陽キャマスター?
え!?なにこれ?
え?嘘でしょ?
なんでこんな俺に向けてピースしてるような自撮り写真なんだよ!?
しかもこれ絶対陸上部が終わった後の写真じゃん。髪の毛濡れててうなじが少し見えてるような角度でなんだかちょっと…………。アウトだ!完全にアウトな写真だ!
こんな写真がただの隣の席の男子をドッキリするためだけの人間に送られてくるんだよ!
おかしいだろうが!?
おー神よこの迷える子羊をお救いください。
陽キャのしている意味がわかるように私の脳みそを進化させてください。
…数分後
おっ!分かった、分かったぞ、俺は完全に理解した!
これは新手の罠だな?
そうだ、そうに違いない。
これは今日も部活頑張ったんだよぉ〜的なノリなんだな?
これで俺が勘違いしないか確かめて遊んでるんだな?
完全に理解した俺は天才だ。陽キャマスターと呼ばれてもいいくらいかもしれない。だが、陽キャマスターである俺が思うにこれは反応してはいけないんだ。絶対に。
だったら俺もスルーするしかない!
既読スルーをすることは少し心が痛いが、仕方ない。
これで今日はもうすっかり忘れて、この前見てる途中だった人型ロボットのアニメでも見………ピコンッ………ん?あっ、まずいスマホの画面つけっぱなしだった。橘さんからまた何か来てるぞぉ…ふむふむ匂うなこれは開けてはいけない。
そうさ今度こそ開けてはならないんだ!
・・・・
いや、気になるし?
・・・・
ちょっとぐらいならいいかもしれないし?
・・・・
いやいやこれで見てしまえば俺は終わりだ。
最終的には学校で孤独になる未来しか思い浮かばない。
いや、待てよ。俺はそもそも学校に友達と呼べるような存在がいるのか?いないよな
なら結局変わらないなら少しぐらい見ても………いや、これから友達できるもん!
100人友達作るもん!その前に余計な騒動を起こすのは良くない。
そうだ…
これは耐えるしかないのではないか?
ピコンッ………………
え?なんでこうも立て続けに通知音が鳴るんだ?
そうか!これは国家軍事機密レベルの重大なことなのだ!
だから開けるしかないんだ。そうさ!俺は間違ってねぇぇぇぇ!
「へぇぇいぃぃぃSiri、ラァァイィィンを起ぃ動ぉぉぉぉ!」
『すみません、よく聞こえませんでした。もう一度お願いします』
「ええい、面倒なやつめぇぇ!俺がこの手で開けるしかないのかぁ!」
俺は人間の限界速度を超える速度でLINEのアイコンをタップした。
もちろん起動するまでは画面を連打しっぱなしだ。
連打してもアプリの起動の速度が変わらないことは知っている!
だがしかし、これは国家の存亡をかけた戦いなのだ!
たとえ1秒の間があったとしても俺はそれを看過できないんだぁぁぁ!
………はぁ、やっと開いた。
俺はなにしてたんだろ。
なにが国家の存亡だ。
たかがクラスの女子からLINEが来ただけじゃないか。
そうだ、もっと気楽に行こう!
そして画面を見た俺は上から順番に読んでいった。
『これ、私の部活終わりの写真だよ!どう思う?』
『ごめん!なにがどう思う?だよね。(泣)』
『嫌いにならないで、お願いだから。』
………なに…………これ。なんで勝手に1人で喋ってんの。
ねぇなんで、なんだよ!ちょっと怖いって。
後、上から順番に見て考えたけどおかしいだろ!なんでこんなちょっとアダr…アウトな写真見せといてどう思う?だよ。なんだこれ?全く理解できねぇ。誰か助けてくれよぉぉぉ。しかもなんで嫌いにならないで、だ。そしてなぜ絵文字を入れるんだ?
陽キャマスターってなんだっけ?
こんなことが理解し合えることが真の陽キャなのか?
もう理解できない。俺は陽キャマスターの座を降りる!
というか、『嫌いにならないで、お願いだから。』にどうやって返せばいいんだよ?
よしっ!これは大先生であるAIのチャッティー様に聞くしかない。
『なぁ、チャッティー先生。クラスの女の子から写真が来ててどう思う?って聞かれた後に急に謝り出して嫌いにならないでって言い出したんだけどどうしたらいいんだ?教えてくれよぉ。俺もうダメなんだ』
『はい、かしこまりました。そうですね、この女性はあなたのことが好きなのだと思います。そしてそれで嫌いにならないでほしいとそう願っておられるのだと思います。』
あっもうだめだ。チャッティー先生はバグっているんだ。そうだ、確かちょうどOSの更新時期だったよな。うんうん!
………好きなわけないだろ!やっぱりこれは高橋王国という王国の存亡をかけた危機だったのだ。俺は騙されん!騙されんぞぉぉ!
「はぁ、はぁ、まぁいいやこれはとりあえず返しといてあげないと橘さんが流石に可哀想だからなぁ…『嫌いにならないよ』…っとまぁこれでいいか」
これは明日の朝学校で橘さんがどんな顔をしているかで判断できるだろ。
やはり俺は陽キャマスターだ!
と確信した俺だった。
しかし、この頃、橘さんが布団の中で顔を真っ赤にしながらヤッタァぁぁと叫んでいるのを知らない。




