28話
アランがフィオナに魔法を見せているのと同じ頃、ダレンとレイラはオルファスの街のとある酒場に来ていた。
「マスター。この前頼んでいた情報は何か入って来たか?」
酒場には、ダレンがマスターと呼んだ男が1人カウンターの奥に居た。歳は、40代半ばぐらいで肉体は逞しくスキンヘッドの厳つい顔をしていて、パッと見ると山賊にしか見えない様な男であった。
「ダレンか。いくつかは入ってきてるぞ」
今回ダレンがマスターに頼んでいたのは、この前の襲撃をしてきた人物達とその者達が逃げ込んでいた建物の情報等であった。
「お前達を襲ってきた奴等じゃが、この街の領主であるルーベンを良く思ってない奴等じゃ。ルーベンから何か自分達に対しての依頼を引き受けたと気付いた為に、お前達を襲ったみたいじゃな」
「よく気付いたもんだな、そいつ等も。さすがに表に出て来ない奴等なら情報の入手も裏で手に入るのか。それで、奴等が逃げ込んだあの建物は?」
ダレンが聞くとマスターは厳つい顔を険しくして話をし始めた。
「・・・あの建物は、この街で商売をしているゼクト商会の倉庫だ」
「ゼクト商会?聞いた事の無い名前だな」
「そうだろうな。お前達が来なくなってから急に名を上げた商会だからな。表向きは、客に対して良い装備や道具等を安く提供していて評判はかなり良い。裏では色々と酷い事をしまくっているふざけた商会だよ」
マスターの話を聞いていた2人は、嫌な顔をしながらも話の続きを促した。
「街娘を他の街に奴隷として売り払ったり、商会にとって目障りな者は裏で殺したり、スラムにいる者を人体実験にしたり等色々やってるんだ」
「よくそんな商会を放っておくな?」
「他の街の貴族とかと繋がりを持っているせいで誰も咎められないんだよ」
マスターは悔しそうに下を向いて肩を震わせていた。
「マスターも商会に何かされたのか?」
「・・・ああ。色々と嫌がらせをしてきた挙句、店に火まで放ちやがった」
2人の会話を聞いていたレイラは、商会を潰そうと言ってきた。
「パパ。私達で商会を潰さない?」
「そうだな。このままだと、この街が駄目になりそうだしな。取り敢えずルーベン様に許可を貰ってから潰しに取り掛かるか」
「そうね~。私達2人だけでやると後々面倒ごとが起きそうだしね~」
「ああ。マスター情報ありがとうな。取り敢えずこれは情報料だ」
そう言ってダレンは小袋に金貨を20枚程入れてあるのを渡した。
「んじゃ、行くか。マスターまたな」
「またね~」
「ああ、2人とも気を付けて行けよ」
挨拶を交わした後2人は、酒場を後にした。




