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【書籍化】転生悪役令嬢は破滅回避のためにお義兄様と結婚することにしました~契約結婚だったはずなのに、なぜかお義兄様が笑顔で退路を塞いでくる!~  作者: 狭山ひびき
第二部 四大精霊と女神たちの願い

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美貌の公爵と悪だくみ 3

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 話は途中だったが、来客があると言われたので、わたしは慌てて支度をすることになった。

 ヴィルマに手伝ってもらい入浴をすませると、ドレスに着替えてお化粧をする。

 というのも、なんと午後から、クリュザンテーメ公爵がこちらにいらっしゃるらしいのだ。


 ロンベルク島はロンベルク伯爵が領主だが、寄親である公爵はクリュザンテーメ公爵だ。

 クリュザンテーメ公爵の支配する土地の中にあるロンベルク島を、ロンベルク伯爵が領地として治めているのだ。

 わかりやすく言えば、クリュザンテーメ公爵は王様のようなもので、支配する土地の全権限を持っている。ロンベルク島の領主は伯爵だけれど、この伯爵から領地を取り上げる権限もクリュザンテーメ公爵が持っているのだ。


 ポルタリア国の五家ある公爵家はどこも同じで、わかりやすく言えば、ポルタリア国の中には国を治める国王陛下のほかに、公爵と名乗る五つの王様みたいな人がいるということだ。帝国と似ていなくもないけれど、帝国とは名乗っていないし、帝国の支配権ほど強くない。

 ポルタリア国の五家の公爵家の発言力は強く、国王を主として戴いてはいるけれど、公爵たちは場合によっては王の意見すら撤回させられる。

 とはいえ、あまりやりすぎると国が混乱するから、よほどのことがない限り国王に従う姿勢を示してはいるけれど。


 要するに、この土地の実質的な支配者がわたしたちの元にやって来るということだ。


「クリュザンテーメ公爵って王都にいるんじゃないの? あ、シーズンオフだから領地に戻って来てるのか……」


 クリュザンテーメ公爵も一年の大半を王都にあるタウンハウスで過ごしているけれど、我が家のお父様と違って、シーズンオフには領地に戻ることが多い方だ。

 わたしとお兄様の結婚式にも参列してくれたが、用事があって長居はできなかったようで、結婚式後のパーティーには出席されなかった。


 ……前世の記憶を思い出す前には何回か話をしたことはあるんだけど、華やかな人ってことくらいしか覚えていないわね。


 というのも昔のマリアちゃんは例にもれず、公爵の中で唯一独身のクリュザンテーメ公爵にも思いっきり見当違いなアプローチをしていた。


 クリュザンテーメ公爵は、名前をラース様と言って、二十八歳の若き公爵様なのだ。

 お父様が二年前にお亡くなりになってあとを継いだので、五人の公爵の中で唯一の二十代。

 ゲームの攻略対象の一人でもあるので、当然イケメン‼ 甘い顔立ちの、超イケメン‼ マリアちゃんが放っておくはずがないのである。

 が、十一歳も年が離れているラース様は、わたしがお子様にしか見えないようで、何をしようと「あはは、可愛いねえ」と子ども扱い。暖簾に袖おし。まったく効果なし状態で、当時のわたしは何度も地団太を踏んだものである。

 そのおかげか、わたしが学園で追い回していた男性たちのような嫌悪感は抱かれておらず、子供のお遊びと優しい目で見てくれているのであるが……。


「うぅ、気が重いわ……」

「そうですねえ。お嬢様ったら、『ラース様がセクシーなドレスがお好きだと聞きましたので!』なんて言って、下着が見えそうなほどの深いスリットが入ったスリップドレスを――」

「わーっ!」


 ヴィルマ! それ黒歴史だから‼

 記憶のかなたにぽーいっと捨てていたけれど、そう言えばそんなことをやらかした!

 真っ赤で露出の多いセクシーなスリップドレスを着てラース様に突撃したわたしは、黒い笑顔を浮かべたお兄様に回収されたんだったわ。

 ラース様は「マリアはいつも面白いねえ」なんて言って笑っていたけど……。


 ほかにもいろいろやらかしたのを思い出したわたしは、両手で顔を覆った。

 今すぐ高熱が出てくれないかしら。

 恥ずかしすぎて、ラース様とどんな顔をして会えばいいのかわからないわ‼





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