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 数日後。私と学園のトップ集団が言い争っていたのを見た一部の生徒から、ある噂が広められた。

『例の男子特待生は、相当な強者で、心が汚れている』

というものだ。馬鹿馬鹿しい。どうとでも言っておけば良い。悪女を目指している私にとってはむしろ誉め言葉よ。私は何を言われたって前世男子に罵られ続けたことで持つことができた鋼のメンタルで跳ね返すわよ。それに、私が強者なのは事実だけど、心が汚れているというのは頂けない。あなたたちに私の何が分かるって言うのよ。勝手に決めつけるのは良くないと思うわ。第一、私はただ単にメイニーさんの態度が不快だったからそれを指摘しただけで、何もしていない。本当に、訳が分からないわ。私は授業中にそんなことを考えながら険悪な空気を放っていた。解せない。本当に解せない。私がため息をつきながら頬杖をついて窓を見ると、教師が私を指名した。

「では諸君、特待生のイディ君に闇魔法の青い炎を見せてもらおう。イディ君、今の話を聞いていたのなら、できるだろう?」

意地悪そうに笑った教師に、私は冷たい視線を向けた。私が話を聞いていなかったのを知っていて、恥をかかせようという魂胆だろう。でも、ご生憎様。私は青い炎を出すくらいのこと、一年くらい前からできている。なんなら動物の形を作り出すこともできる。私は席を立つと、黒板の前まで歩いていく。

「フルメン」

高度な炎の呪文を唱えて、私は掌の上に青い炎を作り出す。明らかに不満そんな教師に布の下でにっこりと笑みを向け、炎を不死鳥の形にし、教室に飛び立たせた。っていうか本物の不死鳥だけど。教室のあちこちて「キャー!」やら「うわっ!」やら「ぐあー!」という声が聞こえてくる。ってか「ぐあー!」って何?

「イディ君、止めるんだ!生徒たちが危険だ!」

この教師、馬鹿なの?この私がこんな授業ごときで他人に危害を加えると思っているのかしら。これで私を悪人扱いしようったって、そうはいかないわよ。

「先生、大丈夫です。今から止まり木を作りますから」

私はそう言って教室のロッカーの上の天井から鉄で出来た輪っかを吊るし、不死鳥にそこに止まるように魔法で指示した。従順な不死鳥は優雅にそこに飛んでいき、そっと足を鉄の輪っかに掛けて羽を背中にまとめた。教師はそれを見て一瞬虚をつかれたような表情をしたが、すぐに苦々しい表情を作った。

「イディ君。私は闇魔法の()()()を作れと言ったはずだが。炎の不死鳥を作れなど一言も言っていない」

教師の勝ち誇ったような顔に、私は布越しでも分かる程の満面の笑みを浮かべる。

「僕は別に不死鳥を作ったつもりなどございません。炎の形が不死鳥に見えたからと言って、僕が不死鳥を作ったということにはなりませんよね?形の感じ方など人それぞれなんですから」

言ってやったわ。正論爆裂よ!私が心の中でガッツポーズをかましていると、教師がダーン!と音を立てて教卓を叩いた。あれ、みんな憧れるけど手が痛くなるのよね。私が密かに心配していると、教師は真っ赤になった手を震わせながら顔も真っ赤にして怒鳴った。

「貴様!教師に……この私に歯向かう気か!」

生徒たちの好奇に満ちた視線を感じる。あーあ、私、また有名になっちゃうわ。そんな事を考えてほくそ笑みながら、私は教師に嘲りを含んだ声で言い放った。

「何を仰っているのか分かりません。あなたこそ、指示された通りに行動した生徒を怒鳴る気ですか?」

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