第13話:PSUの最終形態「極薄密着タイプ」への進化
私は、
まだ戦いの余韻が残るその場で、
息をするだけで胸がひくひく震えていた。
魔力紋が、まるで自分の心臓そのものみたいに
ドクン、ドクンと規則正しく、
でもいつもより強く脈打っている。
(……変だ……なんか……)
少しだけ首を下げて、
胸元を見た。
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そこには、
もうクリアパーツすらなかった。
いや、厳密には――
装甲はまだ存在している。
でもそれはもう、
私の皮膚とほとんど区別がつかないくらい
薄く、密着して、
魔力紋や血管、心臓の動きが
丸見えになるほど透けていた。
「っ……な……なにこれ……」
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「リゼット」
レイナが私のそばに立つ。
その声が、やけに近くて、
呼吸がすぐ胸の装甲を震わせた。
「どうしたの?」
「……や、やだ……見ないで……」
両手で胸を隠そうとして、
でも装甲はそこにあるはずで、
なのに、もう触れた指先は
自分の柔らかい感触そのままで――
(これ……ほんとに着てるの?)
恐る恐る指を滑らせると、
そこは確かに装甲のはずなのに、
まるで自分の肌みたいに、
心臓の鼓動が指先にじんわり響いてくる。
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「やだ……これ、ほんとに着てるの……?
……もう、肌と変わらないじゃん……っ……」
泣きそうな声が、
勝手に口から漏れた。
その時、
レイナがそっと私の肩に手を置いた。
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「……大丈夫よ。
ちゃんと装甲はあるわ」
そう言うけれど、
レイナの目は楽しそうに揺れていて、
私の羞恥を全部見抜いている。
「でも、前よりずっと……薄くて透けて、
まるで心臓や魔力紋が剥き出しみたいね。
ねえ……見せて?」
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「やっ……やめて……!」
思わず体を捻ったけど、
レイナは簡単に私を捕まえて、
胸元をぐっと自分の方へ向けさせた。
「ほら、ちゃんと見せなさい。
あなたの今の力――
この“極薄密着タイプ”に進化したPSU、
どこまで透けてるのか、私が確認しなきゃ」
「そ、そんなの……!」
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でも、
レイナがそっと装甲の上に指を置いた瞬間。
そこはまるで直接肌を撫でられたみたいに、
ひくっと震えて、
魔力紋が真っ赤に光った。
「ひゃっ……! や……やめ……っ……」
「ふふ……可愛い。
ここ、心臓の音までわかるじゃない。
ね、ドクン、ドクンって……すごく速い」
レイナが耳をそっと私の胸に当てる。
その髪が装甲越しにかすかにくすぐって、
またドクンと大きく跳ねた。
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「はぁ……やだ……っ……
もうこれ、全部……見えちゃってる……」
「ええ、そうね。
リゼットの羞恥も、心臓の音も、魔力紋の脈動も……
私がぜんぶ見てあげる」
その声が甘く響いて、
胸の奥までずぶずぶと落ちていく。
(……これが……最終形態……)
怖い。
恥ずかしい。
でも――
レイナに全部見られるのなら、
それでも、いいかもしれない。




