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クラン 魔を狩りし者へようこそ ~深淵を目指す英雄見習いコンビ~  作者: 鎖月 弥生
第2章 巻き込まれる英雄見習い

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第38層目

 相棒が残党狩りをしている傍らで、砂浜に這い蹲る俺にポーションをかけてくれていた分身に、今度は魔石や素材の回収をお願いする。


 あっ、こいつ首振って消えやがった…なんて反抗的なんだ。

 もう一度頬当に触れて呼び出すと、ヤレヤレといった態度で回収作業を始める。


 …並列思考の一部を明け渡しているってのもあるが、こいつら地味に個性があるんだよな。

 つか、他の並列思考を明け渡そうとすると拒否するし、創造した分身が主に使う枠を掻っ攫ってくるから、もはや自我持ってるだろ。


 分身達は、1号を創造済みなら2号が、2号も創造済みなら3号が、といった感じで創造されていくようで、必然的にこの1号を呼び出すことが多い。


 そのせいか知らないが、こうしてちょくちょく雑用をサボろうとしたりするので気が抜けない。

 なんならたまに、わざわざ俺の頬当に触れて2号呼び出すしな…。


 まぁ戦闘時は真面目に働いてくれるし、タイミングも他の分身2人に比べても無意識下で合わせやすいので、これくらいなら全然目をつぶるが、あまりに酷いようなら相棒の刑に処してやる。


 思う存分鬼人化の反動の餌食になってしまえばいいさ、クケケ。


 そんな後ろ暗いことを考えながら砂浜で寝っ転がっていると、いつの間にか半魚人(サハギン)共の悲鳴が消えて、回収に出した1号を連れた相棒が戻ってくる。


「まったく、君はたまにほんっとーに突拍子もないことをするよね」


「あはは…」


「笑い事じゃないよ!」

「人には身体を大事にしろって言うくせに、そうやってボロボロになって。僕みたいにすぐ治る訳じゃないんだから無理しないの!」


「あい、すみません」


 やっば、思ったよりカンカンだこれ。

 1号に助けを求めようと視線を向けるも、顔の前で手をブンブン振って、哀れな子羊を見る目を向けて消えてった。


「カルマぁ?」


「はい!」


「とりあえずダンジョンから出るけど、医務室で続きだからね?」


「うっす…」


 まぁ今回も俺が悪いので、大人しく怒られるとするか。


 こういう時こそ身代わりに分身を使うべきかと思わなくもないが、うちの相棒、なぜか知らんけど俺と分身の見分けつくらしいから無駄か…。


 姉御や先生、両親も騙されてたし、俺も1〜3号の判別がたまにつかないんだけどな…。

 なんで分かるんだか。


 あっ、この物騒なチェーンソー消しとこ。


 ここで問題です、棒状に形成した空間を解放したらどうなるでしょうか?


 答えは簡単。圧縮された空気が解放されて、爆風が広がりますね!


 やべぇよ、砂埃を被った相棒が震えてらっしゃる。


「…」


「ごめんて、魔法消したら爆風が起きると思わんやん」


「…」


「こないだ相棒が気になってたクソデカかき氷、今年の夏の間中は俺の奢りでいかがでしょうか」


「不問にしてあげるよ」


「ありがたき幸せ」



 ーーーーー



 DEAの医務室で回復魔法による治療を受けたあと、姉御から連絡が来るまでの間、懇々と説教を受けていた。


 姉御ぉ…助けてくれぇ…。


 俺の願いが届いたのか、相棒のスマホが鳴る。


「はい、紗綺です」

「秋音先輩、お疲れ様です」


 よっしゃ、いいぞ姉御。

 今のうちに正座のせいで痺れつつあるふくらはぎを解しとこ。


「はい、はい、そうです」

「分かりました、スピーカーに切り替えますね」


 およ、俺にもなんかあんのか?


『よぉバカルマ、またなんかやってサズキに怒られたんだな?』


「うっす」


『そんだけしょぼくれてんならちゃんと反省してんだろ、許してやれサズキ』


「分かってますよ、ちゃんと反省するんだよカルマ」


「もちろんです、相棒!」


 半年後くらいにまた怒られてそうだが。


「まぁどうせ半年後くらいにまた同じことになるんだろうけどね」


 ばれてーら…。


『夫婦喧嘩も終わったところで本題だ』

『サズキからあらかた聞いたが、今の1層目の状況を鑑みるに、あと1、2ヶ月もしたらそのダンジョンは許容限界を超えて溢れるだろうな』


「うっす」


『まぁその前に自衛隊やら警察の駆除チームが間引くだろうが、今はタイミングが悪いな』


「この間の土岐と琵琶湖のモンパニのせいですか?」


『あぁ、自衛隊の方に就職してったクラスメイトがボヤいていたさ』

『ここ最近休む暇もありゃしないってな』


 なるほど、ここら辺の公務員さんたちは溢れてしまったダンジョンの方にかかりきりで、間引きに回るまでの余力が厳しいわけだ。


『ということで、ちょうどいいから半月くらいかけて攻略してこい』


「あんま目立つなって言われてそんな時間経ってないっすけどいいんすか?」


『構わん。それよりもここで貢献度稼いどいた方がDランクに早く上がるぞ』


「りょーかいっす、姉御がOKと言うなら俺に異論は無いっす」


「僕も間引きしながら攻略することに賛成です」


『ならよかった。では明日からそのように進めること』

『どうせお盆には1度引き上げてくるんだろ、その時にまた連絡よこせ』


「わかりました」


『んじゃ、私は私でやることやっとくから、上層の間引き頑張ってこいよ』


 そう言って姉御は通話を切っていった。

 姉御のやることね、夏休み課題かなんかかな?


「ということで明日から間引いてくか」


「方法はどうする?」


「今日みたいに往復してもいいが、それはめんどくさいので相棒の(デコイ)を発動して海上ジグザグに駆け抜ける形で行こう」


「そうだね、砂浜の方はカルマの分身に任せる感じかな?」


「あぁ、2号と3号ならいい感じに砂浜側の殲滅と素材回収兼討ち漏らしの掃討をしてくれるさ」


「あれ、1号は?」


「あいつはこの手の事では確実にボイコットするから階層の入口に放置かな」

「下に降りる階段付近で海中に居たヤツらを殲滅したら、再度創造して素材回収させるさ」


 それもボイコットしたら本気で相棒の刑にしてやるからな…!


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