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【書籍化】転生悪役令嬢は破滅回避のためにお義兄様と結婚することにしました~契約結婚だったはずなのに、なぜかお義兄様が笑顔で退路を塞いでくる!~  作者: 狭山ひびき
第二部 四大精霊と女神たちの願い

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お兄様からの呼び出し 1

お気に入り登録、評価などありがとうございます!

 まったく、とんでもない実習になったものだわ。


 ニコラウス先生が一瞬で(あれにはびっくりしたわ!)キマイラを葬り去ったあと、二年生と三年生はそれぞれ学園に帰還した。

 キマイラの攻撃で致命傷を負ったコルドゥラ・ドレーゼ伯爵令嬢は、あのあと念のためにと医務室に連れていかれて医師による検査を受け、数日は絶対安静が言い渡された。

 エリクサーを使っても、体への負担が全部消えるわけじゃないからね。


 そして、ニコラウス先生が実習で使っていた森の魔物の分布が変化しているかもしれないと他の教師たちに危険を伝えて、しばらくの間、あの森を実習や授業で使うのは禁止となった。

 ニコラウス先生主導で、森の調査がされるらしい。

 場合によっては危険な魔物の討伐も検討していると言っていた。


 ……魔物討伐をすることになったら、上級生の中で成績上位者を連れていくかもしれないって言っていたから、お兄様やアレクサンダー様は連れていかれるんでしょうね。


 なにせ、学生のくせに最高難易度の魔法が使える規格外なお二人である。ぶっちゃけニコラウス先生を除く他の先生たちはお兄様たちの足手まといになることはあっても、役には立たない。そのレベルだ。


 ……お兄様は笑顔で、アレクサンダー様は無表情で、魔物たちを蹂躙していく未来しか見えない。


 ニコラウス先生の判断によっては、国王陛下に騎士団の導入をお願いすることにもなりそうだ。

 生徒たちが実習で使う森に危険な魔物がうようよしていたら大変だもの!

 ついでに、先生たちが森の調査にかかりきりになるので、わたしたち学生は土日の休日のあとも、月曜日から水曜日まで特別休暇となった。

 特別休暇と言っても、学園の外に遊びに行くのは禁止で、その間の課題はばっちり出たけどね!


 で、月曜日。

 ――わたしは何故か、お兄様に白薔薇の庭に呼び出されていた。





 白薔薇の庭。

 別名「恋人の庭」。

 ブルーメ学園内にある、特別なコインがなければ出入りができない特別な場所で、恋人たちがゆっくりと二人きりの時間をすごせる場所でもある。


 一学期にお兄様からコインを受け取っていたわたしは、そのコインでお兄様と恋人と証明されているために出入り自由だ。


 お兄様と一緒に守衛さんにコインを見せて、鉄柵で囲まれている広い庭に入る。

 魔法で年中真っ白な薔薇が咲き誇っている庭は、何度来ても見惚れる美しさだ。

 庭の中を縫うように走る石畳の道を歩いていくと、等間隔に四阿が立っている。

 お兄様が事前に申請を出していた四阿の一つに入ったわたしは、にっこりと笑顔を浮かべたお兄様から、さっそく詰問された。


「さあマリア、実習で何があったのか、洗いざらい話してもらおうか」


 ……あの、なんかわたしが悪いことをしたみたいな言い方ですね。わたしはいい子ちゃんだったと思うんですが。


 だって、ニコラウス先生にラインハルト様たちの危険を伝えて、一人の女生徒の命を救ったんですよ! 褒められこそすれ、叱られるいわれはございません!

 なので、わたしは胸を張って答えた。


「おにぃ……じゃなくて、ジークハルト、わたしは人助けをしました!」


 えっへん!


 さあ褒めて褒めてとお兄様を見たけれど、お兄様は眉間に深い皺を刻む。


「洗いざらいと言っただろう。そんな表面的なことは私もわかっているよ。来なさい」


 お兄様がわたしの手を引いてソファに座らせると、逃がさないと言わんばかりにわたしの肩に腕を回して隣に座る。


 ……あの、叱られる気配がぷんぷんしますが、どうしてでしょう?


