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7

 ヴィクト様に正体がバレた翌日。私は目元を冷やし、変装して登校した。ヴィクト様にはバレてしまったけれど、まだこの状況を楽しみたい。私はいつも通り自習室に行き、前世でいう“ぼっち”の状態で自習を始めた。学園で成績優秀者という立ち位置にいれば、悪女としてのランクが一つ上がる。私は完璧な悪女になりたいから、これはピースの一貫にすぎないわね。そして、隣の席に座ったのは、いつものピンクブロンドの少女。

「イディくん、また会ったわね。上の学年の範囲の勉強、教えてほしくない?」

「結構です。他人に先に教えられてしまうと、学年が上がったときの楽しみがなくなるので。失礼します」

私は勉強道具を片付けて自習室を出る。もれなくメイニーさんも付いてくる。

「ねえ、私のことを避けてるの?私のこと、嫌い?」

潤んだ瞳でこちらを見てくる正ヒロインに、私が言い返そうとしたところで。廊下の反対側から歩いてきた攻略対象の集団が私を睨みながらメイニーさんを取り囲んだ。ヴィクト様は面白そうな瞳で私を見ている。惚れたって言われた一日後だから、顔が赤くなりそうになる。

「おい、特例入学の男子生徒。お前、メイニーと仲良くする振りをしてから、避けて冷たい言葉をかけているようだな。お前、男としてどうなんだ、か弱い女子生徒を苛めるなんて」

まず口を開いたのは恥ずかしいことに私の長兄・レオンお兄様だ。というか、私がメイニーさんを苛めたなんて情報、どこから入ってきたんだろう。っていうか仲良くする振りなんてしたっけ?それに私、男としてどうなんだと言われても、そもそも男じゃないし。

「お言葉ですが、僕はメイニーさんを苛めてなどおりません。僕は静かに一人で勉強したくて自習室に行っているのに、メイニーさんが何度も話しかけてくるので集中するために話しかけないで下さいと言っているのに、今日なんて付きまとってきましたから。僕は迷惑な人の被害者です」

私がレオンお兄様の目を見て言い返すと、レオンお兄様は怪訝そうに眉を潜めてから何かを振り払うように首を振った。そして私に指を差してくる。マナーがなってない。この調子だとお母様が困っていそうだ。美しい顔を厳しくするお母様の顔が目に浮かぶ。

「メイニーが迷惑なんて、そんなことあるはずが無いだろう。可憐な女性に話しかけられて冷たくあしらうなんて、男の風上にも置けないな!」

また男がどうこう言ってる。現に私が女だと知っているヴィクト様はポーカーフェイスを装ってるけど、微妙に頬がピクピク動いて今にも笑い出しそうだ。ここで私は女だと言えたら楽なのになあ。

「誰しも可憐な女性に話しかけられて温かく接するなんて、あなたが決めつけているだけです。世の中にはこんな男もいます。影のメリウェザー家の次期当主がこのような方だったとは、心底愛想が尽きます。もう二度と話しかけないで下さい。あなたのような方と関わっているという噂が立てば、僕の将来に関わりますので」

私がそう言って礼をし、頭を下げて彼らに背を向けて歩き出すと、後ろから大声が聞こえた。

「特例入学だからって、調子に乗るな!メイニーを傷付けた挙げ句、俺に歯向かった罰を与えてやる!」

はいはい、分かったわよ、お兄様。よく可愛がっていた妹にそんな言葉を浴びせられるわね。私の正体が分かったとき、どうなるのか楽しみだわ。恥を知りなさい。影のメリウェザー家の恥よ、恥。私は心の中で毒づきながらその場を去った。

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