第2話 闇に目覚めた総帥
第2話 闇に目覚めた総帥
~変わり果てた姿と新たなる誓い~
古の悲しい記憶が流れ込み、真実を知った俺・黒金鉄也は、玉座にもたれたまま声を絞り出した。
「……なら俺は…もう人間じゃないのか?
この身体になってしまった今…元の人間には、二度と戻れないのか…?」
正義の戦士として生き、愛する桃子を守るために命を懸けた自分。
その全てが否定されるような感覚に、胸が締めつけられる。
そんな俺に、高位の従者が静かに告げた。
「ブラック様…どうか、この甲冑を脱いでみてくださいませ…。
貴方自身の真の姿を、お確かめください…」
俺はゆっくりと立ち上がり、震える手で漆黒の鎧を一つずつ外していく。
胸当て、腕甲、脚甲…重々しい金属の塊が次々と床に落ち、乾いた音が大広間に響く。
鎧を全て脱ぎ捨てた俺の前に、水鏡が差し出された。
「……っ!!」
息を呑んだ。
見た目は確かに人間の体…だが決定的に違っていた。
双眸は炎のような鮮やかな赤色に染まり、口元には鋭い小さな牙が覗いている。
そして肌の至る所に、まるで脈打つような赤黒い紋様が浮かび上がり、ゆっくりと鼓動を刻んでいた。
「これが…俺なのか…?」
自分に問いかける声は、かすれて響いた。
人間としての面影を残しながら、完全に闇の力を宿した存在――それが今の俺だった。
だが次の瞬間、俺は静かに顔を上げた。
迷いを断ち切るように、瞳の赤みが一層強く輝く。
俺は顔を隠す仮面だけをそっと装着し、闇の雰囲気を纏い直してゆっくりと玉座に腰を下ろした。
低く響く総帥としての声が、大広間全体を震わせる。
「……よし。お前たちも聞け!
武骨で重苦しい鎧など、脱ぎ捨てるがいい!」
従者たちは一斉に顔を上げ、次々と鎧を外していく。
そこには人間の姿を取り戻した彼らの真の姿が現れた。赤い瞳と紋様こそあれ、確かに祖先と同じ民の面影があった。
俺は高らかに宣言する。
「我らこそが、本来の心を持つ真の人間だ!
理不尽な罪を着せ、家族を奪い、我らを悪と貶めた連中こそが偽りの正義!
我らを踏みにじった者たち…我ら以外の全てを、この力で蹂躙し、奴隷として支配し尽くす!!」
「おおおおおっ!!ブラック様万歳!!闇の帝国万歳!!」
歓声が轟き、赤い紋様が一斉に輝きを放つ。
黒金鉄也としての優しさを胸に秘めつつ、復讐の総帥・ブラックとしての覚悟が、ここに固まった瞬間だった――




