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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第4章 Aランクへの道

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第59話 プラチナ会員

 Aランクになった翌朝。


 俺とフェリシアは王都の冒険者ギルドに来ていた。


「今日はどうします?」


「せっかく王都まで来たので、もう少しこの辺りを見てみたいです」


「依頼ですか?」


「それもいいですけど……」


 掲示板を見る。


 昨日まではAランクになることばかり考えていた。


 でも、これからは違う。


 今まで入れなかった場所にも行けるし、受けられる依頼も増えた。


 掲示板を眺めていると、一枚の案内が目に入った。


【王都西部ダンジョン】


「王都にもダンジョンがあるんですね」


「ありますよ」


 近くにいた受付嬢が教えてくれた。


「王都の西門から馬車で一時間ほどです。冒険者の利用もかなり多いですよ」


「何階層まであるんですか?」


「二十階層です」


「二十?」


 思ったより浅い。


「それで終わりですか?」


「はい。第二十階層が最下層です」


 ベルガント西部ダンジョンは、二十階層より先も続いていた。


 俺たちがBランクだったから、その先へ入れなかっただけだ。


「魔物は強いんですか?」


「ベルガントから来られたんですよね?」


「はい」


「でしたら、あちらより弱く感じると思います。

ただ、王都西部ダンジョンは魔物の数が多いことで有名です」


「数?」


「一度に何体も出てくることも珍しくありません」


 それは少し気になる。


 それに。


 今の累計獲得Pは九万九千百四十五。


 あと八百五十五P。


「フェリシアさん」


「はい?」


「今日、できれば魔物は俺に仕留めさせてもらってもいいですか?」


「Pですか?」


「はい。あと八百五十五で十万なので」


「なるほど」


 フェリシアが笑う。


「じゃあ今日は援護に回ります。せっかくなら十万まで行きましょう」


「ありがとうございます」


 ◇


 王都西部ダンジョンの入口は、ベルガントよりも賑わっていた。


 冒険者だけじゃない。


 素材を買い取る商人や食事を売る露店。荷車まで何台も並んでいる。


「人、多いですね」


「王都から近いですからね」


 Aランクの冒険者証を見せ、そのまま中へ入った。


 一階層。


 少し進んだところで、前から声が聞こえた。


「ギャッ!」


「ギャギャッ!」


 ゴブリンだ。


 一体じゃない。


「八体です」


 フェリシアが杖を構える。


「俺が行きます」


 炎牙剣を抜いた。


 ゴブリンたちが一斉に向かってくる。


 遅い。


 一体目の棍棒をかわし、そのまま斬る。


 続けて二体目。


 背後から来た一体には、振り返りながら剣を入れた。


「ギャッ!」


「ギッ――!」


 残ったゴブリンも同じだった。


 囲まれる前に動き、一体ずつ斬っていく。


 最後の一体が倒れた。


【80P獲得】


「八十か」


「八体で?」


「一体十Pです」


「少ないですね……」


「ですね」


 昔は、その十Pが嬉しかった。


 今では八体倒しても八十Pか、となる。


 ずいぶん遠くまで来たものだ。


「じゃあ、回収します」


 一体ずつ触れて《収納》へ入れていく。


「全部持って帰るんですか?」


「売れるものは売ります」


「八体全部?」


「せっかく《収納》があるので」


 持てる量を気にする必要がない。


 以前なら魔石や価値の高い部位だけを回収していた相手でも、今なら死体ごと持ち帰れる。


「解体する人、大変そうですね」


「その分、まとめて売れますから」


「アレンさんらしいです」


 二階層へ進む。


 今度はケイブ・ラットの群れだった。


 十体。


「来ます!」


 フェリシアの前に五つの魔弾が浮かぶ。


「《魔弾》!」


 青白い光が飛ぶ。


 ただし、狙ったのは急所じゃない。


 前脚。


 地面。


 進行方向。


 次々とケイブ・ラットの動きが止まる。


「今です!」


「はい!」


 そこへ俺が飛び込んだ。


 動きを崩された魔物を順番に斬っていく。


 十体目を仕留める。


【50P獲得】


「今の魔弾、すごいですね」


「倒したらアレンさんにPが入らないんですよね?」


「はい」


「だったら今日は、倒さないように当てます」


「そんな調整できるんですか?」


「《魔力操作》がありますから」


 簡単に言うけど、以前のフェリシアならできなかっただろう。


 威力を上げるだけじゃない。


 今では狙う場所も、込める魔力もかなり細かく変えられる。


 ケイブ・ラットも全部《収納》へ入れた。


 三階層。


 グレイウルフ十体。


「アレンさん、左から四体!」


「はい!」


「《魔弾》!」


 魔弾が一体の脚を弾く。


 もう一発が別の個体の鼻先へ当たり、突進する方向を変えた。


