おかゆ
「近い!」
思わず声が出た。
しんどいから声が出ないと焦っていたが、命の危険を感じれば声が出る!
「声ガラガラじゃん!大丈夫!」
そう言って距離を詰めてくる。
近いって言ったのに接近してくるとかどうなってるんですか!?
そう思っていたが、俺も熱で頭がおかしくなったのか急にこう思った。
カウントダウンでもした方がいいのかな?
残り
3cm
2cm
……
10cm
終わらねえよ!
そりゃそうか。近づくたびに俺は避ける。
俺が避けるたびにまた茜が顔を接近させるという無限ループが発生しているから致し方がない。
「もういいもん!そんなことするなら私にだって考えがあるんだからね!」
なんか急に幼児になったかのような言い方だな!
だが、彼女は有言実行で、俺の顔を手で挟むと彼女のおでこと俺のおでこをごっつんこさせた。
彼女は焦りすぎていたのか、案外勢いがすごく、おでこが痛い。
さすがにそこまでの強硬手段に出るとは思ってなかったからびっくりだ。
「さすがに熱いね。熱は何度くらいなの?」
「39度」
熱で頭がもうろうとしているため、一言しゃべるのでもしんどい。そろそろ寝たほうがよさそうだ。
彼女は手に持っていたビニール袋の中から何かを取り出し、俺のおでこに張った。
ひんやりして気分がいい。
「高い!ちゃんと休んで回復したら遊びに行こうね?ここに頭冷やすシート置いておくから自分で張り替えてね。」
「ああ、しんどいからもう寝るわ。今日はありがとう。帰ってくれていいから。」
そう言うと俺は力尽きたように眠ってしまった。
♦茜side
病気引いてる蒼介くんがなんだか少し色っぽいんだけど!
顔が少し赤くて、軽く汗かいてるから前髪がおでこにちょっと張り付いてるし!
帰ってくれていいからって言われたけど私はここに居座るもん。
だって、蒼介くんのためにおかゆの準備もしてきたし、お母さんからおかゆの料理方法もちゃんと調達済み!
お母さんは私に、
「これはおかゆだけど、これで彼の胃袋をつかんだらもうあなたの恋は勝ち確定よ!相手の心より胃袋ってやつね。」
って言ってたから。お母さんてなんだか恋愛慣れしてる感じなんだよね。
お父さんは何でか知らないけど男の子が私の近くにいたらあっちいけみたいなことしてる。
そんなことしなくていいのにって思っちゃうんだけどこれも親の愛ってやつなのかな?
そんなことを思いながら私はおかゆを作り始めた。
♦蒼介side
なんかおいしそうなにおいがするな。
眠りについてからまだ1時間くらいしかたっていないが目が覚めてしまった。
というか本当にこの匂いはなんだ?
そう思った俺はキッチンへ行った。
「蒼介くん、おはよう。おかゆ食べる?」
そこにはエプロンを着た茜がいた。




