が手に入ったよ」


「同名スキルが? ということは……」


「カルマの予想通り、進化したよ」

「即時再生だって。効果を確認した感じ、()()()()()()()()死ぬことは無さそうだよ」


 おいおい、流石にそれは想定外だぞ?

 ただでさえ打たれ強い相棒がさらに強くなるだと?


「スキルは脳に宿るって仮説があるが、それを聞くと案外正しいのかもな」


「そうだね」

「とりあえず今取得したスキルに関してはこれくらいかな。カルマからは他にある?」


「いや、特にはねぇな」

「強いて言うなら選定報酬でハイゴンが持ってたトライデントと、奴らの鱗で作られたっぽいスケイルメイルが手に入ったくらいだな」


「そうなんだね。その子たちはどうするの?」


「今のところ効果次第だな。有用な物なら残しとくし、俺らに不要なら売却かな」


「ん、分かった」


「んじゃ、相棒の番だな……と言いたいところだが、一旦俺達も移動しよう」

「あんまり置いてかれると心配されかねん」


「そうだね。即時再生が手に入って直ぐに効果が発動したみたいで、僕はもう元気だからおぶってくよ」


「さんきゅ」


 相棒に背負われて、いつも通りの空の旅を開始する。


「あー、そうだ相棒」

「風魔法貸してくれない?」


「いいけど、どうしたの?」


「ちと試したい事があってな」


「そか、分かったよ」

移心伝身(いしんでんしん)、風魔法」


 脳裏に風魔法の知識が流れてきたことで、スキルを貸して貰えたことを確認する。


 んじゃ、いっちょ試してみますか。


「モード:ウィンド、タイプ:サイレント」

「モード:スペース、タイプ:エリア」


「モード:カオス、タイプ:ミュートルーム」


 俺を中心に半径1m程の空間を防音室状態にするイメージで混成魔法を発動したが、何とか上手くいったみたいだな。


「発動名を聞いた感じ、遮音性を高めたみたいだけど、どうしてそんな事を?」


「特段これといった明確なものはないんだが、相棒からの話を他の人に聞かれるとマズいと思ってな」

「おそらくだが、ホオヅキさんは五感系の察知スキルかバフ持ちだ」

「聴覚を強化されて聞かれたら姉御に伝わるのも確実だからな。今はまだ俺たちだけの案件にしておきたい」


「それはいつもの勘かい?」


「あぁ」


「なら秋音先輩には当分内緒にしとくね」


「すまんな」


「気にしないで。たぶんカルマの事だし、君のタイミングに任せるよ」


 今の相棒の言い方のニュアンス的に、相棒からの話題はどうやら俺の事っぽいが、どういう事だ?


「あっ、階段が見えてきたね」

「17層目に降りたら、僕の話聞いてね?」


「もちろん、任せろ?」


 天の眼(スカイアイ)が階段の前で俺らを待っている姉御たちを捉える。


 変に詮索されるのも嫌だから一旦ミュートルームを解除してから、相棒に合流してもらう。


「サズキはもう大丈夫なんだな」


「はい」


「ただカルマはその様子だとまだ厳しそうだな」


「申し訳ないっすけど、まだ頭が痛いっす」


 並列思考と併用する機会が増えたせいか、ソウルの反動が今までの1.5倍くらい痛みが増したんだよな……。


 並列思考そのものまで思考加速の対象にしてるから仕方ないんだが、何とか上手い回避方法考えないとだよな。


「分身たちは影響無いみたいだから、以降の階層も私たちの足になってもらうがいいな?」


「うっす。俺は相棒に運んでもらうんで、姉御達は気にせず行って欲しいっす」

「一応5層くらいなら離れても大丈夫なのを確認してるっす」


「分かった。じゃあ余裕もって次は21層に降りる階段の前で合流しよう」


「りょーかいっす」

「んじゃ1号たち、引き続き姉御たちを頼むぜ」


 ミュートルーム、早速意味が無くなったか?

 いやまぁ、そんなすぐ距離離されることは無いだろうし、それまで使うだろうから無意味ではないか。


 はてさて、相棒からどんな話題が出てくることやら。


 たぶん移心伝身(いしんでんしん)スキル関係だとは思うんだけどな。


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