 その隙を抜ける。


 斬る。


 次。


 また次。


 フェリシアが崩し、俺が仕留める。


 十体全部が倒れるまで、それほど時間はかからなかった。


【150P獲得】


【累計獲得P:99,425P】


「かなり倒しましたよね?」


「二十八体です」


「それで二百八十P……」


「ベルガントなら一体でそれくらいの魔物もいましたからね」


 アイアンウルフで二百。


 シャドウパンサーなら六百。


 深い階層まで行けば千を超える魔物も珍しくなかった。


「Pを稼ぐなら、ベルガントの方が効率はよさそうです」


「でも……」


 フェリシアが前を見る。


 また魔物が現れた。


「こっちは本当に数が多いですね」


「話してる暇がないです」


 剣を抜く。


 倒した魔物を《収納》へ入れてから、さらに奥へ進んだ。


 ◇


 四階層。


 現れたのはブラッドボア三体だった。


「ブオオッ!」


 三体が横一列に並んで突っ込んでくる。


「右の一体を止めます!」


「お願いします!」


 フェリシアが杖を向ける。


「《魔弾》!」


 魔弾が右のブラッドボアの前脚へ当たった。


 巨体が大きく傾く。


 俺は残る二体の間へ入った。


 一体目の突進をかわし、首へ炎牙剣を振る。


 深く入った。


 振り返り、そのまま二体目へ。


 今の相手なら、炎を出す必要すらない。


 剣を振り抜く。


 二体目も倒れた。


「アレンさん!」


 フェリシアが止めていた最後の一体が起き上がる。


「はい!」


 正面から突っ込んでくるブラッドボアをぎりぎりまで引きつけ、かわした。


 すれ違いざまに首を斬る。


 巨体が地面へ倒れた。


【540P獲得】


【累計獲得P:99,965P】


「……お」


「どうしました?」


「あと三十五Pです」


「十万まで?」


「はい」


 フェリシアの目が大きくなる。


「もう十万なんですね」


「まだ三十五足りませんけど」


「ゴールドになったのって、一万でしたよね?」


「はい」


「そこから九万も稼いだんですか……」


 俺自身、改めて言われると驚く。


 戦争。


 ダンジョン。


 ミスリルゴーレム。


 キングオーガ。


 ファントムモス。


 ずいぶん倒した。


 三体のブラッドボアも《収納》へ入れる。


「次の魔物で届きそうですね」


「十Pのゴブリン四体でも届きます」


「何が出ますかね」


「弱い方がちょうどいいかもしれません」


「十万Pの最後がゴブリンでもいいんですか?」


「PはPなので」


「そういうところ、本当にアレンさんですね」


 五階層へ下りた。


 しばらく歩く。


 フェリシアが足を止めた。


「来ます」


 前方。


 グレイウルフが三体現れた。


「ちょうど四十五Pです」


「あ」


 フェリシアも気づいた。


 三体がこちらへ走ってくる。


「ここは見てますね」


「はい」


 一体目。


 横へかわし、首へ剣を入れる。


【15P獲得】


【累計獲得P:99,980P】


 二体目。


 飛びかかってきたところへ炎牙剣を振る。


【15P獲得】


【累計獲得P:99,995P】


「あと五です!」


「いよいよですね!」


 最後の一体が低く唸る。


「グルアッ!」


 まっすぐ飛びかかってきた。


 踏み込む。


 一閃。


 グレイウルフが地面へ倒れた。


【15P獲得】


【累計獲得P:100,010P】


「超えた」


 すぐに新しい表示が現れた。


【累計獲得Pが100,000Pを超えました】


【会員ランク上昇条件を達成しました】


「来た……」


「アレンさん?」


【会員ランクが上昇します】


【ゴールド → プラチナ】


「プラチナ……」


「ランクが上がったんですか?」


「はい。ゴールドの次です」


「何が変わったんです?」


「確認してみます」


 まずグレイウルフ三体を《収納》へ入れる。


 《魔力感知》で周囲を確認する。


 今のところ、近くに魔物の反応はない。


 そこで《会員》を開いた。


【会員ランク:プラチナ】


【保有:47,800P】


【プラチナ会員特典が解放されました】


【能力強化特典が更新されました】


【回復特典が更新されました】


【《共有》が拡張されました】


【《固有スキル購入》が拡張されました】


「色々変わってます」


「何が変わったんですか?」


 フェリシアには、この表示は見えていない。


 一つずつ読み上げる。


 まず能力強化。


【筋力強化(極) 5,000P】


【耐久強化(極) 5,000P】


【敏捷強化(極) 5,000P】


【魔力強化(極) 5,000P】


【一回の購入につき基礎能力値+400】


「五千……」


「高いんですか?」


「ゴールドでは千Pで百八十上がりました」


「じゃあ、五倍払って四百?」


「そうなります」


「効率、悪くなってません?」


「俺もそう思います」


 次は回復。


【半回復 250P】


【全回復 500P】


「回復も高くなってます」