 解せぬ。

 頑張ったねって褒めてくれてもいいはずなのに、なんでご機嫌斜め?


 びくびくしながらお兄様を見上げたら、笑みが深くなった。

 うん間違いない、これはご機嫌斜めだ。


「お前は実習中、ニコラウス先生に何故か三年生であるラインハルト・グレックヒェンの班の危機を予見した。ここまではいいかい?」

「は、はい」

「ニコラウス先生によれば、資格持ち特有の直感らしいと言うのだが、それであっているのかな?」

「そ、そうです!」


 ここはもう、誤魔化すしかない!


「資格持ちについては情報が少ない。実際にラインハルトがキマイラと遭遇したことから考えて、直感的な何かだったのは否定はしないが、問題はそのあとだ」


 ……そのあとって、わたし、何もしてませんよ?


 何のことだろうと首をひねると、お兄様がわたしの頬に片手を伸ばして、みょーんと引っ張った。痛いです!


「ニコラウス先生から謝罪が来た。緊急事態だったため、君を抱き上げてラインハルトたちがいる場所まで運んだと」

「ふかこうりょくれすっ」


 まさかお兄様、わたしがニコラウス先生に抱っこされたのが気に入らないの⁉

 でもあの時、わたしは体力の限界で走れる状況にありませんでしたし、急ぐならあの方法がベストだったと思いますけど!


「何が不可抗力だ! どうして断らなかった。お前はニコラウス先生におおよその場所を伝えたはずだ。それだけでニコラウス先生はラインハルトたちがいる場所を特定できた。お前がついて行く必要はなかった」

「れもっ」


 むっと口をとがらせると、お兄様はわたしの頬から手を離す。


「状況が状況だ。ニコラウス先生が君を連れていくと判断したことは、間違っていたとは言えない」


 そうでしょう?


「だが……、それを聞いたとき、私は心臓が止まりそうになったよ。お前はどうしてそうほいほいと危険に首を突っ込むんだ。夏休みに海で溺れかけ、今度はキマイラだぞ? 私は今ほどお前を部屋に閉じ込めたいと思ったことはない」

「ひぅっ」


 嫌です嫌です!

 軟禁反対!


「で、でもでも、ニコラウス先生はキマイラを一瞬で倒しましたよ!」

「まあそうだろうな。ニコラウス先生がキマイラごときに最高難易度の魔法を放つとは思わなかった。生徒たちを傷だらけにされて、相当頭に来ていたんだろう」


 ……お兄様。キマイラ「ごとき」って言いました?


 キマイラですよ?

 全然「ごとき」ってレベルの魔物じゃないですよ!


 まあ、ニコラウス先生同様、最高難易度の魔法が使えるお兄様ですからね。お兄様もキマイラ程度なら一瞬で葬り去れるんでしょうね。怖すぎです。ガクガクブルブル。


「お前が頼ったのがニコラウス先生だという部分は正解だ。それについてはよくやった。他の先生ならばキマイラごときでも手こずるかもしれなかったからな」


 お兄様、また「ごとき」って……いえ、何でもありません。


「しかし倒れた女生徒にエリクサーを使ったという点においては私は納得していない。ニコラウス先生は中級の治癒魔法が使える。その場で応急処置をして学園に運ぶことはできたはずだ。あのエリクサーはお前に万が一のことがあった時の保険なんだぞ。なぜ他人に簡単に使うんだ」


 いやだって……持ってたんだもん。

 相手の治癒ができるものを持っているんだから、使うよね?

 しかも、コルドゥラ・ドレーゼ伯爵令嬢は意識不明の重体だったんですよ。一刻も争う事態だったんです。


 わたしはお兄様のように賢くないし冷静じゃないから、あの譲許を見て、ニコラウス先生の中級治癒魔法で応急処置なんて方法は思いつかなかったし。というか、ニコラウス先生が中級の治癒魔法を使えるってこと自体失念してたし!


