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「日常の不協和音」  作者: Harumin


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25/31

「新しい環境と新しい出会い」


春――

別れと出会いの季節・・・

咲は樹との新しい未来を掴み、その一歩を踏み出していった。


****

桜が舞う季節、また“何かが始まる音”が…

新しい環境での日常が始まった…

ここで感じる音がどんなふうに聞こえてくるのかな



配属された部署は、佐々木恭兵がいる総務部。

(……いいのか悪いのか……複雑すぎる)


まあ、そんなこと考えている余裕もないくらい…

忙しすぎた…


新しい業務は覚えることもいっぱい。

備品管理、施設管理、福利厚生といった会社全体、幅広い業務がある。


しかし、事務職の中でも、総務、人事、経理関連の仕事は、

携わった人にしか、わかり得ない苦悩がたくさんある。

適材適所のバランスも欠かせない。


そんな中、蘭の耳に飛び込んできたのは――


「この書類を閉まって帰らなかったのは、覚えてますか?」

「はい、でも、朝来たらなくてキャビネットに入ってるのはみました…」

「そうだね…他の人が閉まってくれたからでしょ…しまわないでいいって

 誰かに言われたの?」

「いいえ、自分で判断しました…別に個人情報じゃないと思ったんで…」 

「たとえ個人情報ではなかったとしても、管理はちゃんとしてもらいたい、

 これが行方不明になっても困るから…これからは書類はちゃんと

 キャビネットに閉まってくださいね…」

「は〜〜い」 


 隣から聞こえてきた会話に、蘭は聞こえてないふりをしていた…

 新人派遣 池田千紘…多分25、6歳あたり、またすごいのがきましたね。

 言い方・・・愛想はないね〜、可愛い顔してるのに……残念だな  

 …って 私には関係ないか…

 

*****

 

「………蘭………」声をかけてきたのは、律だった…

そう、律はまた四月からシステム開発部で働くことになった…

これも総務部人気No1の”佐々木恭兵” こと、”律のいとこ”が

依頼したことだった…。


「蘭、今夜は外でご飯たべようか、気分転換に」

「うん!行きたい!何食べようか〜」

 蘭は午前中のモヤモヤが吹き飛び、蘭の表情は緩んでいく。


*****


「吉野さん、申し訳ないんだけど、池田さんのフォローよろしくね」

 (はぁぁぁ……またか。これ何回目?)

 と心の中で叫びながら、ため息を飲み込む。

 何を教えるんだよ…愛想よくしろって教えるのがいいのか??


「センパイ!ちょっといいですか?」


 ん?センパイ?だれ? え?私? 振り返ったら池田千紘が立っていた。

「センパイって…呼び方 なにそれ… なんでしょうか?」


「あの 仕事とのことじゃないんですけど… 」

「あ そう… ここじゃ話にくいよね… お茶買いにいこうか」

 二人は社内のカフェテリアへ移動した…


「それで、話って何?」

 蘭はコーヒーを一口 口にして切り出した。


「センパイ、ここ長いんですよね?」

「う うん、前は違う部署にいたけど…」

「センパイって佐々木さんとよく、話してますけど、狙ってますか?」


「は?」  狙ってる?何を?

「どうして?私が?狙ってませんけど!

___彼氏いるんだけど___」


「そうなんですか〜…いるんですね…よかった〜」

「なにその反応、ちょっとなんか失礼じゃない?」

「あ すみません… センパイが彼女だったらって

 勝ち目ないと思ってたんで…  

 私………佐々木さんカッコいいなって…」 


 (え、なんかしおらしい態度してる…なんか可愛い…)

(恭兵さんは…律のいとこで、優しくて、頼りにもなる、

 でもチャラところもあるけど…でも 恭兵さんのタイプなのか?)


「へ〜 好きになったってこと?まあ 一応社内でも 

”総務部人気No1の”佐々木恭兵” って有名だから…敵は多いね」


「そうなんですね、やっぱりそうですよね、モテますよね…

 センパイ 佐々木さんと仲良いのかなとおもって…

 佐々木さんを紹介してもらえませんか…」


「はあ〜〜〜〜??私が?

 なんで、池田さんのことよく知らないのに

 私にはメリットないよね?」

「そう言わないでくださいよ、じゃあセンパイ仲良くしてください!

 お願いします!」と頭を下げてきた。

(なんだ この子さっきと全然態度が違う…)


「じゃあその前に あなたのことちゃんと知りたい…」


 蘭は恭兵を紹介するにしても、私がこの子を何も知らない

 見極めてさせてもらう。


****


蘭は待合せのレストランで律を待っていた。

さっきの池田千紘の言葉が、まだ耳の奥でリピートされている


しばらくすると律が恭兵とやってきた。

(え!恭兵さん…もきたの? うわ〜このタイミングでか)


「お待たせ… 恭兵もついてきちゃって…ごめんな」

「あ うん 大丈夫… 」

(おう…こっちも探ってみて

 どんなリアクションするかみてみよう)


 三人で食事をしながら、律を呼び戻した経緯や、

 総務のひとの雰囲気など、恭平に教えてもらった。

 その流れから、恭兵から


「そう言えば、蘭、うちに新しい子入ってでしょ なんだっけ、

 可愛い子 えーっと、い い…」

「池田さん?」

「そうそう!あの子可愛いよね…」

 

(わお〜〜〜〜マジで?恭兵さんから聞いてくるとは、

 …そうきたか…)

「恭兵さん あの子タイプなの?」これはチャンス!


「ん〜〜 どんな子かわかんねえけど、お前らみてたらさ〜

 なんかいいなあって思ってさ…彼女欲しくなったんだよな」


「恭兵、おまえ、彼女ってめんどくさいって言ってたじゃん

 人肌恋しくなったんだな…」

「うるせー いいだろ」


 いつもの軽いノリの恭兵ではない感じがした。

 まだ、池田のこともよくわからないし……

 蘭は自分の勘と、どんな音で聞こえてくるのか

 試してみようと思った。 少し楽しみが増えた気がした。


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