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クラン 魔を狩りし者へようこそ ~深淵を目指す英雄見習いコンビ~  作者: 鎖月 弥生
第2章 巻き込まれる英雄見習い

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第45層目

 相棒の元実家を後にして、そのまま目と鼻の先にある俺の家へと移動する。


 姉御との約束の時間まではまだ余裕がある。先に夕飯と風呂を済ませておくか。


 1号たちはどうする?

 一応一緒に話は聞くんね、了解。


 こら1号、面倒くさそうな顔しない。

 ポケっとしながらでもいいから聞いとけ、あとで2号に怒られても知らんぞ。


 そんなこんなで俺の部屋でゆったりしていると、姉御から着信が入る。


「カルマ、繋いじゃうね」


「おっけ、お前ら一旦ゲームはストップな」


 分身たちがモニターから視線を外すのを確認して画面へ向き直ると、この時間にしては珍しく部屋着姿で萎れている姉御と、普段通りの先生が映っていた。


「ばんわっす、姉御に先生」

「こんばんは、秋音先輩、万城目先生」


『2人とも元気そうでなによりだ。俺は秋音の補足役として参加させてもらう』


「了解っす」


 先生がいるってことは、今回の会議はそれなりに重要な話があるんだろうな。


 …それはそれとして。


 いい加減、モジモジしてる姉御は見てられん。


『あー、その…なんだ』

『えっと、あれだ…』


「なんすか姉御、らしくもない」

「別に俺らはそこまで気にしてないっすよ。なぁ、相棒?」


「うん、ちょっとびっくりはしたけど、のんびりできたし大丈夫ですよ」


『ウグッ、お前ら…』

『今回はすまなかった。自分たちの影響力を軽視した私が悪い』

『2人に迷惑をかけてしまったことを謝らせて欲しい』


「別にいいっすよ、姉御」

「僕も許します」


『ありがとう…本当にごめんなさい』


 画面越しに頭を下げる姉御を見ていると、なんとも言えない気持ちになる。

 俺らは直接的な被害を受けたわけでもないし、むしろフォロワーが増えて万々歳だ。


 だからまぁ――話題を変えるとするか。

 なぁ、相棒。


「それで秋音先輩、今回の掃討メンバーはどう纏まったんですか?」


『あぁ、それに関してだが――ハルさんのクラン、天下布武(てんかふぶ)の下部組織である文武常道(ぶんぶじょうどう)から2パーティ+α派遣してくれるそうだ』


「文武常道からっすか。ならメンバー的には先輩達が多いっすか?」


『ハル坊には俺から話を通して、うちの学園の卒業生をメインに組んでもらってる』

『ある程度お前らの無茶を知っているメンバーの方がお互い楽だろう』


「そうっすね、助かるっす」


 文武常道は高卒で冒険者を志した初心者を中心に、Dランクまでが所属する組織だ。

 そのため、うちの学園の卒業生は()()()()()として所属することが多い。


 今回のEランクダンジョンなら、人材的にも都合が良かったのだろう。


「流石ですね、秋音先輩」


『まぁな。とはいえ私というより父さんが交渉したようなものだけどな』


『ハル坊は義理堅いやつだからな。新人時代の恩をいつまでも引きずってるだけだ』


「ハルさんの気持ち、分からなくないよね?」


「そうだな。俺らも先生になんかあれば、たとえ微力でも手伝うだろうな」


『お前ら…』

『今はそんな話どうでもいいだろ、秋音から続き聞け』


「先生、照れてるんすね」

『父さん、照れてんね』


『うっさい、お馬鹿ども!』


「『うっす』」


 これ以上先生を揶揄うと雷が落ちてきそうなので、本題に戻す。


「それで姉御、あと1パーティ分の人数はどうするんすか?」


『うちの大学の冒険者サークルから3パーティをローテーションで回す予定だ』

『戦闘力としてはお前らや文武常道には劣るが、自衛と物資運搬、連絡役としてみる分には問題ない』


「確かに、これだけの規模なら収納系のスキルか道具持ちも複数欲しいですもんね」


「ただそれは難しいから姉御の後輩達による人海戦術で補う訳っすね」


『その通りだ。基本的に物資運搬と連絡要員だと思っててくれ』


 まぁ俺らは別に無限収納があるから、物資に関しては問題ない。

 最悪チェストにメモを突っ込んで、姉御にお使いを頼めばいいしな。


 チェストを起動し続けている限り、どうやらダンジョンの外からもアクセスできるようで、ここら辺はクラウド化のイメージをしたのが功を奏した。


『ただ、緊急事態が発生した時は、伝令を出すと同時に、いつも通りチェストにメモを格納してくれ』

『普段の定期確認よりも短い感覚で確認するようにしておく』


「りょーかいっす」


『ここまでがハルさんたちと纏めた内容だ』

『なにか質問はあるか?』


「俺はないっす」


「じゃあ僕から2つ。攻略開始の日付と、その前の顔合わせの有無だけ」


『あぁ、すまない、伝え忘れていたな』

『攻略開始は3日後だ。それまでに準備しておけ。ある程度こちらから逐次物資補給はするが、暖かい食べ物とかは難しいからな』


「頼んだよカルマ」


「ほいよっと、任せとけ」


 時間停止機能様々だが、他の冒険者にバレると面倒だな。

 片手間に食べられるものを分身たちと大量生産するか。


『それと顔合わせについてだが、3日後の攻略開始日に今回の依頼内容のすり合わせを行う予定だ』


「じゃあそこで顔合わせを兼ねる感じですね」


『その認識で大丈夫だ。一応、私が今回の依頼受注者になるから、当日は私が司会進行する』

『2人はなるべくそばに居てくれ。今のダンジョン内の情報を握ってるのはお前らだけだからな』


「りょーかいっす」

「分かりました」


『じゃあまた3日後。なにか変更があれば別途連絡するようにする』

『またな』


「うっす、お疲れ様っした」

「お疲れ様です」


 姉御との通話が切れると同時に、分身たちが動き出す。

 1号は逃げるように部屋の隅へ、2号は早速と言わんばかりにエプロン装備して部屋の外へ、3号は相棒の背後へ隠れるように移動する。


 1、3号…お前ら、せめて買い出しにくらいは行ってくれよ?

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