表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラン 魔を狩りし者へようこそ ~深淵を目指す英雄見習いコンビ~  作者: 鎖月 弥生
第2章 巻き込まれる英雄見習い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/53

第40層目

 Side サズキ


 カルマが持ってきたバカンスセットを片付けて、僕らは15層へと降りた。

 僕らの前にこの階層に訪れた同業者の姿は見えず、ボス部屋へと続く扉を照らす篝火も赤く燃え上がっている。


「どうする、相棒」

「サクッと挑むか?」


「そうだね、お昼休憩とかはさっき取ったし、少しだけ体を解したら挑もうか」


「りょか」


 緩くストレッチから始めて、いつもの軽い組手まで終わらせる。


 最近は分身達も一緒に体を解しているけど、君たちは別に必要ないよね?

 カルマが創造した時点で、最初から全力で動けるのに…


 まぁ真面目な2号が他の2人を巻き込んでるんだろうけどね。


「そろそろ行こうか、相棒」


「ん、僕はいつでもいいよ」


 装備の最終点検をお互いにすませ、扉を開ける。


 黒く染まった空間を潜り抜け、視界が開けると、このダンジョンで始めて感じる()()()()()()に、瞼が焼けそうになる。


「ヒュー、常夏のビーチと言ったところか」


「短期決戦で済ませないと熱中症が怖いね」


「まぁ手筈通りにやれば問題ないさ、任せたぜ相棒」


「任せてよ、相棒」


 日差しに慣れた瞳に、海から上がってきた半魚人達が映る。

 さっきまでの階層で見慣れた姿の中に、一回り大きい個体を見つける。


 あの個体が僕の標的だね。


「じゃあ行ってくるね」


「おうさ、全力で行ってこい」


 半魚人の群れへと駆ける。


「ソウル、鬼人化(きじんか)


 身体中に力が漲り、額に角が顕現する。

 さぁ、破壊衝動に呑み込まれる前に終わらせよう。


 鬼に喰われる覚悟はできたかい?勇者(ヒーロー)


 走りながら群れの中心でこちらを見据えるデカブツに、(デコイ)スキルを込めた視線でガンを飛ばす。

 それに応えるようにデカブツが長剣の柄で盾を叩き、こちらを挑発してくる。


 いいね、いいよ、その挑発。

 安心してね、ちゃんと乗ってあげるよ。


鬼神変化(トランスオーガ)、風神雷神」

風雷混合(ふうらいこんごう)ーー嵐鎧(らんがい)


 周りの半魚人の動きを全て無視して、一直線にデカブツの元へと駆け抜ける。


「暴風の壊脚(かいきゃく)


 身に纏う嵐を右脚に集約し、デカブツを蹴り上げる。

 ギリギリで僕の蹴りを盾で防ぐけど、勢いを殺し切ることができずに宙に浮き上がる。


 天の道(スカイロード)で追いかけて、無防備なその体をさらに上空へと蹴り上げる。


 ()()()()()()()()()


「タイプ:アイス、モード:フィールド」

「タイプ:スペース、モード:ロック」


「タイプ:カオス、モード:アイスコロッセオ」


 カルマ達の声が聞こえると同時に、僕の足元を起点に氷の床が生成される。

 そのままバスケコート1面分まで床が広がると、3階建ての建物くらいの高さまで氷壁が伸びる。


 突然、自身の周りが氷の舞台に囲まれたことに驚いたデカブツが、辺りをやたらめったらに攻撃しているけど、氷が欠ける様子は見えない。


 足場が滑ることがないことから、氷をベースに空間を固定しているのかな?

 お陰で全力で踏ん張ることができるから有り難いね。


 僕が足場を確認していると、この闘技場から出られないことを理解したのか、デカブツがこちらに剣を向けてくる。


「無駄な足搔きは終わったみたいだね。――じゃあ、殺ろうか」


 左腕に巻き付けた鎖を解く。


「炎付与――炎鎖(えんさ)


 白炎に燃え上がる鎖を操り、一直線にデカブツへと振るうけどあっさりと盾で防がれる。

 流石にこの程度の攻撃なら防いでくるみたいだね。


 鞭を引き戻したところを隙と思ったのか、デカブツがこちらに詰めてくる。

 それと同時に、水でできた槍が数本こちらに飛んでくる。


 引き戻した鎖を振るって水槍を迎撃すると、デカブツが目の前で剣を振りかぶっていた。

 この程度の速度なら欠伸をしながらでも避けられるけど、ここは敢えて迎撃しようか。


「鳴無流――鉄穿鬼てっせんき


 こちらに真っ直ぐ振り下ろしてきた剣の側面から手刀を突き込む。

 鉄を穿つという技名に恥じず、剣の中程から先を突き折る。


 折れたことで急に軽くなった剣に振り回されて、デカブツが体勢を崩してこちら側に倒れてくる。

 ちょうどいい位置に首が来てくれたので、鎖でそのまま締め上げる。


 デカブツは折れた剣と盾を捨てて、苦しそうに鎖を外そうと腕を振り回して藻搔く。


「これは興味深いね。てっきり鰓呼吸がメインだと思っていたけど、地上ではちゃんと気道を使って呼吸をするんだね」


 藻搔くデカブツの爪でこちらの腕が抉れるけど、そもそも燃え上がる鎖で半ば炭化しているし今更かな。

 それに身に纏っている嵐鎧のおかげでその爪も削れていってるし、何なら雷で痺れたのか体が痙攣し始めた。


「このまま窒息するまで締め上げてもいいけど、今の僕は優しいから終わらせてあげるよ」


 藻搔く腕の力が弱まった瞬間を見逃さず、デカブツを投げ飛ばす体勢に移る。

 そのまま一本背負いの要領でデカブツを投げ落とすと、鎖で拘束された首が衝撃で折れたのか変な方向に曲がる。


 びくりと一際大きく痙攣したあと、そのまま黒い煙となって消えていった。


「ソウル、人化」


 んー、Eランクとはいえ中ボスはこんなものなんだね。

 微妙に不完全燃焼気味だけどまぁいっか、()()()()が来たしね。


 大きく伸びをしながら背後を振り向けば、多分カルマに飛ばされてきたであろう1号が、頬を引き攣らせながらこちらを見ている。


 1号がこちらに来たということは、向こうはもう終わったのかな。

 じゃあ遠慮なくこの衝動を発散させてもらおう。


 僕が元に戻った腕の感覚を確かめている間に、向こうも諦めたのか気配を薄めていく。


 どうやら隠密スキルに加えて空間魔法を使って、完全に姿を眩ませたみたいだね。

 じゃあ()()()を取ろうか。


 目を閉じて触覚に神経を集中させる。


 いくら姿と音を消そうとも、攻撃に移行する際に発生する振動までを消すことは、今のところできないみたいだからね。

 だから空気の揺れを感じた方に拳を振るえば…このように1号の脇腹を殴り飛ばせるわけだ。


 なぜわかったとばかりに1号がドン引きしているけど、こればっかりは経験としか言えないからね。


 君が限界を迎えるまで付き合ってもらうよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