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クラン 魔を狩りし者へようこそ ~深淵を目指す英雄見習いコンビ~  作者: 鎖月 弥生
第2章 巻き込まれる英雄見習い

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第61層目

 お約束に抗えたらいいなの気持ちで、双剣から和弓に戻して脆弱の呪いを込めた矢を放ったが、残念ながら溢れ出る水によって穿った穴が即座に埋められてしまった。


英霊模倣ヒロイックイミテーションしての火力でもぶち抜けないか」


「Aランクパーティーが色々バフとデバフをかけた一撃でも、Eランクダンジョンの合体を阻止できなかったって記録があるからね」

「今のカルマの攻撃に対する反応を見るに、本当に無敵なんだと思うよ」


「どうせなら俺らの変身系スキルやソウルも無敵ならいいのに」


「そうだね、カルマの英霊(ヒロイック)系は無敵時間ないもんね」


 全くもって相棒の言う通りだ。


 こちとら毎回律儀に敵と距離を取ってから英霊系を発動しているからな...。

 こうして考えると、人類側とダンジョン側はスキルとかの仕組みが異なるんかね。


 そんなこんなで警戒を続けているとダゴンとハイドラが水球に飲み込まれて一分が経過した

 そのタイミングで水球が膨張し始めたので相棒と距離を取る。


 膨張した水球が弾け、ダゴンとハイドラだったものが姿を現す。


「凄いな、王道っちゃ王道か」


「そうだね、合体って言ったらこんな感じだよね」


 一回り大きくなった体格。


 両手に一本ずつ持ったトライデント。


 首元から生える()()()()()()の双頭。


 んー、妥当も妥当。


「ここまで王道だと倒し方も王道かね」


「そうだね、こうなると双頭を同時にへし折るとかしないと、ずっと復活してきそう」


「名称は...ハイゴンとかでいいか」


「分かった、ハイゴンね」


「それと、あとどれくらい持ちそうだ相棒」


「五分...いや、あと十分は持ちこたえてみせるよ」


「おっけ、なら五分で終わらせるぞ」


「了解」


 移心伝身(いしんでんしん)の効果は未だに切れていないため、お互いに隠密スキルを起動する。


 上空へ駆け上がったであろう相棒を援護するために円柱状に霧を展開。


 熱感知スキルが反応を示す熱源に、先ほどと同様に脆弱の呪いを込めた矢を数本射る。


 射った結果を確認する前に和弓を双剣状態に戻し、距離を詰める。


 俺の意図を汲んで上空から強襲したであろう相棒がハイゴンを蹴りつけたのに紛れて、矢が当たった事で炭化していた左腕めがけて剣を振り下ろし、そのまま霧の中へ離脱する。


 背後で重たいものが落ちた音がしたので、炭化した腕とトライデントの片方が落ちたと思って良さそうだな。


 俺が合わせる事前提で相棒が立ち回ってくれているので、その信頼に応える為に行動を合わせる。


 相棒が(デコイ)スキルを起動しながら上空からの強襲でハイゴンの意識を上に向けてくれている間に、ハイゴンの両足の腱を斬る。


 離脱する相棒に向けられて放たれた水魔法を炎魔法で生成した壁で相殺すると同時に、相棒の姿を隠す。


 ハイゴンが自身の姿を隠す為に纏った闇魔法を押し流すように水流をぶつけ、波が避けた箇所に火矢を飛ばして明かりを灯す。


 俺らの攻撃を一身に受けるも、高い再生能力に任せて強引にトライデントを振り回して反撃を試みるハイゴンの裏を取り、両翼を切り落とす。


「鳴無流――轟雷鬼(ごうらいき)


 相棒の踵落としが双頭の間に突き刺さる。


「カルマ!」


 任せろって、相棒!


 双剣を重ね合わせ大太刀に変化させて、海蛇の首元へと斬りかかる。


 阿吽の呼吸で相棒がウツボの首元をへし折らんとばかりに、天の道(スカイロード)を足場に踏み込み、雷を纏わせた左腕で正拳突きを叩き込む。


 俺と相棒の攻撃によって海蛇の首が斬り落とされ、ウツボの首がへし折れるのは同時であった。


 相棒と距離を取ってハイゴンが黒い煙に変わるのを待つ。


 だが、いつまで経っても双頭を失った胴体が変化することはない。


「ちっ、ほぼ同時じゃダメだったか?」


「でも双頭が復活する様子は見えないし、間違ってはなさそうだよ」


「そうなると、どうしてあいつは消えないんだ...」


 頭が本体じゃないのか?

 いや、考えるのは後だ。


「とりあえず胴体も潰すぞ」


 俺らが警戒しながらハイゴンとの距離を詰めると、ハイゴンはへし折れたウツボの首を自ら強引に引きちぎった。


「は?」


 困惑している間に、斬り落とされていた海蛇の首を拾い、両腕にウツボと海蛇の首を差し込んだ。


 両腕の感触を確かめるように口?をパクパクさせた後、両腕で自身の腹部を食いちぎった。


 食いちぎられた腹部は闇に染まっており、乱雑に広がった空間にサメのような歯が生え始めた。


「神話生物由来とはいえ、自由だね」


「自由というより無法だろ...」

「それはそれとして相棒、熱感知スキルが両腕と腹部の奥に対して強く反応してやがる」


「...三ヶ所同時撃破が必要ってことだね」


「恐らくな」

「両腕は任せろ、胴体は頼んだ」


「分かった」


「あと二分で約束の五分だ、気合いで終わらせるぞ」


 再度隠密スキルを発動したが、こちらの位置を認識しているのか、ハイドラだった方の首から熱線が飛んでくる。


 ちっ、流石に対応してきたか。


 ピット器官か?

 こりゃ霧も意味なさそうだな...。


「相棒!隠密スキルが通用しない!」

「貸し出すスキル変えるぞ!」


「了解!」


 とは言ったものの、相棒と相性が良いスキルか...。


 イチかバチかこれにするか。


「移心伝身、狐火!」


 狐火スキルを渡した瞬間、相棒が炎に包まれる。


「相棒!」


「大丈夫!」


 その声と同時に炎が消えると、三本の尾が生えた相棒が姿を現した。


鬼神変化(トランスオーガ)、鬼神妖狐...ってところかな」


 無事ならそれでいいか。

 じゃあさっさと終わらせよう。


 理性を失って鬼神と妖狐のあいの子になった相棒と戦うのは、面倒くさすぎる!


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