恋する乙女
「帰ってくれてよかったんだが、何してたんだ?」
一瞬、茜のエプロン姿にドキリとしたが、すぐに頭を冷静にして俺はそう聞いた。
少し前までとは大違いだ。前にも思ったが俺はだいぶ変わったみたいだ。
「蒼介くんのためにおかゆ作ってたにきまってるじゃん。」
至極当然みたいに言ってるけど普通じゃないからね!
「ありがとう。でも、俺と長いこといたらかぜ移るから。」
「ん?大丈夫だよ。」
何が?
大丈夫じゃないでしょ!
あ〜……なんかフラフラしてきた。
考えすぎたからか?
「蒼介くん!フラフラしてるよ、大丈夫?」
そう言った彼女は俺の肩を持った。
助かるけど接近しすぎてるから!
「とりあえず座って!」
そのようなやりとりがあった後、彼女はもう一度
「おかゆ、食べる?」
せっかく作ってもらったものを食べないのは失礼というものだろう。
「ああ、食べさせてもらうよ。」
「じゃあ、食べさせてあげるね?」
なぜそうなる!?
食べるからの食べさせるはおかしいだろ!
「あっためてくるからちょっと待っててね!」
う〜ん、なんか看病されてたら茜が奥さんみたいに見えて……来ないな。
だめだ。
俺とそんな関係になるわけがない。というか考えてはいけない……ん?
俺もしかして、茜のことが好きなのか?
いや、でも……
「あっためたよ。」
「……」
「どうしたの?しんどい?」
「あっ、あ〜すまん。しんどいとかではないんだ。考え事だ。」
なんだかいつもの調子が出ないな。
いつもは疑り深いこと考えちゃうのに……
どうしたんだ俺は……
一旦落ち着け俺!
「あ〜ん……」
何も言ってないのに急にあ〜んとか言い出したな!?
スプーンにはたまごいりのお粥が載っている。
いつもならこれには青酸カリが入ってるんじゃないかとか考え出すんだが、今はただ可愛いとありがたいという気持ちしかない。
「あ〜……」
美味しい。なんか母さんの味というか……
「美味しい?」
「ああ、すごく美味しいよ。ありがとう。」
そう俺がいうと彼女は少し顔を赤くしながら、
「お母さんから聞いた秘伝のレシピが使えてよかったぁ」
と言っていた。
……可愛い。
いや、どうしたらいいんだこの状況?
わかった!
今俺は病気だから脳みそが熱暴走を起こしてるんだな!
「すまん茜、そろそろ寝させてくれ。」
「わかった。お大事にね。」




