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クラン 魔を狩りし者へようこそ ~深淵を目指す英雄見習いコンビ~  作者: 鎖月 弥生
第2章 巻き込まれる英雄見習い

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第44層目

 ホテルに缶詰生活3日目。

 姉御の言う通り、朝起きてスマホを見てみると、ようやく各種SNSの通知が止まっていた。


「よーやく一段落ついたって感じか」


「リフレッシュするにはちょうど良いくらいの長さだったね」


「そうだな。個人的にはもう少し休みたかった気持ちもあるが、流石に缶詰状態での休みはもういいかな」


 この後もどうせキナ臭い展開になるだろうし、分身達の不満解消がてらパーティゲームをしまくってたが、流石に飽きてきた。

 そう考えると、2日程度で休みが終わったのは逆に良かったのかもしれない。


「にしても、昨日姉御がファスタで募集を締め切った瞬間に、凪みたいに静かになったの逆に怖いな」


「そうだね。でもハルさんのクランや地域の警察とかが動いてたから、この短期間での収束に納得もできるね」


「だよなぁ、普通に警察怖いもんな」


 八咫学園などの冒険者育成学校には、警察官や自衛官を目指すコースもある。

 そちらは高専のような形式で、5年間勉強しつつダンジョンにも潜るハードコースとなっている。


 そのため、警察や自衛隊に所属している卒業生たちは、最低でもCランクダンジョンを1パーティで攻略できる実力を持っている。


 そんな実力者が蔓延る組織に睨まれるなんて、ミーハー共からしたら蛇に睨まれた蛙みたいなもんだ。

 こんだけ一瞬で騒動が収まるのも、さもありなんである。


 国家権力バンザーイ!ありがとう!これからもお願いします!


 とはいえ、その程度の野次馬根性なら最初から来るなって話である。


「さて、そろそろチェックアウトして墓参り行こうぜ」


「そうだね。秋音先輩との会議は夜だけど、お墓参り済ませようと思うとそこまで余裕はないもんね」


 墓参りに行く途中にお供え物とかを買って、墓参りして、相棒の()()()の掃除。

 そこまでやれば、ちょうどいい時間になるだろう。


「んじゃ、サクッと行動開始しようか」


「うん」



 ーーーーー



 少し早めの朝兼昼ごはんを済ませた後、粛々と墓参り諸々を終える。

 そのまま掃除道具を手に、相棒の元実家へと訪れた。


 建物の1階はBARになっており、2階が居住スペースとなっている。


 BARの方は相棒の両親が生前経営していたお店で、マスターのオヤジさんと美人ウェイターの女将さんが切り盛りをしていた…らしい。

 昔のこと過ぎて俺の記憶にはないから、ここについては基本的に親父からの昔話でしか知らない。


 うちの親父がここのBARの常連で、相棒と知り合えたのもここのBARがあったからと言っても過言では無い。


 閑話休題(それはさておき)