「どれくらいです?」


「半回復が二百五十。全回復が五百です」


「前の五倍……」


「ですね」


 一見すると、プラチナになって悪くなったようにしか見えない。


 でも、次の項目を開いたらそんなことはないとわかった。


「……え?」


「今度は何です?」


【《共有》が拡張されました】


【共有可能人数:2名 → 3名】


【共有率:10% → 20%】


【会員本人負担率:10% → 5%】


【共有メンバーごとに、会員本人の基礎能力値20%相当を共有します】


【会員本人の基礎能力値は、共有メンバー1名につき5%低下します】


「これは……」


 もう一度読む。


「どうしたんですか?」


「共有できる人数が三人になりました」


「また増えたんですね」


「それだけじゃないです。今まで一割だった共有率が二割になってます」


「二倍?」


「はい。それなのに、俺から減るのは五%です」


「……え?」


 フェリシアが固まった。


 次の瞬間、自分の手を見る。


「アレンさん」


「どうしました?」


「急に身体が軽くなりました」


 拳を握り、腕を動かす。


「力も増えてます。かなり」


 すでに共有しているフェリシアへの効果も、自動的に切り替わったらしい。


「今までの倍くらい共有されてるはずです」


「なのに、アレンさんは前より減ってない?」


「むしろ俺の負担は半分です」


「それ、かなりおかしくないですか?」


「俺もそう思います」


 さっきまでの能力強化と回復を見た時とは、まるで印象が違う。


 そして最後。


 《固有スキル購入》。


 一覧を開いた。


【50,000P】


《鑑定》


《剣聖》


《魔聖》


《弓聖》


《斧聖》


《槍聖》


《拳聖》


 さらにその下にも、見たことのない固有スキルが並んでいる。


「……剣聖」


「え?」


 フェリシアが俺を見る。


「五万Pで《剣聖》が買えるようになりました」


「剣聖って……」


「カイルのスキルです」


「それを、買えるんですか?」


「みたいです」


 授与の儀の日。


 カイルが手に入れた力。


 父上が喜んだ力。


 俺が家を出ることになったきっかけでもある。


 その《剣聖》が今は、商品として目の前に並んでいる。


「今、何P持ってるんです?」


「四万七千八百です」


「もう少しじゃないですか」


「二千二百足りませんけどね」


 さらに下を見る。


 今度は桁が違った。


【100,000P】


《綻びの目》


《剣神》


《魔神》


《弓神》


《斧神》


《槍神》


《拳神》


 こちらにも、さらにいくつもの固有スキルが並んでいる。


「十万……」


「まだあるんですか?」


「あります」


「今度は何です?」


「《剣神》」


「……剣神?」


「《剣聖》より上です」


 剣士。


 剣豪。


 剣聖。


 そして剣神。


 剣を扱う固有スキルの頂点。


 それすら買える。


「それと……《綻びの目》?」


「それは何です?」


「分かりません。初めて見る名前です」


 十万Pの枠に入っている。


 普通のスキルではないはずだ。


「プラチナ、すごいですね……」


「最初の二つを見た時は、悪くなったと思いましたけど」


「全然違いましたね」


「はい」


 最後に、次のランクを確認する。


【次回ランク:オリハルコン】


【ランク上昇条件】


【累計獲得P:1,000,000P】


「……百万」


「今度は百万ですか?」


「はい」


「また十倍ですね」


「遠いな……」


 十万まで来た。


 でも、その次は百万。


 簡単には届きそうにない。


 表示を閉じた。


 その時だった。


 ズシン。


「……え?」


 足元がわずかに揺れた。


 もう一度。


 ズシン。


 通路の奥から、何かが近づいてくる。


「アレンさん」


「はい」


 フェリシアが白銀樹の杖を構える。


 俺も炎牙剣へ手をかけた。


 暗い通路の奥。


 大きな影がゆっくりと姿を現す。


 少なくとも、ここまでの階層で見た魔物とは違う。


「……あれ、何ですか?」


「分かりません」


 赤い二つの目が、こちらを向いた。


 累計獲得P=100,010P



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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いつも楽しく拝読してます! 綻びの目ー!!出てきてテンションが上がりました! プラチナ会員にまでなって、かつ10万pt払ってやっと手に入る、剣神と同レベルのスキル…こうやって他の視点から可視化される…
いよいよプラチナですね。 取れる技能(?)に「綻びの目」が出てきましたね(笑) 物語も面白いですが、こういう所がどうやら随所に出てくるようで(リオンの物語でも)ますます面白いです。 これからに期待大で…
綻びの目、レアスキル!!
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