第47層目
今回はいつもより少し重めです。
少し遅くなりましたが、その分しっかり書けた回です。
彼らの選択がどう転ぶのか、見届けてもらえたら嬉しいです。
その後も報酬分配の話や、依頼達成時の貢献度についてやら、姉御からの有難いお言葉などがあった。
ただ、そんな事よりもどうやって力量を見せつけるかを考えていたので、話半分で聞いていて内容はあまり覚えてない。
まぁ、報酬は掃討組が6、援護組が3で、残った1を人数割にすることだけ覚えておけばいいだろう。
お金のことは大事だ。ここをぽけっとしていると父上に怒られるんだよな...
まぁそのお陰で、この歳にしては多すぎるお金を得ても、まともな金銭感覚でいられているので有難い限りだ。
相棒?
父上もべた褒めするくらい金銭管理が上手だから、なんの面白みもない。
まぁだからパーティの資産は相棒に任せてるんだけどな。
閑話休題
姉御のありがたーいお話も終わり、会議はお開きとなった。
この後は各自攻略用の装備に着替えて、順次ダンジョンへと向かうことになっている。
ということで俺らも更衣室に向かおうとしたのだが、文武常道の方々と話していた姉御から待ったがかかる。
「お前ら、そそくさと逃げようとするな」
「ちょっと待ってろ」
「うす」
「分かりました」
隣から爛々とした視線が注がれているが、ガン無視してスマホを触るフリをしながらチェスト内の備品を確認する。
頼むぜぇ、苦労人お姉さん。
その調子でギャルの口と肩を抑えて留めておいてくれ。
チェストの中を最終チェックすること15分程、ようやく話のキリが付いた姉御がこちらへ来る。
「すまん、待たせたな」
「クチナシ、ホオズキ」
「もー!あーちゃん、ウチのことはいつもみたいにましろんって呼んでよ!」
あーちゃん?ましろん???
「TPOを弁えただけだ。それが嫌なら冒険者名をましろんにしたら良かっただろ」
「だってー、とかちゃんがクチナシにしてて格好良かったんだもん!」
「なら諦めて冒険者活動中はホオズキ呼びを受け入れるんだな」
「ぴえん」
ぴえんって口にする人ほんとに居たんだ。
姉御達の勢いに呆気に取られ、思わず相棒の方を見れば、悟りの境地に至ったような顔で目の前のやり取りを見ていた。
こっちはこっちでどうしたんだ???
「ごめんなさい、何度も止めたんですけど、ホオズキちゃんがアキちゃんが喋ってる間に筆談を敢行してて...」
「あぁ、なるほど...」
この感じだと、筆談で許容限界量以上の情報をぶつけられたな?
相棒は対人関係の処理能力が低いから、ギャルの猛攻を受けたら一溜りもないわな。
「それでえっと、クチナシさん?でいいんですかね?」
「はい、なんでしょうか?」
「あの2人の口論というか漫才は止めなくていいんですか?」
「そうですね。ほっといたら勝手に終息するんですけど、たしかに後がつかえてますから止めましょうか」
「ほら2人ともそこまでにして、そこまで時間はないよ」
「「はーい」」
おー、正しく鶴の一声だ。
と言うことはクチナシさんは怒らせると怖いんだな、気をつけとこ。
あとついでに、こっちも相棒を再起動させなきゃ。
隠密スキルを発動して、背後に回って、せーの。
「わっ!」
...!
「うわぁ!!!」
あっぶね、直感先生に従って地面に突っ伏して良かった。
危うく驚いた相棒の後ろ回し蹴りで重症を負うとこだった...
「相棒、帰ってきたかー?」
「おかげさまでね、怪我は?」
「特に無いから大丈夫だ」
「ほらそこ、そっちもそっちでじゃれ合うな」
「「はーい」」
お互いに落ち着きを取り戻し、一旦俺らの向かいにクチナシさん達が立ち、間に姉御が挟まる形となった。
「あー、クチナシ、ホオズキ」
「こっちの2人が例のバカたちだ」
あ?急に姉御に喧嘩売られたが???
「アキちゃん、緊張しているからってそういう言い方しないの」
「チッ」
ほーん、緊張してんのか、ならしかたない。
喧嘩を売られた瞬間に始めたシャドーボクシングを止める。
「んで、サズキ、カルマ」
「こっちが私の幼なじみのクチナシとホオズキだ」
「面識は1度あるらしいな?」
「えっと、はい。一応」
「ならいい。自己紹介とかは後でやってくれ」
「今は要件だけ伝える。それこそ時間が迫ってるからな」
嫌な予感に襲われながらも俺たちが各々返答を返すと、満足気に頷いた姉御が口を開く。
...黙ってな直感先生。耳にするまでは嫌な予感が外れる確率は存在するのだから!
「今回の依頼、4人でパーティを組んでもらう」
Oh mygoodness《嘘だろ》!
薄々分かっちゃいたがマジかよ。
「姉御、本気で言ってんのか?」
「あぁ」
「僕たちが他の人とパーティを組むとパフォーマンスが落ちること、忘れてしまったんですか?」
「忘れるわけが無い」
「なら!」
「だが!それでも!」
「物量に抗うには、こちらも頭数を揃えなければならない」
「それでも拒否するのなら、お前らが見た光景を2人だけで攻略できるのか?」
「それも溢れが発生しない数まで掃討した上でだ」
くそっ、姉御の言うことが正しいから何も言い返せない。
それでも...
「それでも拒否するぞ、姉御」
「不足の事態で俺らのパフォーマンスが落ちるのは、それこそ死に直結する」
「カルマの言う通りですよ、秋音先輩」
「お二人の実力は分かりませんが、2人増えても1号たち以下だと思います」
「分かっている」
「ならどうして2人を」
「天下布武からの条件だ」
「2人に新世代の才能を間近で見させて欲しいとの事だ」
...なんだよそれ、ふざけんなよ」
「先生もそれを許したんかよ」
「あぁ」
「チッ、話になんねぇ」
「見損なったぞ、姉御」
「帰るぞ相棒。DEAからの評価が下がろうが、姉御の顔に泥を塗ろうが、命あっての物種だ」
「文武常道の先輩たちがいるんだ、人数もいる」
「俺らなんていなくても依頼は遂行されるさ」
「そうだね、ごめんなさい秋音先輩」
「流石に僕もカルマに同意します」
制止の声を無視して相棒の肩に手を置いてジャンプを連続発動する。
気が付けば最寄り駅まで帰ってきていた。
はぁ、ダルいな。
んでだよ、姉御...どうしちまったんだよ。




