第15話:黒幕の降臨と“狂気の愛の告白”
街の広場は、
色とりどりの提灯で照らされていた。
人々は楽しそうに歌い、踊り、笑い声が溢れている。
でも――
その視線は、どれも私を追っていた。
(……やだ……なんで、私ばっかり……)
胸の魔力紋が、ずっと脈打ってる。
装甲なんてもう極薄の皮膚同然で、
そこが脈動するたびに、
街中から熱っぽい視線が集まるのがわかる。
(いや……見ないで……お願い……)
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そんなとき。
「……ようやく見つけました……」
背筋がぞくりと冷たくなった。
広場の中央に、
黒いローブを纏った人物が立っていた。
月明かりが差し込んだその瞬間、
フードの下の瞳が妖しく輝いた。
(……誰……)
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「リゼット様――
あなたが、この美しい羞恥に染まり、
魔力を溢れさせるまで……
私はどれほど待ちわびたことか。」
その声は、甘かった。
耳元で囁かれているような、
体中を撫でるような。
「っ……や、やだ……誰……っ……」
レイナが私の前に立った。
「下がって。こいつ、普通じゃない……!」
でも黒幕は、優しく笑った。
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「――あぁ、レイナ様も。
あなたは見事でした。
リゼット様の羞恥を育むその手際、
私も感嘆いたしましたよ」
「……何を……言って……」
「リゼット様。
貴女の“一点突破”で魔核獣を祓うたび、
街は喜びに沸き返り、
世界の瘴気は浄化されたように見えたでしょう?」
黒幕がこちらへ手を伸ばした。
「ですが――
それは全て、
この世界の均衡を壊すための装置に過ぎないのです」
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(……え……?)
「貴女の羞恥。
その脈動する魔力紋。
パージで露出を増すたびに、
世界はその均衡を失い、
私の手に落ちていったのですよ。」
黒幕の瞳が、
優しく細められた。
「――愛しているのですよ、リゼット様」
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「……っ……」
「貴女が、
羞恥に顔を赤らめ、
呼吸を荒くし、
快楽に戸惑いながらも
仲間を守るために一点突破する――
その姿が、
この上なく愛おしいのです。」
黒幕の声が脳髄に直接響く。
魔力紋がまたドクドクと、
脈打って苦しくなる。
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「その羞恥に滲む血潮……
それこそが、貴女という至高の聖杯。
生きているからこそ、貴女は恥じらう。
その命が、脈動が……愛おしくて仕方ないのです。」
「や……やだ……
いやぁ……!」
思わず耳を塞いだけど、
その声はどこまでも入り込んできた。
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「私がPSUを作りました。
パージを促し、
貴女をこの“極薄密着”まで導いたのも、
全て私です。」
「っ……いや……いやっ……!!」
「でも怖がらないでください。
これは私からの、
究極の愛なのですから……」
黒幕は月明かりの中で、
陶酔したように微笑んだ。
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(……私……全部……
この人の……手の上で……)
頭が真っ白になって、
呼吸ができなくなりそうだった。
その時、
レイナが私の手を強く握った。
「リゼット、大丈夫。
絶対に、こいつの好きにはさせない」
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「――ふふ……
面白いですね。
それなら、
もう少しこの愛を楽しみましょうか」
黒幕が軽く手を振ると、
地面が裂け、瘴気が渦を巻いて立ち昇った。
魔核獣たちが、
その中から次々と姿を現す。
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「さあリゼット様。
もっと恥ずかしい姿を見せてください。
もっと魔力を溢れさせて――
私だけの至福を、完成させるために。」
黒幕の声が、
私の胸の奥を優しく撫でていった。
魔力紋が熱く脈打つ。
私の羞恥も恐怖も、全部、
その声に絡め取られていくようで――




