第2話 死にたくない
はぁ、とため息を吐きながら僕はFランクダンジョンの中に入った。
このダンジョンに出てくるモンスターはFランクという噂だったからだ。
モンスターと呼ばれる存在は、人間がなんの対策もなしに入れば一瞬でボコボコにされ死んでしまう。
だけど、僕には一応スキルもある。考えながらきたけど、死ぬ時に痛いのは嫌だ。死んでなきゃ何かあるかもしれないし、ポテチでも食べながら一生ダンジョンの中にこもっておこうかな。
ということぐらいしか考えていない。ポテチの調達源はまだ考えていないが、ダンジョンの魔石を売れば食べられるはずだ。
というふうに考え事をしながらダンジョンの壁を曲がった瞬間になんと戦車のような大きさのネズミが現れた。おかしい、Fランクだぞ!?と思っていたが、キッシャーというネズミの威嚇音がしてネズミが僕の方を向いた。
僕は恐ろしくなり走って逃げてしまった。
「頼む!追いかけないでくれ!頼むからァァ」
ネズミはそんなことは聞かずに獲物である僕のことを襲いに来た。
「死にたく、ない…………。」
♦︎ガイアside
「今のダンジョンはどうなってるのかしら?」
そして見てみたFランクダンジョンを見てガイアは戦慄した。
わずか15歳ばかりの青年がネズミに食べられる瞬間だったのだ。ガイアはそれを見て反射で思わず、その青年に対して、
「生きなさい!!」
と叫びサポートを行なってしまった。
「あ……やばい………ゼクス様にバレたら………」
しかし、ガイアはもう決めたのだ。これから自分はこの可哀想な青年のことを助け、英雄になってもらう。英雄が生まれることによってこの世界を引っ張る存在が生まれる。ただこれは青年を助けたい言い訳だが……
♦︎
どこからか女性の声が聞こえた。「生きなさい!!」という声が……。
その言葉と同時に僕の頭の中にはこのスキルの使い方がよくわかった。
また、その女神が僕のスキルを覚醒させた意図がよくわかった。
僕が今からこのスキルを使いこの世界全体を救うために全力で魔王の攻略および世界の人たちと協力することを成し遂げることを願っているのだ。
だが、僕はそんなことはしたくはない。
僕に対して行なわれてきた非道の数々を全て謝らせてやる!!
まずは目の前のゴミから処理するしかない。ネズミたちはもう目前だ。僕は、
『タイム・ストップ』
と唱えた。止まってから本当に止まっているのか2秒ぐらい確かめたが大丈夫そうだった。
この魔法は世界全体の時を止めることが可能だがそれは、5秒しか持たない。その後にネズミたちのいる空間に対して圧縮をかけた。
『プッシュ』
ネズミたちの表面の毛皮が少し揺れた。なんだこれ?………弱くね?仕方がない。多重詠唱だ。
『『『『『プッシュ』』』』』
ネズミたちは音を立てずに粉々に飛び散り、魔石と毛皮になり落ちてきた。
「はぁ、疲れた。」
女神は僕が世界を救うことを願っているようだが僕にその気は全くもってない。
別に世界を救う必要なんかない。
世界を救ったところでどうなるのだ?僕の立場が上がってどうするのだ?
また弱いものが生まれ淘汰される世界が生まれるに決まってる。そんなことは二度と起こさせない。
そのためにまずは魔王一派を倒し世界を平和にしてから世界の体制を変えるしかない。とりあえず自分に新しいスキルが増えるまでダンジョンに潜ることに決めた。
とにかく強くなるしかない……。
♦︎剛野太郎side
「なんだこれ!マジ楽しいじゃん」と言いながら炎を纏った剣で周りの小柄なネズミのことを切り刻みまくっている。周りにいる一緒に潜った仲間からも畏怖の目で見られていることにも気付かないほど没頭しているようだ。
「なぁ剛野、そろそろ帰らないか?戻れなくなるぞ」
「うっせぇなぁ、今俺が楽しくやってるってわかんないのか? ぶっ潰すぞ?」
と剛野が睨みを聞かせると誰も何も言えなくなってしまう。そのレベルで今の剛野のスキルは強くなっているのだ。誰であっても睨まれればすくんでしまうほどに。
しかし、その瞬間、剛野は急に驚いた顔をした後にこう言った。
「あ?なんでだ!なぜなくなったんだ!俺のスキルが…………」




