SIDEラインハルト 絶体絶命 2
お気に入り登録、評価などありがとうございます!
「きゃああああああああ‼」
ラインハルトと横に座っていた同じ班の女生徒が悲鳴を上げた。
その悲鳴に班の全員が崖の上のキマイラの存在に気付き、弁当箱を投げ捨てて立ち上がる。
「逃げ、逃げよう‼」
ここで混乱して散り散りに走り出さないだけ、ラインハルトの班の人間は冷静だっただろうか。
いや、キマイラの姿に足が震えて動けないだけかもしれない。
「世界の根源を司る四柱のうち風の精霊シルフよ、我の呼びかけに応え、その大いなる御力の片鱗を我に授けたまえ――ウインドバリア‼」
ラインハルトは咄嗟に班の全員を取り囲むように風の結界を展開した。
そして素早く考える。
逃げるべきか、否か。
キマイラは素早い。
逃げたとして、五人全員が助かる保証はない。
キマイラはラインハルトたちを追ってくるはずだ。
もしその時に、他の班の人間と遭遇したら?
(逃げると犠牲者を増やすだけだ)
ならばどうするか。
――やるしかないだろう。
キマイラはかなり上位の魔物である。
とはいえ、中級魔法で渡り合えないほどではない。
素早いので剣を使うよりは魔法の方がいいはずだ。
この中で中級魔法を使えるのはラインハルト一人。
ならば残りの四人は支援に回ってもらって、ラインハルトがキマイラと対峙するしかない。
(大丈夫だ。大丈夫。やれる。キマイラは一匹だ)
ラインハルトはすぐさま班のみんなに指示を出した。
班のみんなは動揺し青ざめていたが、ラインハルトの考えを尊重して頷いてくれる。
彼らも馬鹿ではない。逃げても勝算が低いこと、そして他のみんなを巻き込むことを理解してくれた。
(キマイラの属性は風。だが、口から炎を吐く……)
正直、やりにくい。
何故ならラインハルトの属性は風だからだ。風属性の魔物相手だと一番得意な風の魔法が効きにくい。風以外の魔法で対抗するしかなかった。
「世界の根源を司る四柱のうち土の精霊ノームよ、我の呼びかけに応え、その大いなる御力の片鱗を我に授けたまえ――顕現せよ、ロックゴーレム!」
ラインハルトが使える土の中級魔法の中で最大の攻撃力と防御力を誇る、ゴーレムの精製魔法。
ゴーレムを生成し動かせばそちらに魔力を取られるので、才能のないラインハルトは他には初級魔法しか使えなくなるというデメリットはあるが、他の班のみんなを守りつつキマイラと対峙するなら頭数は増やしておいた方がよかった。
キマイラが高く咆哮し、崖から飛び降りて来る。
ゴーレムがキマイラ目掛けて突進していった。
ラインハルトは初級魔法でゴーレムの背後からキマイラへ向けて攻撃を放つ。
初級魔法なら詠唱破棄可能なので攻撃速度はぐんと上がる。キマイラもゴーレムの相手をしつつラインハルトの攻撃を防ぎきるのは難しいようだ。今のところ三回に二回は命中している。
「ファイアボール! アイシクルランス!」
攻撃が当たり、キマイラからグゥウウウウウという唸り声が上がる。
一つ一つの攻撃は致命傷にはなっていないが、確実にキマイラの生命力を奪っている。
(大丈夫だ、いける)
ラインハルトの背後からも、補助魔法で防御を固めながら、班のみんなが初級魔法を繰り出していた。
このまま押し切れば勝てる。
ラインハルトの頭にそんな希望が生まれた時だった。
「グゥアアアアアアアアッ‼」
キマイラが突如、高く咆哮を上げた。
「まずい、全員守りを固めろ‼」
キマイラと遭遇したのははじめての経験だが、特徴は知っている。
これは大きな攻撃が来ると、ラインハルトが注意をした直後――
炎を纏った暴風により、ゴーレムが粉々に砕かれた。
面白い!続きが気になる!続きが読みたい!と思ってくださった皆様、
ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて評価いただけると嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ
☆お知らせ☆
②巻の書影出ました!
今回もめちゃくちゃ可愛いです~!
そして…②巻、本作品が続刊するか否か、重要な巻になっております!
売上次第では続刊しないかもしれないので、お力添えいただけると幸いです…!!
(②巻で売り上げ落ちたら続刊しないかも、なので…(´;ω;`))
本作最後まで書きたいので、よろしくお願いいたします!!!
☆あらすじ☆
悪役令嬢としての断罪の未来を回避するため奔走し、無事に攻略対象・アレクの妹の病を癒やすことに成功したマリア。
一件落着でようやく平穏な学園生活を送れるかと思いきや……
お義兄様は相変わらず意地悪で振り回してくるうえに、冷たかったはずのアレクまで「君を生涯守る騎士になる」なんて言い出して、マリアを巡るバトルが勃発!?
一方、街では連日義賊が出没し混乱を極める事態に。
新たな攻略対象・ヴォルフラムとその兄・ヒルデベルトの秘密に関わる重大なイベントだったはずが、マリアのこれまでの行動の影響か、前世の知識とはかなり内容が変わってしまっているようで……?
ヒロイン不在で着々と進行する物語に困惑しながらも、目立たないように裏でこっそり事態の収束を試みるマリア。
しかし案の定一筋縄ではいかず、みんなを巻き込む大事件に発展してしまい――!?
ちょっぴりポンコツな愛され悪役令嬢による破滅回避ラブファンタジー、波乱の第2幕!
出版社 : オーバーラップ
発売日 : 2026/5/20
ISBN-10 : 4824016487
ISBN-13 : 978-4824016485
※今回も巻末に書下ろしSSや例の「おまけ」もあります(*^^*)






