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《剣聖》になった弟に追放された俺のスキルは《会員》でした ~ハズレスキルだと思っていたら、ポイントで好きな能力を買えるらしい~  作者: アカメノコバチ
第4章 Aランクへの道

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第53話 王都

 翌朝。


 領都を出る乗合馬車に乗った。


「結局、一度も屋敷には行きませんでしたね」


 向かいに座ったフェリシアが言う。


「行く理由がないですから」


 馬車がゆっくりと動き始めた。


 窓の外を見る。


 大通りを抜け、城門へ向かっていく。


 遠くに侯爵家の屋敷が見えた。


 父上もカイルもいない。


 母もいない。


 今の俺が、あそこへ戻る理由はない。


 それでも、何も感じないわけじゃなかった。


 城門を抜ける。


 領都の建物が少しずつ遠くなっていった。


 ヴァルディス領へ戻ってきたのは偶然だった。


 その途中でスタンピードが起き、キングオーガまで現れた。


 町を守り、王都の冒険者ギルドへの報告書まで手に入った。


 色々あったけど、これで本当に王都へ向かえる。


 ◇


 それから数日。


 馬車は北東へ進んだ。


 ヴァルディス領を抜けてからは、特に大きな問題も起きなかった。


 途中の宿場町で泊まり、朝になるとまた馬車へ乗る。


 旅を続けるほど、街道を通る人の数が増えていった。


 商人の馬車。


 冒険者。


 騎士。


 大きな荷車を何台も連ねた商隊とも何度かすれ違った。


「王都が近いんですかね」


 フェリシアが窓の外を見る。


「たぶん」


 道も広くなっている。


 二台の馬車がすれ違っても余裕がある。


 ベルガントへ向かう街道とは明らかに違った。


 昼を過ぎた頃。


 御者が前を指さした。


「見えてきたぞ。あれが王都だ」


「え?」


 窓から外を見る。


 最初に見えたのは巨大な城壁だった。


「……大きい」


 思わず声が出た。


 遠くまで続く高い城壁。


 その奥には無数の建物が並んでいる。


 さらに中心部には、周囲の建物よりはるかに高い城が見えた。


「あれが王宮ですか?」


 フェリシアも窓から外を見ている。


「たぶん」


「さっきから、たぶんばっかりですね」


「初めて来たんだから仕方ないじゃないですか」


「私も初めてですけど」


 フェリシアが笑う。


 王都へ近づくにつれて、馬車の速度が落ちていった。


 街道が混んでいる。


 人も馬車も、今まで通ってきたどの街より多い。


「こんなに人がいるんですね」


「ベルガントよりかなり多そうですね」


「かなりどころじゃないと思います」


 王都の正門前には長い列ができていた。


 俺たちの馬車も最後尾へ並ぶ。


「王都へ入る方は身分証をご用意ください!」


 門の前で兵士が声を上げている。


 しばらくして順番が回ってきた。


 御者が書類を渡し、乗客も一人ずつ身分証を確認される。


 俺は冒険者カードを差し出した。


「アレン・ヴァルディス……Bランク?」


 門兵がカードを見る。


 次に俺を見る。


「若いのにBランクか」


「はい」


 横ではフェリシアのカードも確認されている。


「こちらもBランク?」


「はい」


 門兵が俺たちを交互に見た。


「二人ともか。王都には依頼で?」


「いえ。冒険者ギルドへ行くつもりです」


「なるほど」


 カードを返される。


「通っていいぞ」


 馬車が門をくぐった。


 ◇


「うわ……」


 王都へ入った瞬間、フェリシアが声を漏らした。


 俺も同じだった。


 大通りだけで、ベルガントの中心街より広いかもしれない。


 左右には三階建て、四階建ての建物が並ぶ。


 一階が店になっている建物も多い。


 服屋。


 武器屋。


 食堂。


 宿。


 見たことのない商品を並べている店もある。


 道の端には露店まで出ていた。


「人、多いですね」


「多すぎません?」


 服装も様々だ。


 冒険者らしい人。


 商人。


 兵士。


 見るからに身分の高そうな服を着た人もいる。


 馬車の数も多かった。


