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クラン 魔を狩りし者へようこそ ~深淵を目指す英雄見習いコンビ~  作者: 鎖月 弥生
第2章 巻き込まれる英雄見習い

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第54層目

 広範囲酸性雨で半魚人共を溶かしながら、相棒の雷魔法を混ぜた氷の球を投擲したり、1号と討伐数勝負を何度か行っていると、遂に終わらない防衛戦が10日目に突入した。


 というか、もはや10日目なのかどうかすらも分からない。


 俺も相棒も集中力が落ちてきているから細かく休憩を取っているが、それでも一度狂った感覚は戻ってこない。


 いやまぁ、休憩の度にスマホで時間を確認しているから10日目ってのは合ってるんだけどな。

 体感的にはもう1ヶ月くらい半魚人共を殲滅してるんだよな...。


 だいぶ下層の個体がここまで来ているのか、酸性雨に溶かされ、相棒の雷に侵されても倒れずに氷壁にまで辿り着く個体が増えてきたので、今は1号と共に氷の球を作りつつ氷壁から引っぺがす作業を続けている。


 安全性を取った結果だから仕方ないとはいえ、どうしても作業感が強く出ているせいで攻撃方法が単調になってしまい、それがより俺たちの時間感覚を狂わせていく。


「ねぇカルマ」


「どうした、相棒」


「そろそろ次の一手を考えないと、次の休憩のタイミングも辛いかも」


「確かにな、つってもどうすっかな」


「現状僕たちにできる限りのことはしているからね、これ以上のことってなるともう休憩をしないとかになりそうだけど」


「そうなったら終わりだぜ」

「俺は肉体的に、相棒は精神的に限界が来て気絶コースさ」


「そうなっちゃうよね」


「ということで真面目に考えないとなんだが...」


 まーじでなんも良案が思いつかん。


 1号と混成魔法を発動するって手もあるにはあるんだが、ぶっちゃけ俺も1号も長時間維持し続けるの苦手だから最終手段なんだよな。


 俺と相棒がそれぞれ仮眠中にソウルを使用して、人数が減った分を補うって案もあるが、まだこのあとに()()()()のボスが残っていることを考えると使いづらい。


 防衛戦も10日目...ということは、そろそろ期待してもいいのかねぇ?


 良案が思いつかず、幻想に期待しようとしたタイミングだった

 初日から頭上から全体を見下ろす形で発動していた天の眼(スカイアイ)と併用する形で、一応発動するだけ発動していた熱感知スキルが、()()()熱源が3つ出現したことを感知する。


「なぁ、相棒」

「相棒なら上層を10日間あれば掃討しきれるか?」


「...ッ!そうだね、僕とカルマたちでならいけるんじゃないかな」


「じゃあ俺らの代わりにEランク冒険者パーティーが複数なら?」


「ふふっ、そうだねぇ」

「僕らの姉御いるからね、()()じゃないかな」


「よぉ、無茶無謀大好き自殺志願者コンビ」

()()()()()()()()()


 聞き馴染みのある声と共に俺らの間を風が吹き抜け、氷壁に纏わりついていた半魚人共が風に押しやられて、再度酸性雨に飲み込まれたのが見える。


 これなら一息ついてもいいか?


「遅かったすねぇ、姉御」


「待ってましたよ、秋音先輩」


「遅くなったことはさっき謝ったろ...」

「まぁいいか、戦線を私たちで維持するから2人は少し寝てこい」


「戦線維持してくれるのは助かるっすけど、仮眠までしていいんすか?」


「2人とも休憩は取っても()()()寝てないんだろ、いいから寝とけ」

「起きたら馬車馬の如く働いてもらうつもりだしな」


「相変わらず手厳しいですね、秋音先輩は」

「カルマ、ここはお言葉に甘えて仮眠を取らせてもらお」


「だな、んじゃ姉御方よろしく頼むっす」


「おうさ」

「ウチたちに任せといてー!」

「心配せずに休んでください」


 姉御方に見送られながら氷壁を降りて、休憩の度に徐々に豪華にした結果、イグルーと化したキャンプ地に向かう。


 いやね?

 ココのダンジョン地味に暑いからさ、水魔法の親和性が上がった俺はそこまで気にならないけど、どうせなら相棒も涼しく休憩できるように色々遊んだ結果です。


 ということで反省も後悔もしていません!


 強いて言うなら氷の砦を維持するついでに管理を任されている3号に、すまない気持ちが少しあるが、こいつイグルーの中でのんびりしてるから罪悪感は皆無である。


「3号、今から俺ら仮眠取るから3時間後に何が何でも起こしてくれ」


「あとは秋音先輩たちがヤバそうだったらすぐ起こしてね」


 イグルーに設置したロッキングチェアに座って揺れていた3号を目覚まし代わりにして、床に敷いた布団に潜り込む。


 寝袋?

 緊急事態が発生した時にすぐに動けない気がするという個人的な理由で不採用です。


 まぁ俺が無限容量の空間収納持ちだからってのもあるけどな。



 ―――――



 うぐぐ...ぐるしっ!


 唐突に息苦しさに襲われて反射的に起き上がれば、同様に飛び起きた相棒と、呆れた顔をしてこちらを見ている3号がいた。


 ...この感じだと3時間経過して起こそうとしたけど、2人とも一向に起きないから水魔法で強制的に起こしたわけか。


 手荒な起こし方に文句を言いたい気持ちもあるが、今はそんな時間がないから我慢して、未だに寝ぼけている相棒を起こすとするか。


「相棒、時間だから起きな」


「うん...うん、起きるからちょっと待って...」


「ほいよ、ちょっと見た感じまだ余裕ありそうだから、ホットサンド作って待ってるわ」


「ありがとう」


 はてさて、そろそろこの防衛戦に終わりが見えてきたな。

 ここはいっちょ縁起よくホットカツサンドにしようかね。


 いいじゃん?

 熱く勝っていこうぜ。


 起きてから妙に嫌な予感がするしな…

 もうひと悶着ありそうだ


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