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覚書  作者: 汀 空木
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腹が立った。

もう役に立たないことに腹がたった。

試験の迫る、私の大事な1時間を奪って、

今更どうでもいい大学の話。

「自分が頑張ったことを書きなさい。」

先生が配布した紙に書いてあった。

少し前の話。

それなのに、今日、いや、毎日思い出す。

書けると思ったんだ。

書こうとしたの。

私は、


どうして?

なぜ?

何のために?

一体、何がしたかったの?


思い出せなくて、わからなくなって。


何も書けなかった。

それは、空虚で、果てのない大きな穴を覗く様な作業だった。

私は何も、何一つとして今まで頑張ってきたことなどないのだと、漠然と、薄情にも、風が吹くのと変わらないように、気づかされた。

全てを終えてしまいたい。

ずっと、眠っていたい。


彼は私に言った。

「大丈夫。あなたは大丈夫だから。」

訳も分からず、涙が出た。

その言葉を真に理解することなどできなくて。

それでもあの涙は零れたものだった。

そして気づいた。

彼と私は決して溶け合うことなどないのだと。

だから、ありがとう。

彼が自由に歩いていけるように、私は笑顔でいよう。

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