「王都ってすごいですね」


「ですね」


 同じ国の中なのに、今まで見てきた街とはまるで違う。


 乗合馬車は大通りを進み、やがて大きな広場で止まった。


「王都到着だ!」


 御者が声を上げる。


 馬車を降りる。


 荷物の大半は《収納》に入れてあるので、身軽なものだ。


「まずどうします?」


「冒険者ギルドじゃないですか?」


「宿より先に?」


「報告書もありますし」


「そうですね」


 ヴァルディス領でもらった封書を確認する。


 それに、ここへ来た一番の目的はAランクへの道を探すことだ。


 近くにいた露店の店主へ冒険者ギルドの場所を聞いた。


「冒険者ギルド? それなら中央広場を越えて西だよ。でかい建物だからすぐ分かる」


「ありがとうございます」


 言われた方向へ歩き始めた。


 ◇


「……あれじゃないですか?」


 しばらく歩いたところで、フェリシアが前を指さした。


 大きな石造りの建物がある。


 三階建てで、入口もかなり広い。


 その上には、見慣れた冒険者ギルドの紋章が掲げられていた。


「大きいですね」


「ベルガントの何倍あるんでしょう」


 出入りしている冒険者も多い。


 装備を見るだけでも、強そうな人間がかなりいる。


 入口の前で少し立ち止まった。


「アレンさん」


「はい」


「いよいよですね」


「何がです?」


「Aランクへの道ですよ」


「ああ」


 ベルガントでギルドマスターに言われたことを思い出す。


 俺たちの戦闘力なら、Aランク候補には入る。


 でも、Aランクになるには強さだけでは足りない。


 実績。


 判断力。


 信用。


 そして、サハル王国への貢献。


 そのために王都へ来た。


 途中でスタンピードまで起きたけど、その経験も無駄ではなかった。


「行きましょうか」


「はい」


 扉を開ける。


 中へ入った瞬間、思わず足を止めた。


「……広い」


 受付だけで十か所以上ある。


 依頼板も何枚も並んでいた。


 右側には冒険者たちが集まる酒場らしい場所まである。


 人の数もベルガントとは比べものにならない。


「どこに行けばいいんでしょう」


「とりあえず受付じゃないですか?」


 空いている受付を探し、一番端へ向かった。


「いらっしゃいませ」


 若い女性職員が俺たちを見る。


「ご依頼ですか? それとも冒険者登録でしょうか?」


「ベルガントから来ました。Aランク昇格について相談したくて」


 冒険者カードを出す。


 フェリシアも続けた。


 職員が二枚のカードを確認する。


「お二人ともBランクですね」


「はい。それと、これを」


 ヴァルディス領でもらった封書を渡した。


「ヴァルディス侯爵領から?」


「数日前まで領内にいました」


 職員が封書を確認してから、中の書類を取り出した。


 読み始める。


 最初は普通だった表情が、少しずつ変わっていった。


「……スタンピード?」


「はい」


「キングオーガ討伐……」


 職員が書類から顔を上げる。


 俺を見る。


 次にフェリシア。


 そして、もう一度冒険者カードを確認した。


「このキングオーガを討伐したのは……」


「俺です」


「アレンさんが倒しました」


 フェリシアが答える。


「なるほど……」


 職員が少し考えた。


「少々こちらでお待ちいただけますか?」


「はい」


「担当の者を呼んでまいります」


 そう言って、職員が奥へ入っていった。


 フェリシアと顔を見合わせる。


「また待つみたいですね」


「ですね」


 ベルガントでも似たようなことが何度かあった。


 しばらくすると、さっきの職員が戻ってきた。


「お待たせしました」


「はい」


「ギルドマスターがお会いになります」


「ギルドマスター?」


 王都へ着いたばかりなのに。


 どうやら、ここでも普通には始まらないらしい。


 累計獲得P=93,145P



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
侯爵家の元嫡男が王都来た事無いのは流石におかしくない? しかも数日で着く距離だし
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