信じるとは
「へ?」
思わず本音が漏れてしまった。
てっきり信じろというと思っていたから、いきなり信じなくていいと言われたら困惑してしまうのは当たり前だ。
「君は裏切られたから人を信じられない。そもそも信じるということは信頼関係があるからこそ成り立つ事であって、急に他の人のことを信じられるようなれるわけがない。」
「………そう、ですね。」
「僕の言えたことではないが、おそらく君はこれまで他の人が信じられたという経験がなかったんだろう?」
「…………はい。」
図星だ。
彼らに裏切られてからは、誰も信じず、一人で生きていくことこそが正解だと思って行動してきたから、そんなことは考えたことがなかった。
なるほど、信頼というものは経験がないと急にできないものなんだな。
「だから、君は彼ら、河野くんと橘さんのことを観察し、共に行動してその心の傷を癒してみてはどうだい?」
「でも、彼らに裏切られるかも…………」
「そう思うのも無理はない、とさっきも言っただろう?だが、信じないことをずっと続ければ、君は一生誰も信じることができなくなってしまう。もし裏切られたら私のところに来なさい。助けてあげるから。」
…………そうだな。
この人は唯一仕事仲間として信頼している人だ。
「そういえばどうしてこちらに?」
「決まってるだろう?君の原稿の提出期限が明日だから様子を見に来たんだ。」
ああ!!
まずい、ちょこちょこ書いてはいたが完成してない!
「もちろん、完成してるよね?」
ぎゃぁぁぁぁぁぁ!
♦︎茜&隆side
「河野くん、ありがと」
「いやいや、当然だよ。僕の楽しみでもあるからね。彼のトラウマはある程度知ってはいたが、ここまで深い傷だとは思っていなかった。………これからも障害になるなぁ」
「なんの?」
「秘密だ。それにしても橘さんも頑張ったね。」
「当然でしょ。好きなんだから…………あっ」
「知ってるから大丈夫だ。そのために僕は色々裏で動いてるからね。」
「ふーん」
「さっさと蒼介のところに行ってあげたらどうかな?そろそろ話も終わったところだろう?」
「もちろん!」
♦︎蒼介side
ああ、秋山さんに詰められた。
あの人、本来優しいんだけど仕事の話になったら性格変わるんだよな。
さっき絶対に明日出版社に持っていくって約束したから帰ってすぐにやらないとなぁ……
その時に茜が来た。
「ねえ、蒼介くん。楽になった?少しは…………」
「ああ、ありがとう。」
「信じられなくてもいいから、これからも仲良くしてね?」
「………ああ」
「一緒に帰ろ!」
……………急に!?
「ちょっと話したいことがあるんだ。」
今!?
何すんの!!