「助かったんだからいいと思います」

「……そうしてお前は心棒者を増やしていくんだな」

「何のことですか?」


 心棒者って?

 そもそもわたしに心棒者なんていないですよ。そんなものができるならわたしはとっくに友達百人できています!


 きっとお兄様はわたしを揶揄っているのねと、むっと頬を膨らませると、お兄様がやれやれと嘆息する。


「ドレーゼ伯爵から父上に連絡が入ったよ」

「へ⁉」


 まさか苦情⁉

 え? もっと早く助けにこいよ役立たず! 的な?

 いやでもわたし、これでも頑張ったよ!

 まあ、もっと早くにキマイラの件を思い出せていたら、コルドゥラ・ドレーゼ伯爵令嬢は怪我をしなかったと思うけども!


 あわあわと青ざめていると、お兄様がこめかみを押さえる。


「なんで怯えた顔をしているんだ。何を考えたんだい? 当然、ドレーゼ伯爵からの連絡はコルドゥラ嬢を助けたお礼だよ。玄関ホールが埋まるくらいの贈り物が届いたと、父上が頭を抱えていた。まあ、エリクサーの代金だと思えばそれでもものすごく安いのだけどね」

「贈り物?」

「ほとんどがお前宛だよ。宝石とか、美術品とかね。ま、あとは銀製品とかだね。ドレーゼ伯爵家は銀製品を扱う商会を営んでいるだろう?」

「そうなんですか」

「そうなんですかって、うちにもドレーゼ伯爵の商会のカトラリーなどがあるだろう」


 ごめんなさい。知りませんでした。


「ちなみに、贈られて来た宝石の中にはかなりいいものがあったようで、母上がほしそうな顔をしていたそうだ。母上のものにしろとまでは言わないが、共有で使う宝石にしたいと言っていたらしい。もっと言えば今度のパーティーにつけていきたいそうだ。イエローダイヤモンドのイヤリングだと聞いた」


 ……お母様ったら。


「もちろん構いませんよ」


 というか、許可しなかったら拗ねそうだし。


「それから、ドレーゼ伯爵家からお前宛にお茶会の招待状が来ているそうだ。来週の土曜日と少し日程が近いが、予定が会えばぜひと。コルドゥラ嬢も参加するらしく、お前にとても会いたいと言っているそうだよ」

「と、言うことは……もしかして、コルドゥラ先輩はわたしとお友達になってくれるんですかね⁉」


 初の学園のお友達⁉

 もっと言えば、ブリギッテとアグネス以来の女友達⁉

 きゃっほーっと叫びそうになるのをぐっと我慢して、わたしはお兄様に探りを入れる。ぬか喜びしたくないからね!


「友達ねえ。まあそうなるかもしれないが……お前の場合は『友達』と呼んでいいのかわからない存在になりそうなのが怖いな。ブリギッテ王女然り、アグネス嬢然りね」


 なんこっちゃ。

 ブリギッテもアグネスもお友達ですよ。それ以上でも以下でもありませんけど。


「話が少し脱線したが、私が言いたいのは、お前はもう少し自分の身の安全を考慮して行動しろと言うことだ。せっかくのエリクサーを無駄にして。……今度ホルガー・ラヴェンデル侍医長に頼んで新しくもらっておこう」

「何を言っているんですかジークハルト。ホルガー様が作るエリクサーは王家のものですよ。そんなに簡単に人にプレゼントできるはずないじゃないですか」


 あの結婚式の贈り物が例外だっただけですよ。無茶言わないでください。

 わたしはあきれたが、お兄様は真面目な顔で言った。


「安心しなさい。陛下を脅してでも手に入れる」


 それ、全然安心できませんから‼





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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます! おにいさまからのお呼び出しきたー!!怒られることを予知してるマリアちゃんさすがですね笑 おにいさまは本気で陛下を脅しそうなのでマリアちゃん止めてくださーい笑笑
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