「-Restart-君のそばで〜」
律と恭兵は、蘭が待っている部屋へと戻った。
玄関を開けた瞬間、蘭がぱっと顔をあげて微笑んだ。
「二人とも、おかえり!」
その笑顔を見た途端、律はもう我慢できず、そっと蘭を抱きしめた。
「……ただいま……」
蘭は律の背中を優しくポンポンとたたき、安心させるように微笑む。
後ろで、恭兵が頭をかきながら、
「おいおい、俺、完全にお邪魔虫じゃん〜」
と言った瞬間、蘭はぱっと律から離れ、恭兵に思わずハグした。
「ほんとに…ありがとうございます!」
その予想外の行動に、律も恭兵も固まった。
「ちょ、蘭! おい…!」
律が慌てて蘭を自分の方へ引き戻すと、蘭は悪戯っぽく笑った。
「だって恭兵さんが助けてくれたんだよ。嬉しかったんだから」
律はその笑顔に勝てず、ただ苦笑してため息をついた。
***
「蘭にちゃんと、話してなかったな…今更だけど…
こいつは俺のいとこの佐々木恭兵。」
「ホント、今更だけど…
まあ、職場で何かあれば言ってよ…改めてよろしくな!」
(いやいや、知り合いだなんて知れたら、何言われるか…)
「あ、はい。 こちらこそ…よろしくお願いします…
最初はびっくりしましたけど…”蘭ちゃん”呼ばれた時は、
正直怖かったです…」
「おい恭兵!どんだけ距離感バグってんだよ 驚かすなよ!」
「ごめんごめん フランクにしすぎたわ〜〜」
「ったく、手出すなよ…俺の蘭なんだからな!」
「はいはい わかってますよ〜」
(え…今さらっと“俺の蘭”って言ったよね…?
無理、恥ずいって……)
蘭は頬に広がる熱をどう隠すか必死だった。
****
三人で食事に行った帰り、律は蘭を自宅まで送り届けた。
「今日は、いろいろあって疲れただろ…ごめんな。
でも…ありがとう。蘭…これかもよろしくな」
律の優しい声で、全てを包み込むように囁かれたら、
もう、胸がぎゅーってなって、心地良さに溶けていく…
「律 前にゆっくりでいいって言ってくれたでしょ…
全然、ゆっくりじゃなかったね…」
「律を取られたくなかったから 急いじゃった…」
と、蘭は笑いながら言った。
「俺も、蘭を誰にも取られたくないな…」
律は蘭をそっと抱きしめ、唇を重ねた…
声も、鼓動も、温度も、同じ波長でそろっていくようだった。
二人にだけ届く、小さな“Restart”の音がした。




