リッチーと新しい従業員 2
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ゲームで聞いたウルリッヒのイケボ。
転生しても記憶していたわたしはすごいんじゃないかしら~うふふ~、なんて現実逃避はやめよう。
……なんだってここにウルリッヒが⁉
ウルリッヒが雑貨屋リーベに登場するなんて、ゲームではなかったわよ!
いくらゲームではない現実世界とはいえ、リッチーとウルリッヒのつながりにわたしはあんぐりと口を開けるしかない。
アレクサンダー様は頭が痛そうにこめかみを押さえているけど、もしかして、アレクサンダー様が怒っていたのって彼が関係しているのかしら?
「お嬢様、お知合いですか?」
ウルリッヒを見つめたまま固まったわたしに、ヴィルマが訊ねる。
……ええっと、お知り合いと言えばゲームで知っていますけど現実では初対面でして……どうしよう。
驚きのあまり、めちゃくちゃ凝視してしまった。
すると、リッチーが「うふふ~」と楽しそうに笑う。
「つい見とれちゃうでしょ~? マリアちゃんならわかってくれると思ったわ! これは人間として正しい行いよ。だってこんなにイケメンなんですもの!」
ちょっとリッチーが何を言っているのかわかりません。
が、とりあえず助かったと、便乗しておくことにした。
「そ、そうね! とってもカッコよくて、つい見とれちゃったわ、ほほほ~」
誤魔化すように笑ったわたしだったが、ぬっとアレクサンダー様がわたしの顔を覗き込んできて思わずうっとひるむ。
さ、さすがに、わざとらしかったかしら……?
怪しまれたかしらと不安に思ったわたしだったけど、アレクサンダー様は頓珍漢なことを言い出した。
「マリア、私には見とれないのだろうか」
何をおっしゃるのやら。
あなたもわたしからすれば人外レベルの超イケメンですよ。
……アレクサンダー様ってば何と張り合っているのかしら? そういうお年頃なの?
わからないが、ここは褒めておいた方がいいのだろうか。
「アレクサンダー様も、とっても素敵です、よ?」
わたしは一体何を言っているのだろう。
でもま、アレクサンダー様が納得したような顔で微笑んでいるから、褒めたのは間違いではなかった……のよね?
ヴィルマがぽそっと「お嬢様は無自覚な罪作りです」なんて言っているけど、こちらも意味不明。
わたしがいつ罪を作った?
自慢じゃないけど、おばかなことを除いて、ここのところいい子ちゃんでいたと思いますよ、わたしは!
イケメンたちを追いかけまわして迷惑なんてかけてないもの!
前科がある分、信用されていないのかもしれませんけどね!
「あの、リッチー、話が見えないんだけど、もうちょっと説明してくれないかしら?」
特に、何故ウルリッヒがここにいて、リッチーを「店長」と呼んで、サンドイッチの買い出しをしているのかと言う部分について詳しく‼
ウルリッヒも、この場にいるわたしやアレクサンダー様を見て目を丸くしていた。
そうよねえ、普段閑古鳥が鳴いているような、ほとんど来客のない雑貨屋に、見るからに貴族のわたしたちがいるんだもの。何事って思うわよね。
「いいわよお。あ、ウルちゃんは休憩していていいわよ~。お使いありがとう♡」
ウルちゃんって。まあ、リッチーが誰かれ構わずあだ名をつけるのは今にはじまったことではありませんが。
アレクサンダー様は頭が痛そうにしているし、これ、もしかしなくてもリッチーが暴走したパターンなのかしら。
というか、ウルリッヒってグレックヒェン公爵家に引き取られたんじゃないの? どういうこと⁉
「マリア、彼のことは知っているか?」
「え、ええっと……」
さて、どう答えたものか。
あれだけガン見していたら、何か知っていると思われるわよね。
でもウルリッヒと初対面なのは間違いないし……よし、適当に誤魔化そう。
「グレックヒェン公爵に、似ているなあと思いまして……ほほほほほ」
「ああその通りだ。よく似ている」
ですよねー。
ラインハルトも父親であるグレックヒェン公爵に似ていないことはないのだが、ウルリッヒの方がよく似ている。それはもう、グレックヒェン公爵を二十歳若返らせたらきっとこんな顔だろうなと言うレベルでそっくりなのだ。
「……昨日、ブリギッテからグレックヒェン公爵家の件については軽く聞いています」
「それならば話が早い。彼がその……グレックヒェン公爵のもう一人の息子だ」
隠し子、という単語はあえて外したんでしょうね。
アレクサンダー様、優しいわ。
「あの、それで……そのグレックヒェン公爵令息が、何故ここに?」
「それは私も聞きたいくらいだ。叔父上に説明を求めても、その……『イケメンを救済した』とわけのわからないことを言うだけなんだ。理解できない」
まったくその通りですね。
ウルリッヒがイケメンであるのは否定しませんが、救済ってどういうことでしょう。
……ちょっとリッチー、「うふふ」って笑ってないで説明して!
するとリッチーが、説明をぶっ飛ばして、またしてもとんでもないことを――
「ねえねえアレクちゃん。ウルちゃんをあたしの養子にするってどうかしら~? イケメンの息子が欲しかったのよ~」
アレクサンダー様はぎょっと目を剥いて、それからプルプルと震えると。
「いい加減にして下さい叔父上‼ あなたの頭の中には花畑でも詰まっているんですか⁉」
うん、今のはリッチーが悪いと思うわ。
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