「よっし、今年は人手が増えたしサクッと分担して掃除していこうぜ」


「そうだね、1号達はカルマの知識からある程度要領が分かると思うから頼りにしてるよ」


 掃除道具片手に相棒に敬礼する分身達。

 お前ら俺の時はそんなこと基本しないだろ…。


「さて、じゃあまずは例年通り、相棒は自分の部屋とオヤジさん達の部屋の掃除を頼むぜ」


「うん、任せて」


「分身たちはBARの方を頼む。基本的に細かい掃除箇所の多いカウンターとキッチン周りを3号メイン、その他を1号メインで、2号は適宜2人のサポートを頼む」


 2号が敬礼を返してくれるが、他2人は軽く頷いて終わりである。

 相変わらずお前らは…まぁいいけどさ。


「でもって俺は2階の相棒が先に掃除しないとこ全般だな」


「いつもありがとね。終わったらカルマのところをいつも通り手伝うよ」


「さんきゅ相棒、んじゃ早速掃除するぞー」


 去年までと違い、今年はできる手段が増えたので、より隅々まで掃除を行っていく。


 部屋全体の写真を撮って家具の配置を記憶。

 動かすのが大変な重い家具を片っ端からチェストに格納してスペース確保。

 露出した壁や床に粘性を高めた水を這わせて、埃やゴミを吸着。

 水の表面が濁ってきたら氷魔法で強引に凍らせてチェストにポイ。

 写真を見比べながら家具を出し入れして部屋を元通りにすれば…。


 なんということでしょう。

 年末に大掃除して、それ以降も定期的に相棒が掃除をしているので、ある程度綺麗な部屋たちがさらに綺麗になったではありませんか!


 例のリフォーム番組のBGMを脳内で流しながら、最終チェックとして天の眼(スカイアイ)で細かい隙間などを確認していく。


 うん、大丈夫そうだな。

 30分程度でこれだけ綺麗になるなら、夜までには掃除を終われそうだ。


 というわけで、この調子でチャキチャキやってくぞー。



 ーーーーー



 サクサク掃除をこなしていき、俺の担当場所が終わったので1階に降りれば、分身たちも掃除を終えていたのか、3号をマスターに見立てて客とマスターごっこしていた。


 面白そうなので1号たちと少し離れた席に座ると、何も言わずにコップに注がれたコーラが出てきた。

 3号のジェスチャーからして、どうやらあちらのお客さんに1杯をしたようである。


 くそぉ、俺がしたかったのに先越された。


 1号たちの方を見れば、ニヤニヤとこちらを見る1号と目が合う。

 コンニャロ、やはりお前か…!


「3号…じゃなかった、マスター」

「あちらのお客さんたちに1杯ずつお返ししといてくれ」


 恭しく頷いた3号が1号たちのコップにジュースを追加する。

 ついでに自分のコップにも注ぐあたりちゃっかりしてる。


 俺がコップを掲げると、1号たちも合わせて掲げる。


「掃除お疲れさん、相棒が戻ってくるまで汚さない程度に各々楽しもうぜ」

「乾杯」


 さ、のんびりお菓子ツマミながら相棒を待つか。

 流石に相棒のプライベートスペースを俺らが手伝う訳にもいかねぇしな。


 いやまぁ、提案すれば受け入れられるだろうが、いくら産まれた時から一緒でもはばかられるものがある。

 俺の考えすぎかも知れないが、俺らはこれでいいと思っている。


 なーんてガラにもないことを考えながらコーラを飲んでいれば、掃除が終わったのか相棒が降りてくる。


「みんなごめん、待たせたね」

「いつも手伝ってくれてありがとう」


「俺らは魔法でサクサク終わらせたから、そんな気にしなくていいぜ」

「それにここはいずれ俺らの()()()()()()にする予定の場所だからな、綺麗にするのも当然よ」


「そか、それでもありがとね」


「いいってことよ」


 今は相棒の祖父がここ土地と建物の所有権を持っているが、俺らがDランクに昇格したら、適正な査定をしてもらってから買い取ってクランハウスとして運用する予定だ。


 オジさんたちの部屋をどうするかは、まだ少し決めかねているところではある。

 無限に格納できるチェストも手に入ったし、思い出の品の扱いにもようやく目処が立った。


 一応今のところは家具とかを片して、執務室にしようかなと相棒とは話している。


 中学生の頃に立てた目標だが、捕らぬ狸の皮算用だった昔と異なり、だいぶ現実味を帯びてきたので、そろそろ本格的に考える時期なのかもな。


 まっ、それは未来の俺らに任せるとして、今はこの後の姉御との会議に集中しないとな。

 はてさて、珍しく俺らに迷惑をかけた姉御はどんな面してることやら。


 あんまりシュンとされてもやりづらいし、程々で頼むぞ。

 開き直ってたら先生にチクるけどな…!


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