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クラン 魔を狩りし者へようこそ ~深淵を目指す英雄見習いコンビ~  作者: 鎖月 弥生
第2章 巻き込まれる英雄見習い

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第55層目

 起きてきた相棒とホットサンドを食べて軽く体を解した後、姉御達が待つ氷壁の上に戻る。


「早かったじゃないか、もういけるのか?」


「休憩ありがとうございました」


「いつでもやれるっすよ、姉御」


「ふっ、そうか」

「ならいい加減終わらせよう」


 氷壁の端で腕を組む姉御の隣に、不遜な表情をしながら並ぶ。

 呆れた顔をしながらも、反対側に相棒も並んだ。


 そして俺らの後ろにニヤついてる1号と、1号に腕を引っ張られて連れてこられた2号が同様に並ぶ。


 ククッ、何してんだろうな。


「何してんだ、バカども」


「さぁ?様式美かなと」


「なんだそれ」

「まぁいい、お前の奇行は今に始まったことじゃないしな」


「どう動きますか、秋音先輩」


「ホオズキ、この2人にありったけのバフを切らすな」


「おっけー、あーちゃん!」


「クチナシ、コイツらに当たってもいいから適宜デバフを振り撒け」


「分かったよ、アキちゃん!」


「私らが上から援護する、2人は好きに暴れて来い」

「お前らがチマチマ上から攻撃するだけで満足するとは思ってないからな、溜まってる鬱憤を吐き出してこい」


「りょーかいっす」

「分かりました」


 流石姉御、分かってるねぇ。

 いい加減飽きてきたんだよな、ここからチマチマやんの。


「2号!俺らが突っ込むから酸性雨止めていいぞ!」

「代わりに1号と一緒に着いて来てくれ!」


「カルマ、僕は中央に行くね」


「分かった、俺は左で分身たちは右に行かせる」


 相棒に(デコイ)スキルを使いながら中央で暴れてもらって、そこに誘き寄せられてく奴らを俺らで暗殺してくのが1番手っ取り早いか。


「ホオズキさん、もし俺ら見失ったら相棒にバフ優先でおなしゃす」


「分かったよー!でも、見失わないからまかせてね!」


「うっす、お願いするっす」

「クチナシさんも、相棒の周り優先でデバフお願いするっす」


「分かりました、風が吹き抜けたらデバフがかかると思っていてください」


「りょーかいっす」

「姉御」


「分かってる、回復と援護は任せろ」

「お前らをそう易々と死なせはせん、馬車馬の如く働いてもらわないとだからな」


「そうすっね、じゃあ命預けるっすよ」


 ...。


「なぁ、相棒」

「ねぇ、カルマ」


「「愉しもうか(ね)!!!」」


 風に背中を押され、勢いよく相棒と共に氷壁を飛び降りる。


 着地すると同時に認識する世界が若干遅くなり、続いて体の奥底から力が湧き上がってくる感覚がする。


 思考加速と身体強化のバフか、ありがたい!


 その場で2回ほど跳ね、身体強化度合いを確認してから相棒達と別れ、半魚人共に突撃する。


 隠密スキルを発動、重ねて空間魔法で認識阻害魔法を発動。

 近くにいた半魚人が俺を見失ってキョロキョロと辺りを見ているうちに首を刎ねる。


 首を刎ねる度に隠密スキルをかけ直し、間抜けな面を晒す半魚人から順に辻斬りしていく。


 だいぶ数が減ったとはいえ、まだまだ半魚人共は沢山いる。

 効率良く首を刎ねて行こうか!



 ーーーーー



 Side サズキ


 呪いを含んだ風が僕の後方から吹き抜ける度に、体から力が抜ける感覚がするけど、その直後に力が抜ける前以上に漲る活力に振り回されながら戦闘を続ける。


 囮スキルを半ば無意識でかけ直し、近寄ってきた半魚人を先程から棍棒代わりにしてる人魚で払い飛ばす。


 んー、そろそろこの個体も限界かな?

 という事で最後にひと仕事お願いね。


 この数日間使い続けた投擲スキルに身を委ね、ジャイアントスイングの要領でこちらに向かってくる半魚人共に投げつける。


 人魚にぶつかった個体が吹っ飛んで、さらに後ろの個体にぶつかっていく。


 ひーふーみーよー...10体倒れたからストライクでいいかな?


 吹き飛び倒れ、ひと塊になったところに氷壁から雷撃が落ちる。


 轟音に誘き寄せられた個体を屠りながら、雷撃が落ちた先を見れば半魚人共は跡形もなく消え、黒い煙が昇っていた。


 さすが秋音先輩、よく見てくれてる。


 基本的に僕は回復魔法要らないし、カルマもそんなヘマしないから秋音先輩はこうやって僕が集めた所に魔法を撃ち込んでくれる。


 そのお陰で中央で戦闘を続けてもキャパオーバーすること無く暴れられる。


 鎖を炎鎖(えんさ)状態にして魔法を使おうとする人魚達を牽制。

 槍を振り上げる半魚人の懐に潜り込んで掌底。

 ダガー持ちの攻撃で脇腹が抉られるもその腕を掴んで反転、地面に投げ落とす。


 足元に転がる半魚人の頭を踏み抜きながら、脇腹が再生したことを痛みが引いたことで確認して、再度魔法を使おうとする人魚達へ吶喊。


 魔法を唱えるのを止めて、そんな引きつった顔してどうしたんだい?

 僕はただ吠えただけじゃないか、狂騒(きょうそう)スキルを使いながらね。


 この防衛戦中、カルマが仮眠している間は1号が代わりに球を作ってくれてたんだけど、1号だけだと混成魔法が使えないからただの氷の球だったんだよね。


 でもそれだけじゃ全然半魚人共は止まらないから、仕方なく、仕方なーくだよ?

 氷壁の上から飛び降りて殴り飛ばしてたんだよね。


 その時に自分に喝を入れたりするために吠えてたら、この狂騒スキルが生えてきた。


 効果は単純、僕の声が聞こえた範囲の敵が僕に劣ってたら怯むのと、僕の身体能力が強化される。


 これのお陰で魔法を使おうとする人魚達は軒並み陸に打ち上げられた魚になったから、だいぶ対処が楽になった。


 いくら生きてる限り傷が治るとはいえ、痛いもんは痛いからね。


 僕の戦い方を見慣れている秋音先輩は何も思わないだろうけど、クチナシさんたちはどう思うのかな?

 まぁ、僕が正気か狂気かなんて、この闘争には関係ない。


 さぁ、狂い騒ごうか。

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